面倒事
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「なんでここにいるんだよ」
「なんでだと思う?」
思ったことをそのまま口に出すと、ミラは質問に少し不機嫌気味に質問で返してきた。
もしかしたら昨日尾行していたのかもしれない。
もしそうだとしたらストーカーとやってる事は変わらない。
そう考えると怖いな。
しかし確証は無いので決めつけはしないでおく。
「早く行かないと遅刻するぞ」
ミラの質問には答えず学校へ向けて歩き出した。
「遅刻しそうなのはレッ君のせいだけどね」
そう言うと小走りで先に歩き出したレックスの背を追いかけた。
「なんで着いてくるんだよ」
「面白いこと言うね。私達同じ学校じゃん」
ミラはレックスの背中をポンポンと叩きながら笑った。
「一緒に登校する理由にはならないけどな」
ミラは何も言わずにため息を吐くと隣に並びこちらを見上げた。
レックスはその視線に気づいた。
「何が目的だよ」
「レッ君は忘れん坊だね」
「魔法の事か?」
「1割正解」
1割と言わたのは予想外だった。
それ以外に何かあっただろうか。
「残りの9割は?」
「レッ君が頑張って思い出すまで言いませ〜ん」
考えたところでどうせ思い出せそうにないので素直に聞いてみたが、教えてはくれなかった。
教えてくれないということは大事なことでは無さそうだ。
「さっきから気になってたんだけど『レッ君』って何だよ」
「レックス+君=レッ君だけど」
「なんか聞き覚えがあるような」
『レッ君』と呼ばれたのが初めてじゃない気がした。
記憶を遡るが記憶が曖昧であんまり思い出せない。
さっきから妙にミラが静かだなと思い見るとニマニマしながらこっちを見ていた。
「なんだよ」
そう尋ねると肩を落としてため息を吐いた。
その様子になにか悪いことでもしただろうかと不安になった。
学校のすぐそこまで来るとミラは突然軽く走りだした。
ミラが学校の敷地に入るのと同時にチャイムが鳴り響いた。
「セーフ。そしてレッ君アウトー」
「誤差だろ」
そう言いミラより数秒遅れて敷地に入った。
「少し話良いかな?」
あっという間に時間が経ち帰ろうと支度をしていると誰かが話しかけてきた。
どっかで聞いた事のある声だなと思い振り向くが、知らない人だった。
「えっと……」
「あ、ごめん。僕はキースだよ。一応先日君と闘ったんだけど」
そう言われ思い出した。
先日色々な人に勝負をしかけられてのを。
そしてその時わざと負けた相手今目の前にいる人であることに気づいた。
「それでなんのようなんだ?魔法なら教えないぞ」
この流れに既視感を感じ布石を打っといた。
「いや、そんな事じゃなくて」
この前闘った時それなりに魔法ができていたのだから、わざわざ魔法を教えて欲しいと懇願してくるはずもがい。
キースが真剣な顔に変わりこちらを見てくる。
「一目惚れだったんだ」
「……」
キースの爆弾発言に青ざめ慌てふためき、急いで片付けを終え逃げるように教室を出ようとした。
「ちょっと待ってくれ」
レックスは腕を捕まれ逃げられそうにない。
「あ、いや、ちょっと」
「ちょっと?」
「流石に無理かなぁって」
決してBLを否定している訳では無いがそのような趣味はない、と伝えた。
「いやそういう事じゃなくて、ね」
キースは主語が抜けていたことに気づき取り敢えず誤解だと言ってくれた。
その言葉を聞いて一安心した。
「ミラに、だ」
キースは少し恥ずかしそうに耳打ちをした。
「あーね」
確かにミラは美少女だ。
キースの事も理解でないわけではない。
だか、その分競争率が高いだろう。
応援は気か向いたらするかもしないが、正直あんまり期待はしてない。
しかし、キースはなかなかのイケメンだ。
可能性がないわけじゃない。
「それで、なんで俺に?」
「昨日今日とミラと仲良してたから、もしかしてと思って」
つまり、レックスとミラが付き合っているのではないかと一抹の不安が生じたのだろう。
「全然そんなのじゃないから安心しろ」
「そうか、それは良かった」
レックスは帰ろうとしたがまだ話は終わっていなかったようだ。
「紹介してくれないかな?」
何となくこうなる気はしていた。
そもそも付き合ってるか確認するだけなら、わざわざミラの事を言う必要はなかったのだから。
「紹介と言っても何か話す機会を作ってくれるだけで十分だから。あとは自分でなんとかするよ」
「そうか」
話が一段落すると廊下で立ち話をしているレックス達を見つけたミラがやってきた。
「レッ君帰ろー」
「こいつも一緒でいいか?」
「いいよ」
ミラは二つ返事でOKを出した。