プロローグ
誤字が多くある可能性があります。(特に変換ミス)
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投稿は不定期です。
「糸」
それはとても細く、単体では対して役に立つことも無い。しかし束ねれば束ねるほど強度は増し、多くの人の生活を支えている。
「糸」
それは目に見えず、人と人の繋がりの事を指す事もある。
目に見えない糸は重要な役割を果たす。
転生した世界はラノベでよくある中世ぐらいの世界だった。
最後の記憶は道路に飛び出した少女を助けようと飛び込んだ所までだ。
そんなベタな展開ありかよと思いつつ内心めっちゃ喜んでいた。
喜ぶというより楽しみと言った方が正確だろう。
なんと言っても魔法がある世界だ。
魔法なんて非現実的だが、誰もがあったらいいなと1度は思ったことがあるはずだ。
それを目前に興奮しない人はいないだろう。
レックスが産まれた家はごく普通の家。
貴族や王家の人間ではない。
正直堅苦しいのは苦手だから一般家庭に産まれて良かったと思っている。
しかし、前世の記憶を取り戻して暫くして1つの問題が発覚した。
レックスには魔法の才能が無かった。
父は冒険者ギルドで仕事をしていてそういう事に関しては詳しい。
だから『才能がない』と言いつけられたに日には意気消沈した。
そもそも魔法を使える人は五分五分程程度らしい。
魔法が使えなかったらこの世界に残る取り柄などない。
他人が魔法を使ってるのを指をくわえて見ているなどただの拷問でしかない。
しかし、この世界に産まれた以上どうしても使ってみたい。
いや、使いこなしたい。
開き直り父に詳しく話を聞いたが、全く使えない訳では無いらしい。
『鍛錬を続ければいつかは使えるようになるかもしれない』と教えてくれた。
『残念な威力しか出ないけど』という言葉を最後につけて。
しかし使えないよりはマシかもしれない。
もしかしたら奇跡が起きて普通に使えるようになるかもしへないという期待を胸に父に懇願し、ギルド裏にあるちょっとしたスペースで魔法の鍛錬をしている。
偶に父の同僚が様子を見に来て教えてくれる。
しかしどれも「根性だぁぁぁ」や擬音語ばかりで全く頭に入ってこない。
やはり勉強をするには本を読むのが最適だった。
つい最近まで本は高価な代物だったが、印刷技術が発達した事によって安くなった。
とはいえまだまだ高い。
一般家庭の子供がお小遣いで買えるような代物では無い。
しかしこの国は世界で3番目の経済力を持っており国営図書館がある。
普通は安くは無い入場料が必要となるが誕生日プレゼントに年間入場券を貰った。
年間入場券も決して安い訳では無いが。
もちろん図書館にルールはある。
例えば館内での魔法の使用は禁止。
本の持ち出し禁止。
など、他にも沢山ある。
だがバレなければ問題ない。
俺は鞄から本を取り出し、適当に頁を開いた。
本が手元にあるのと無いのとでは無いのとでは成長速度が全く違う。
もちろんこの本はぬす…借りて来た物だ。
勿論返却は欠かさずしている。
( きっと俺だけじゃない。みんなやってる )
この世界は警備が甘すぎる。
そう思うと日本は平和だった。
普段生活してて全く気づかなかった。
失って気づくとはまさにこの事だろう。
そもそもあの図書館には本が多すぎる。
コンピュータがないこの世界では管理しきれないだろう。
おかげで探しているジャンルが置かれてる場所を探す所から始めないといけない。
本を借りに何度も図書館に通いつめ、かなりの月日が経った。
その間ひたすら初級魔法の鍛錬を重ねある程度は使えるようになった。
今となっては同僚さんが言っていた事もよく分かる。
といっても攻撃には一切役に立たないであろう魔法ばかりだ。
最近は中級魔法に手を伸ばしてはいるがいくらやってもできる気配がない。
このまま鍛錬を続けたところで意味が無い気がしてきた。
レックスは集中力が続かない方ではないが、努力が結果に出なければ誰でも精神的にきついだろう。
しかし中級、上級魔法を諦めたくないレックスは方向性を変えることにした。
もちろん日々の鍛錬は辞めずに。
どうにかならないかと色々かき集めた。
今手元には色々な本や魔石、杖っぽい木の棒、魔草など集められるものはなんでも集めた。
思いつく事は片っ端から試してみたもののそう簡単に見つかるはずがない。
レックスのように才能がない人などそこら中にいる。
こんな実験とっくのとうにやり尽くされてるだろう。
色々試しては失敗して息抜きにギルドへ足を運んだ。
全く上達しないが、魔力量は使えば使うぼど増えていく。
魔法が使えるようになった時のために増やしといて損はないだろう。
数ヶ月経ったが未だ魔法の研究はあまり進捗していなかった。
変わったことといえば魔道具の研究を始めたって事ぐらいだ。
この世界でのとは魔法が不要されているものの事を指す。
しかしレックスが目をつけたのは機械だ。
電気を魔力に置き変えどうにか出来ないだろうかと探っているところだ。
色々研究をしているが電気と勝手が違いすぎる。
特に難しいのが電気で言うところのモーターや電球などのところが再現できない。
もちろんそれ以外のもまともにできてはいない。
だが唯一できた物と言えば導線だ。
魔石は抵抗が低く魔力が流れやすい性質がある。
それを利用し魔石の糸、魔糸ができた。
「こんな糸だけあってもなあ」
両端を持って摘み何となく魔力を流した。
「どれぐらいまで耐えられるんだろう」
今まで魔力を何度も流してきたが限度がどれぐらいかは試した事がなかった。
もちろん太さによって変わってくるだろうがとりあえず魔力を流してみた。
「まだまだ余裕そうだな」
様子を伺いながら少しずつ出力をあげていたが、一向に変化がなかっか為、一気に50倍ぐらいの魔力を流した。
すると糸は電気ショックを浴びたミミズのようにうねうねと暴れだし次の瞬間カッと光り輝いた。
すると糸は塵になって迸った。
「目が、目があぁぁぁぁ」
どっかで聞いた事があるセリフを冗談交じりに叫んだ。
だが面白い結果だった。
これはこれで何かありそうだ。
そして新しい戦い方がこの世界に産まれた。
魔力を魔糸に流してみた思うように糸を操る。
「操糸魔術」
そう名付け糸の太さや流す魔力量など問題点を虱潰しに改善していった。
操糸魔術がどれほど役に立つのか試しに森へ赴いた。
ここの森は街に近く強い魔物はいない。
「兎の魔物か」
目が赤い兎が突如草むらから飛び出し突進してきた。
その突進を跳び避け、魔糸に魔力を流した。
目に見えない程細い糸が兎に向かって一直線に進む。
野生の勘か、偶然か高く飛び跳ね避けられた。
しかし糸は進行方向を90度変え追尾するかのように兎に追いつくと巻き付き動きを封じた。
そのまま締め付け糸が肉に食い込み兎は死んだ。
「流石に骨までは切れないか」
糸が細いせいで少量の魔力しか流せない。
それに比例して力も減る。
糸を太くすると動かすのに多くの魔力が必要になる。
だが弱い魔物なら倒せることがわかった。
と言うかまだまだ余裕があったからもう数段階上の魔物も倒せそう。