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お母様の言うとおり!  作者: ふみ
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閑話:転生したら悪役令嬢のお母様だった件


異世界転生。



平凡な主人公が不幸な事故で命を落とし異世界に生まれ変わり、現代の知識やチート能力で魔法やファンタジーの世界を謳歌していく物語。その中でも乙女ゲーム転生や、悪役令嬢転生は創作小説サイトでも女子に人気のテーマだった。



(もし転生するならやっぱりヒロインになって王道ルートを楽しみたいかな…でも、悪役令嬢になって逆婚約破棄ざまぁをしてやるのも楽しそう…いやむしろモブとして推しが幸せになれるよう暗躍するのもアリ…)



かくいう自分も、小説や漫画を毎日スマホで読みふけり、今でこそ黒歴史になりそうなそんな憧れや妄想を繰り広げる普通の少女であった。








「っ…!!??い゛っっ…いっ痛、いだぁあいぃい…っ!?こ、ここ…どこっ…っだ!!?ああぁっ、何これ痛いぃ!!まっ…ちょっと待っで…ん、んぐぁ…っ!!」





あの日、気が狂うような激痛の最中、前世の記憶を思い出すまでは。




身動きがままならないほどの半身を襲う激痛と共に齎された前世の膨大な記憶によって「力入れてー!」とか「もっと息を吐いて」とか言われたことが全く頭に入らなかったのは今も覚えている。


食卓を囲む懐かしい顔をした男女を父母と呼ぶ知らない少女。その隣には少女を姉と呼ぶ少年。足元には小さな犬が擦り寄って。知らない家、場所。自転車に乗る。横を通り過ぎる車。空には飛行機雲。カフェの併設された本屋さんの前に信号機。後から来た友人と並んで走る姿が本屋のガラスに映る。勉強して、遊んで、他愛もない話で笑って。将来の不安よりも今が楽しかった学生の頃。ガラスに映った姿は気がつけば大人になって、高いビルに囲まれた雑踏の中にいた。社会人一年目、緊張して、失敗しないように、今日も叱られるんじゃないかと怯えながら、いっぱいいっぱいだった。周囲に遅れないよう、見放されないよう、朝早く出勤して、それでも追いつかなくて、遅れを取り戻すため遅くまでかかった。ベッドに倒れこむ。横になった視界でスマホのロックを外す。大好きだった筈のゲームには何日ログインできていないのだろう。創作小説のランキングも、自分の知っているものとはいつの間にか大きく様変わりしていた。ベッドの端に積んである本は買った時のままカバーも綺麗で。ホーム画面をスライドする。家族の写真。帰りたい。遠いよ。帰れないんだ。あぁ、疲れた。



走馬灯のような記憶はそこで途切れていた。

頭に流れ込む様々な記憶と感情、身体を襲う激痛に思考も出来ず、ただ溢れてきた涙なのか冷や汗なのか分からないものを腕で拭った。


おそらく前世の自分はそこで命を落としたのかもしれない。


込み上げてきた感情を吐き出すように大きく呻ると「もう少しですよ!」と声をかけられる。


何がもう少しなのかと考えて、今度は今世の記憶が波のように押し寄せてくる。


ノーザンクロス侯爵家の娘として生まれ、優しい母と、厳しくも慈しんでくれた父親や、やや過保護な兄に囲まれて育った。母は元隣国のお姫様でとても綺麗な人だった。父も禿げていないし。兄は本当の兄ではなかったけれどいつだって優しかった。穏やかな日々。無理矢理兄の帰省について行った帰り道、森で倒れている少女を見つけ、彼女に「助けて」と請われるまま制止する家族を押し切って自分の侍女に任命してその家族共々連れ帰った。自分よりも幼い少女は妹のようで。あまり笑わない少女を毎日のように遊びにつれ回して、たくさんおしゃべりをした。「リディア様は侯爵家の令嬢なのですから、もっとおしとやかにしなければなりませんよ」そう妹のような少女に諭される程には令嬢としては規格外だったのかもしれない。成長とともに自分の生まれた意味に気付いて、貴族令嬢としての宿命を理解し、奔放さを隠す術を身に着け、学園を卒業してすぐに父親の薦める相手と婚約をした。相手はちっとも此方を見ようとしなかったけれど。背が違いすぎて物理的に目が合わなかったとも言うけれど。すぐに仕事と偽って愛人のもとへ通うようになった。傷付かないわけではなかったが、最初から此方も好きで結婚したわけではないので割り切ろうと必死に思っている最中、この身に新しい命が宿ったことを知らされた。


ということは、自分は今、その新しい命の出産の真っ最中ということなのではと思い至るが、あまりの痛みに思考もままならず、遠くなる意識を必死に繋ぎとめるので精一杯だった。


「ぐ…ぅぅ…っ、っ…!!」


涙なのか汗なのか分からない液体で視界が滲む。頭がぐしゃぐしゃだ。一際強い痛みが襲い、目を瞑って呻り声を上げながら力一杯いきんだ次の瞬間、小さな泣き声と体からごっそりと力が抜け落ちたような激しい脱力感に襲われて。


「っ…」


遠のく意識の中で「おめでとうございます」の声を聞いたような気がしたが、指先一つ動かせなくなった体はそのまま瞼を持ち上げることもできず、意識を失った。








夢を見た。




『おかあさま…っ…どう…て…私をおいていって、しまったのっ…私のことが、いやになったの…っ…おかあ、さま…!!』



一人の少女がベッドに寝かされた誰かに縋って泣いている夢だった。



その少女が誰かは分からなかった。けれど咄嗟に口から出た「ちがうわ」の言葉は、突然吹いた風に掻き消されて少女の姿も急に掻き消えてしまった。



次に見たのは見慣れた屋敷。



『どうして…私が、こんなこと…っ…寒いよ…痛いよ…』



先程泣いていた少女は、使用人のような服を着せられて、寒空の中水汲み場の影で一人蹲っていた。

自分の肩を抱くようにしたその手は赤く、今にも血が出そうなくらい荒れていた。駆け寄ろうと踏み出した足は、ぬかるみに嵌ってしまったかのように動かない。



『…お父様も…あの人たちも…みんな…私がいなくなればいいと思ってるんだわ…』



そんな悲しいことを言わないで。私は。



『嫌い…みんなきらい…みんな、みんな死んじゃえばいいのに…』



言いかけた言葉はまたしても音にならず、また場面が急に切り替わる。




『めざわりだわ、同じ空気を吸っているだけで汚らわしい』




蔑みながら細めた眼差しで誰かを冷たく見下しているのは、成長した少女だった。



『この場にいること自体が間違いなのだと分からないのかしら?』



相手を貶め優越感に浸る姿に、傷付いて一人で泣いていた面影はない。

しかし、全てを恨むように、自分の望みだけを優先するその様は酷く痛ましく映った。



『全く、本当に邪魔な子…ふふ…いいわ、全部私が奪ってあげる…王太子妃の座は渡さない。第二王子は私の言いなり…あははっ…楽しみね、いつ事を起こしてくれるのかしら?』



だめ、だめよ。そんなことをしては駄目。



『そう…第二王子は幽閉されたのね…思ったよりも早かったわ…本当に使えない愚図ね…まぁいいわ、これで舞台は整ったもの』



手を伸ばしても、叫んでも、自分の声は少女に届かない。

また場面が切り替わる。



『…今何と仰いましたの…?』



想いを寄せていた王太子である青年に剣を向けられ、その横にいた桃色の髪の少女が「もうやめてください」と叫ぶ。その言葉に少女が桃色の髪の少女を睨みつけると、青年が『全てお前の仕業だという事は分かっている』と桃色の髪の少女を守るように立ち、叫ぶ。



『そんな…私が何を…』


『証拠はあるのですか?あれは第二王子殿下が独断でしたこと…』


『私は悪くありませんわ…!!関係のない…』


『……そう、もう分かってしまったのね……ふふっ…あはははっ…』


『貴女に何が分かるの?平民の分際で運よく殿下の目にとまって、今まで両親に愛されのうのうと守られてきた貴女に何が分かるって言うの!?知った風な口を利くな!!』




『許さない…お前も思い知ればいいのよ!!』





ぶつん、と急に灯りが消えたように目の前が真っ暗になる。




最後に見えたのは、断頭台で虚ろな目をして遠くを見つめる少女の姿だった。




『………』



どうしてなんだろう。私は幸せになりたかっただけなのに。


大好きなお母様がいなくなって、お屋敷に一人っきりで、寂しくて。


お父様は私のことを見てくれなくなった。


継母も異母妹も私を嫌って、迫害する。


使用人たちは見て見ないふり。


厄介払いとでも言うように問題ばかりの第二王子の婚約者にさせられた。


どこにいても憐れみと嘲笑の目で見られて。


寂しかった。


どうして私ばかりこんな目に合わなきゃいけないんだろう。


悲しかった。


悪いことなんて何もしていないのに。


悔しかった。


誰も助けてなんてくれなかった。


許せなかった。


いつの間にか、幸せになりたいと願う気持ちは、思い知らせてやりたいと誰かを憎む気持ちにすり替わっていた。

真っ当に生きていてもこんな目に合うのなら、どんな手段を使ってでも這い上がって、自分を迫害し見捨てた者達に復讐してやりたかった。


いつからそうなったのか思い出せない。


誰かを傷つける度、利用する度、切り捨てる度、自分の心も失くしていったんだろう。


今の自分は空っぽだ。


憤りも、悲しみも、何もない。諦めすら抱けない自分はもう壊れているのかもしれなかった。

台に押さえつけられ、跪かされる。足元の木板には何時のものか分からない赤黒い染みが染み込んでいた。



死を実感したこの時になって、初めて小さな後悔が胸に芽生える。





死んだらお母様に会えるのね……お母様は、今の私を見てがっかりするかしら……





何てことをと叱られるかもしれない。


こんな娘は恥だと罵られるかもしれない。


娘だとすら認めてもらえないかもしれない。



けれど、自分にとっては母に会えるということだけで十分だった。




閉じた瞳から涙が零れる。零れた涙が下に落ちるのと同時に執行人の腕は振り下ろされた。









「いやあぁっ!!ミモザぁあぁっ!!!!」


自分の絶叫で目が覚める。


「っ…リディア様…目が覚めたんですね」


急に明るくなった視界に目が眩む。心臓が痛い。全力疾走した後のように耳のすぐ近くがどくどくと脈打つ。思わず胸元を掴んだ手は震え、汗なのか涙なのか分からない雫が頬を伝った。


駆け寄ってきた見知ったはずのアリアの姿が、現実なのか、夢の続きなのか一瞬分からなくなって、起き上がろうとして身体に走った痛みに再びベッドに沈む。


「っ…」

「まだ、ご無理なさいませんよう…」

「アリア…?」

「落ち着かれてください…もう、終ったんですよ」

「………」

「大丈夫です、お子様もお元気ですよ」


「ほら」と指を指された方向に首をめぐらせると、自分の隣には小さな赤ん坊がおくるみにくるまれた状態で寝かされていた。


「……ミモザ?」


ふくふくとした赤味のあるほっぺ、きゅっと握られた小さな手、濡れて未だ張り付いたままのオレンジがかった赤い髪の毛は自分とそっくりだ。


「ミモザ…?まぁ、もう名前をお考えになったんですか?」

「名前……」


アリアに言われて考え込む。


そうだ、私が生んだ。この子の名前は。


「ミモザ・サザンクロス…」


その名前を口にした瞬間、頭の中を膨大な情報が駆け巡る。



星の天使と七人の騎士という前世の私がプレイしていたゲーム。


俗に言う乙女ゲームで、魔法学園を舞台に星の天使の生まれ変わりであるヒロインが、攻略対象である七騎士達と協力して冥王を倒すというストーリーだった。

攻略対象は幼馴染や教師といった学園モノの定番らしさもあり、王太子やその側近など異世界らしさもあり。ゲーム自体の難易度も然程高くなく、攻略対象の好感度や戦闘レベル、ストーリーの要所を押さえていればエンディングに辿り着けるというゲーム下手な前世の私にも優しいゲームだった。


しかしそこはやっぱり乙女ゲーらしく、ライバルの妨害がつきもので。


『平民風情が汚らわしい』


口元を扇で隠しながら、ヒロインをねめつける少女。

オレンジがかった赤い髪を靡かせ、侯爵令嬢という身分を笠に着てヒロインを苛める様は、いくら見た目が綺麗でも醜悪に映る。


所謂“悪役令嬢”である彼女の名前はミモザ・サザンクロス。



そう、サザンクロスなのだ。



リディア・サザンクロス


それが今の私の名前である。


ゲームの登場人物や世界観は今まさにリディアの暮らすこの世界と酷似している。けれどゲームの悪役令嬢の名はリディアではない。現在の自分が暮らすこの世界のご時勢を思い返しても、ゲームの時間軸とは少しズレがあるように思える。


このことから導き出された結果は、ゲームの悪役令嬢とされているのは自分ではなく。隣で健やかにすよすよと眠るこの赤ん坊。



ミモザ・サザンクロス



(つまり、要するに、私は、悪役令嬢ミモザの母、ということになる…?)



「異世界転生…しちゃったってこと…?」



怪訝そうに自分を見つめるアリアの存在を忘れ、リディアは呟く。


乙女ゲーム転生など、ライトノベルで大人気のテーマではないか。それを果たしたなど、前世で無念に死んだとはいえ勝ち組といっていいのではないか。


しかし。


そんなことを悠長に喜んでいる場合でないことも同時に理解した。


この子がミモザなら、先程見た夢はこの子が将来辿るかもしれない最悪の未来。

そして自分も、悪役令嬢ミモザの母ということは、あと数年内に死ぬことが確定しているようなもので。


「やばいわ…」

「リディア様?さっきからどうしたんです…?」

「やばいのよ…」


人間追い詰められると語彙力がなくなるものねと他人事のように、隣に寝かされた小さな赤ん坊を見ながらぼんやりと思う。


「………ねぇ、アリア」


まだ、どう言っていいかわからない。


信じられないとか。何でとか。どうしてとか。よりによってとか。

頭はぐしゃぐしゃで、身体もクタクタで、どうすべきかはちっとも浮かばないけれど、それでも。


小さな小さな手。ふわふわの産毛。赤味をおびたふくふくのほっぺ。まだ自分ひとりでは何もできない赤ん坊。私の大事な赤ちゃん。


何もしないでいるなんてできそうもなかった。


「はい?」

「ラーメン食べたくない?」

「は?」

「カレー、宅配ピザ、納豆も捨てがたいわ」

「え…え?お嬢様…?」


突然のリディアの話に呆気に取られたのか、この家に来てからは「リディア様」だった敬称が昔の呼び方に戻っている。そのことに、ふっと微笑みながらリディアは言った。


「アリア、お願いがあるの」


相手の顔が何故か引き攣ったのを「失礼だな」と思わないでもなかったが、「今度はなんですか」と呆れながらも、いつも付き合ってくれるのを知っているからリディアは笑った。
















「乙女ゲーム…ですか…」

「そう、どうやらここはその乙女ゲームの世界かもしれないの」


あの出産を経てリディアが思い出した前世の記憶。


前世を思い出したからと言っても、今世の記憶や知識が消えたわけではないし、人格や性格ももっと前世の影響が濃く出るものかと思っていたがそうでもないらしい。元よりリディアが貴族の令嬢らしからぬ奔放な性格をしていたせいもあるかもしれなかった。


「私はやったことがありませんね…というか私の場合前世の記憶も曖昧なので、断言もできませんが…」


アリアも転生者ではあるが、分類的には中途覚醒者というくくりに入る。


転生者には主に前世の記憶全てを受け継いで特別な能力を授かっている、完全覚醒者と、前世の記憶を断片的にしか覚えていないが、同じように特別な能力を授かっている中途覚醒者がいる。


転生者であるが故に利用されそうになり、家族揃って森で行き倒れていたところをリディアに拾われた縁で、アリアはそれからずっと恩を感じてリディアの傍に侍女として仕えてくれているが、リディアにとっては妹のような存在であった。

アリアの話す異世界の記憶は断片的なものだったが、幼いリディアはそれを聞くのが楽しかった。まさかこの年になって自分もそうだったなどと知るとは思わなかったが。


「ミモザはこの世界では悪役令嬢として処刑される運命にあるわ」

「…ミモザお嬢様が?」


アリアがピクリと眉を上げ目を細めた。


「もちろんそんなことはさせない!この命に代えても運命を変えてみせるつもりよ!!」

「っ…命に代えてもなんて…!」

「あのね、私、どの道もうすぐ死んじゃうと思うの」

「!?」


アリアにゲームのあらましを説明しながら、自分の辿るであろう運命についても説明をする。


「…私は、ミモザお嬢様が可愛いです…けど、ミモザお嬢様を助けるために貴女が犠牲になるなんてそんなの納得できない!!」

「アリア…」


激昂して叫んだアリアの顔が、怒っているのに泣きそうで、リディアは苦笑した。


「それでも…アリアの協力が必要なの…ごめんね」

「っ…」


我ながら卑怯だと思う。相手が幼い頃私に救われた恩を持っていると分かっていて、断れないと知っていて巻き込むことは本当に狡いことだと思う。


「みすみす死ぬつもりはないわ…やらなきゃいけないことが沢山あるもの」


このゲームはヒロインが七騎士である攻略対象達と協力し、宿敵である冥王を倒すというのが大まかなシナリオだ。選ぶ攻略対象によって多少の違いはあるものの、魔法学園に通いながら七騎士との絆を深め、クーデターと隣国の侵攻を阻止するという流れは大体同じである。


「けど、どの攻略対象のルートでもミモザは大体悪役令嬢として最後に処刑される」


強いて言えば名前が出てこないのはアルカイドのルートくらいだろう。しかしその場合はミモザの異母妹が悪役令嬢になるだけで、ミモザの不遇が改善される訳ではない。


「でもね、私思い出したの…」


全員のルートをクリアした後に出現する、冥王攻略ルート。

ヒロインが天使の生まれ変わりであるように、ヒロインの幼馴染で七騎士でもあるドゥーベが実は冥王の生まれ変わりであるという設定である。

エンディングを迎える相手はドゥーベだが、全員の好感度やステータスを引き継げるため、通称大団円ルートと呼ばれているルートだ。

最初のドゥーベのルートでは、彼が冥王として覚醒することはない。大団円ルートでは冥王として覚醒したドゥーベが、自分が絶対に天使の生まれ変わりであるヒロインと結ばれないことを嘆きながらも彼女の幸せを願い、自らヒロインに討たれようとするというシナリオだった。

このルートではミモザは悪役令嬢にならない。母親が死に、冷遇された幼少期を送っていたにも関わらず、だ。選択肢によって第二王子と共に冥王に操られていただけとされて、最終的にはヒロインの味方になる。


「…ミモザはヒロインではないから…詳しくはゲームでは書かれていないけど…このルートなら改変する余地があると思うの」


ミモザの魔法は闇属性の精神魔法。亡くなった母から引き継いだ力だとキャラクター紹介の項に書いてあった。

目覚めてすぐにリディアは自分にその力があるのか確かめた。結果、やはり覚醒と同時に転生者としてその能力を授かっていたらしい。

幸いリディアのこの能力は現時点で誰にも気付かれていない。もしミモザの性格や、考え方をゲームとは違う状態に導くことが出来たなら、強制的に大団円のルートに入れるのではないかと思ったのだ。


「ミモザお嬢様に情報を与えて導こうというのがリディア様の考えなのですね?」

「そうね…攻略対象たちのルートについては言うだけじゃなくて記録を残そうと思っているわ…けど、ミモザにはこの大団円のルートの事だけは黙っていてほしいの」

「どうして?冥王の正体について教えておいた方がいいのでは?」


リディアが躊躇った理由はミモザのためというよりは、まだ見ぬ冥王として覚醒する青年のためでもあった。


今の幼いミモザを見ていれば、そんなことはしないだろうと思ってはいるが、もしも、万が一にでも、彼が冥王であるとリディアが先入観を与えた結果、何もしていないドゥーベが傷つけられる結果になってはいけないと思ったからだった。たとえミモザが何もしなかったとしても、その事実を知った誰かが、そういった行動に出る可能性も少なくない。


不確定な未来のために、堅実に生きている子供達の今が奪われるなどあってはならない。


だから書き残した日記には、全員のルートクリア後に大団円ルートが開放されることと、そのルートがドゥーベを中心にしたものだということ、冥王が復活するということだけしか書かなかった。


もしも大団円ルートに入れなくて最悪他の攻略対象のルートに入ったとしても、第二王子とミモザにクーデターを起こさせようと唆す悪魔を倒せば、切り抜けられるかもしれない。


正解なんて分からない。今のこの自分の判断が合っているかどうかなんて自信なんてなかった。

未来の改変。もしかしたらとんでもないことをしようとしているんじゃないかとも思った。自分が動いたせいで不利益を蒙る人間が現れないとも限らない。背負うべき罪の大きさが分からなくて、やる前から不安に押しつぶされそうだ。



けれど



何もしなくても、自分は遠くない未来にミモザを置いて死ぬ。


アリアには前世の知識で治せないのかと言われたが、自分は医者だったわけじゃないし、仮にどこが悪いのか分かってもこの世界の医療レベルでは治せないのではないかと思った。

回復魔法も試してみたが、効果がないことは最近崩しやすくなった体調が何よりも物語っていた。



だから自分に暗示をかけた。



前世の記憶を探る中で、プラシーボ効果というものに思い出したからだ。


効果のないものでも、思い込みの力によって効果や影響が現れるというものだ。

要は自分は健康体だと体に思わせることができればいいのだ。そして自分にはソレを可能にしうる能力が備わっている。


鏡を見ながら、強く何重にも暗示をかける。

病に侵された体を強力な自己暗示で騙しながら、生き長らえる道を選んだのは、ミモザを助けたいという一心だった。



それでもどれだけ持つかは分からない。

自分の命が果たしてゲームの時間軸まで持つのかは賭けだった。


それでも自分にできることがあるのなら、この世界に転生した自分にしかできないことがあるのなら、やるべきだと思った。




「私がこの屋敷からいなくなった後…どうかこの子のことをお願いね、アリア」


最近少しだけ笑うようになってきたミモザをあやしながらリディアは言う。


「…本当にミモザお嬢様を置いていくつもりなのですか?」

「そうね…」


ゲームの本編、大団円ルートの最後は典型的な皆の力を合わせればなんとかなるさ!な展開であった。冥王の問題はヒロインや攻略対象達で何とかなるだろう。ミモザも、この子ならきっと大丈夫。問題は、冥王復活と同時に起こる隣国の挙兵だった。

攻略対象全員のステータスが最大なら、誰を振り分けても戦闘を沈静化させることができるが、無理矢理に大団円ルートに入ろうとしている今世ではそれは難しいかもしれない。

国境で戦闘を終結させられるだけの能力を持った人員を集める必要があったし、隣国にも協力者を得ておく必要があった。



だからこそリディアはその役目を自らに課した。




「まぁあ、ごろーんが上手でちゅねぇ」


漸く寝返りが打てるようになったミモザを、仰向けに戻しながら寝付けるためにぽんぽんとお腹を叩く。中々寝てくれないこともあったけど、寝返りに成功してにこっと笑う顔が可愛かった。




実家であるノーザンクロス家の当主である兄と、父に転生者として覚醒したことを打ち明け、隣国に侵攻の影ありとの情報を与え協力を乞うた。隣国の情報を集める駒となる代わりに、万が一の時ミモザへの庇護を約束してもらった。




「あんよが上手でしゅね~」


両手を引きながら、震えてまだ上手く歩けない小さな足が緑の草を踏む。

はじめてミモザのために誂えたこの小さな靴は宝物。





身分を隠して隣国へも何度も通った。ハダルの情勢は不安定で、自然災害による被害や飢饉も起こっており、中枢はそれなりに富んでいるが王都から離れた街の民達は活気がなく。戦争が始まればきっとこうした人たちにしわ寄せが行くであろうことが窺えた。戦争を止めるだけではなく、もっと根本的な民のための政策が必要だと思った。




「今日から特訓よ!!目指せ!!叩き折れ死亡フラグ!!」


はじめてミモザに“悪役令嬢”のことを伝えたとき、あなたはぽかんとしていたわね。

無理はない。私だっていきなり母親からそんなこと言われたら呆然として豆鉄砲くらった鳩みたいになるわ。





ヒロインの出身地であるパールの村にも行った。ラノベでよくあるヒロインも転生者だったなどという展開を危惧してのことだったけれど、それは杞憂だったみたい。黒い髪の少年のあとをついてまわる姿に貴女の面影を見てどうしようもなく会いたくなった。






「人に優しくありなさい」


「自分がされて嫌なことは他の人にもしては駄目よ」


「嘘をついてはだめ」


「人の気持ちを考えて」



全部自分に返ってきそうなことばかり。本当に綺麗事ばかり言っていたような気がするの。

それでも貴女は、そのときそのとき、自分で答えを見つけようと必死に考えたり悩んだりして答えを見つけようと努力していた。



がんばってたわ、本当に。









「お母様…」

「どうしたのミモザ?」

「あのね…お庭ですてきなお花を見つけたの…」

「そう…お母様にも見せてくれる?」

「うん!」


駆け寄ってきたミモザをベッドの上で抱きしめる。

体調を崩してこうして臥せっている日、必ず貴女はお見舞いに花を摘んできてくれたわね。


「あのね、ルガス爺に切ってもらったの」

「まぁ、すごく綺麗ね」

「お母様のお部屋にかざってね?」

「えぇ、もちろん!」


花瓶に生けられた花が数本。花の数でここ数日ベッドから起き上がることができなかったのだと思い知らされた。


「ねぇお母様…」

「なぁに?」

「はやく元気になってね…」


リディアの膝の上に頭をつけて、瞼を閉じてうとうとし始めたミモザに「そうね」と返しながら、ゆっくりと何度もその頭を撫でる。



自分がこの屋敷からいなくなった後、ミモザが憂き目に合うのは分かっていた。だからミモザの手助けをしてくれるようアリアを巻き込んだ。あの子ならばきっとミモザを助けて力になってくれる。



「っ……」



眠ってしまったミモザの髪の毛にぽたりと雫が落ちる。



「ごめんね……っう……ごめ…ね、ミモザ…っ…」



自分からこの場所を捨てて出て行こうとしている癖に、未練がましく泣いて、迷いを断ち切ることもできない。


すやすやと寝息を立てるミモザを起こさないよう声を殺して泣いた。

背中を丸めるとミモザの着ている服の上にぽたぽたと涙が落ちてしみこんでいった。



どうして置いていけるというの。こんなにかわいい子を。


何度も止めてしまおうと思った。


何もかも放り出して、自分の命が尽きるまでこの子の傍に居たかった。


けれど、いつ死ぬとも分からない状態で問題を先送りにして、自分がいなくなった後ミモザの身に降りかかる災を思えばそうすることも出来なかった。



「…ミモザ……大好きよ……」



眠るミモザの顔を見ながら、別れの日が近いことをリディアは悟った。






















亡霊でも見るような目にふっと笑みを零す。

実際亡霊なのだから仕方ないけれど。




「このリディア、亡霊となって地獄の底から馳せ参じましたわ」



綺麗なカーテシーをきめて、顎に手を当てながら床に転がる相手を正面から見据える。



「あ、貴女は…っ…」

「っな、何故貴様が生きているっ…!!?お前は死んだはずだ!!ま、まさかミモザの幻覚か!?」

「いいえ」

「ぐぇっ!?」

「旦那様っ」

「幻覚ではこのようにして貴方に触れることは出来ませんから」


腰が抜けたのか震えたまま起き上がれないでいた侯爵を足蹴にして「ほらね?」とにっこり笑う。


「な…ぐ…っ、私を、たばかったのか!!」

「あら、私がいない方が都合が良かったのはそちらも同じでしょう?」

「ぐっ…だ、だったら今更何の用だ!!」


リギルに助け起こされて、睨みつけてくる侯爵に冷たい視線を返す。


「どうやったのか知らないが、一度死んで籍を失った人間が侯爵家に楯突くなど…!!もうこの屋敷にはお前の自由になるものなど何もないっ!!不敬罪でひっ捕らえてくれる!!」

「まぁよく吼える負け犬ですこと」

「何だと!!」


逆上する侯爵とは反対に、それを支えるリギルは顔を青褪めさせ肩を震わせていた。

近付けば呪われるとでも思っているのだろうか。掴みかかってきそうな侯爵の腕を必死に掴み、リディアに近付けないよう抑えている。


「驚くのは無理はありませんけど…何故今更になって私が姿を現したのか分かりませんの?」

「そ、そんなの復讐のために決まっているだろう!!」

「まぁ、復讐されるような自覚はおありだったのですね!」

「くっ、こ、この調子に乗りおって…!!」


よろよろと繰り出された拳は、女の身でも十分かわせる程の甘っちょろさだった。


「相変わらず…頭でっかちで実技に中身がありませんね…貴方にはこれから前線へ赴いてもらう予定だというのに…これでは生き残れませんわよ?」

「何だとっ!?」


リディアの言った言葉に反応したのは侯爵ばかりではない。横にいたリギルもまた青い顔から更に血の気を引かせて「お待ちください!!」と縋るように声を上げた。


「私達が貴女にしたこと、あの子にしたことは許されないことだと分かっています!!けれどこの人はっ、この領地に必要な人間です、どうか…!!」

「そうね、領地経営の才に関してはお父様も認めていたわね」

「ならばどうか、どうかこの人を…!!」

「それはできないわ」

「っ…」

「リギル!!こんな奴に頭など下げる必要はない!!何故私がお前の言いなりにならなければならないんだっ!!」

「全く…別に私は命令しに来たんじゃありません」

「何を…?」


リディアの言葉に疑問を抱いて相手が動きを止めた隙に、侯爵の上着についていたカフスに手を伸ばして無理矢理引きちぎった。


「っ…貴様、何をする!!」

「これ、ボタンに見えるでしょう?でもね、小型の記録装置なんです」

「は」

「お忙しくて着替える暇もなかったみたいですわね。これでハダルとの間でどのような交渉が行われていたか一目瞭然という訳ですわ」

「わ、私は何もやましいことなど…!!し、仕方なかったんだ!!もうミモザを出さなければ戦争は」

「ミモザが第二王子妃として王家に嫁ぐことを既に国王陛下は承認されているのです」

「な…そんな、まだ私は正式に婚約を認めてなど…」

「貴方は本当に親として子を思う気持ちが分からないのですね。陛下が王子殿下方を想われているのなんて、誰の目にも明らかでしょうに」


幼い頃、置かれた立場のせいで自分が手を差し伸べることも出来ず、心を閉ざしてしまった幼い我が子が唯一望んだ少女。そんな相手を息子に対して罪悪感を抱いていた陛下がみすみす逃すわけがない。学園祭のとき、教師の振りをして魔法省から送り込まれていた内偵からアリアが聞いた話によれば、最終的にはミモザの同意がなくても強制的に召抱えられるだけの外堀は埋まっていたのだという。親バカも呆れたものだ。


「あの子の周りだけでなく、このサザンクロスにも王家の内偵は常についていたのです」

「な…そんな…」

「この記録装置も王家の内偵である魔法省の研究員が作成したものだそうですよ」

「あ…あ…」

「ですから、大事な息子である第二王子の伴侶にと囲っていた少女を勝手に他国へ嫁に出したなどと、陛下に知られたら……このサザンクロス領は、いえ、貴方様はどうなってしまうのでしょうね?」

「わ、私を脅すつもりか!!」

「いいえ、そんなつもりは…ただ、そんなこと言ってたのが公にならないよう必死に前線で身を削って陛下の意思を死守しておりましたって言い訳できるだけの実績を作ったらどうですかと言っているだけですわ」


両手を顔の前で合わせて小首を傾げ、殊更にっこりと笑う。


「くっ…くそ…」


結婚していた間柄だというのに、悪態をつきながら項垂れる相手に何の感慨も抱けなかった。



「…貴方も私も、もっと話をするべきだったのかもしれません」



愛情はなくても、共にこの地を支えていく友にはなれたかもしれなかった。

好いた相手ができたことも、誠実に話してくれたなら、もっと違う形で解決できたかもしれなかった。

リディアも、ミモザも。

項垂れる侯爵に寄り添い背を擦っているその人も。


誰もこんな思いをしなくても済んだかもしれなかったのに。


「っ…満足か、こうして私を笑いものにできて…!」


それでも見捨てられないのは、恨みきれないのは、ほんの少しの間でも情が移ってしまったからかもしれなかった。


「…いいえ、貴方がどれだけ落ちぶれようとも…やっぱり私は貴方達を許せません」


許さないけど、もう責めない。

恨む気持ちは消えないけど、もう憎まない。


もう戻れないのだから前を向く。戻れない日を嘆くより、少しずつでも前を向いて歩いていきたい。



あの子がそうしたように。



「子供って、あっという間に大きくなって親の手から巣立っていってしまうんです」



教えられているのは何時だって自分の方だった。

導いているつもりが、いつの間にかあの子は自分の手で新しい未来を作っていった。

あの子が辿った道には沢山の人の想いが詰っている。

あの子の言葉が、その行いが。沢山の人の心を動かしたからこそ今がある。


自分もその一人。


あの日、腕に抱いた暖かさ。赤ちゃんってこんなに小さいのに、こんなに重いんだって思った。笑った顔の可愛らしさ。その笑顔を見ると胸が幸せで一杯になったし、泣いている姿を見れば胸が苦しくなった。泣き止んで欲しくて、泣き止むまでずっと抱っこして背中をとんとんと叩いて宥めた。何時になっても寝てくれない時もあった。眠くて、体が辛くて、抱き上げる腕が痺れて、子供を育てるのがこんなに大変なんだって知って。きっとお母様もこうして私のことを育ててくれたのかなって、初めて親の気持ちが分かった気がしたの。寝返りがうてるようになって、掴まり立ちができるようになって、よちよちと拙く歩くあの子の世界が広がって。嬉しいことの筈なのに「転んだりしないかな」「遠くへ行ってはだめよ」と毎日心配で堪らなくなった。あの子が熱を出す度に、代わってあげられたならどれだけいいだろうと思い、元気になるまで生きた心地がしなかった。


誰より大切に慈しみたいと思う。


健やかであって欲しい。ずっと幸せであって欲しい。


自分の命と引き換えにしてでも守りたいと思えた。


全部あの子が教えてくれたこと。




私を母親にしてくれた。



この気持ちを父親である貴方と分かち合えなかったこと、酷く残念ではあったけど。



「あの子が酷い目に遭うと知っていて、この屋敷に残してしまった私も同罪です」


むしろ自分の方が罪が重い。幸せでいて欲しいと願うのと同じ口で、苦しみを強いたようなものだった。思い出しても後悔しかない。自分のしたことが本当に正しいことだったのか分からない。今思い返しても失敗や過ちばかりが甦って、一つとしてうまくやれたことなんてなかったと思う。できることならもう一度あの頃に戻ってやり直したいとすら思った。けれどあの時自分は、間違いなくミモザのことを想ったからこそ決別の道を選んだ。あの時そうすることがミモザにとって最善の行動だと信じて行動した。だからもう後悔はやめる。今自分があの子のためにできることをする。


「…今王城は冥王のせいで全く機能していません。そんな状態でこれ以上ハダルの侵攻を許せば民に被害が出ます。貴方には前線へ赴いて辺境軍の指揮を執ってもらいます」



かわいい、かわいいミモザ。私の大事な娘。



「私も一緒に前線へ参ります」

「っ…お前ごときに何が出来るというんだ!!」

「あら“母は強し”って言葉を知りませんの?」


吼えるように叫んだ相手に、内心に浮かべた寂しさを気取られないよう不適に笑う。



「未練などありません。私はもう、この世にはいない人間なのですから」



一緒にいてあげられなくてごめんね。自己満足でも、最後くらいちゃんとあなたを守らせてね。



「それなら私もっ!!私もこの人と一緒に行きます!!」

「な…」


部屋を出るよう促そうとしたとき、それを阻むように縋ったのはリギルだった。


「お、お前…何を言っているんだ…!!」

「死ぬともしれない危険な場所にこの人を一人で行かせるなんて…置いていかれるくらいならいっそ一緒に…!!」

「リギル…」


一緒に死にに行くとでも言える妻の申し出に、それほどまでに想われていたことに驚愕した侯爵は呆然として動きを止めた。


「…貴女はここに残り、万が一この人に何かがあった時に侯爵領を支える義務があります」

「そんな…!!」

「心中なんて許さない」



たとえ今日死ぬことになったとしても。



「これが亡霊である私からの復讐です」




絶対にあなたと、あなたの大切なものを守ってみせる。




「今度こそ、しっかりと務めを果たして下さいませ」






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― 新着の感想 ―
[良い点] あー!!お母様!!(泣) まさかこうしてやってきてくれるとは思っておらず、本当に感動が止まらないです!!
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