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タイミング
結局、この週末まで慶太から連絡はなかった。
やっぱりあの日連絡するべきだった、
と、後悔しても遅い。
一度タイミングを逃すとなかなか動けずにいた。
「先生、これ、こないだの課題。
あと、就職先に提出するんだけど、
これ、ちょっと見て欲しいんだよね。」
「あ、ありがとう。今まで残ってたの?
先生もう帰るから駅まで一緒に行こうか。
それ、見ながら歩こ。」
学校から駅までは歩いて5分ほどの距離だった。
2人の生徒は熱心に課題をしていたらしい。
先に下で待ってて、と伝え、
私はパソコンの電源を落とした。
職員室の奥でダウンコートを羽織り、
マフラーを巻く。
鞄を持つとお疲れ様でしたと声を掛け、
生徒たちが待つ、下へと急いだ。




