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想い合っていた時間。
想い合っていた時間を取り戻すかのように、
私たちは一緒に居たかった。
だけど、現実はそうもいかなくて、
快速電車で2時間ちょっと。
会おうと思っても、すぐに会えない距離は、
もどかしくて、遠かった。
毎週、毎週、交互に行き交うわけにもいかなくて、
会いたい気持ちが募る。
あと、どのくらい?もう少し。
そんな会話も、もうすぐ終わる。
この冬が終われば、
春から慶太はこっちに戻ってくる事が決まっていた。
あれから慶太は
すぐに京太のマンションを出た、らしい。
一人暮らしの慶太の部屋は、
とにかくモノが少なくて、
ベッド、ソファ、テーブル、テレビ、
本当にそれしかないんじゃないかってくらい
スッキリとした、生活感のない部屋だった。
洗面所には私の歯ブラシやスキンケア、
ドライヤーに私用のシャンプー、
慶太には必要のないコンタクトの洗浄液。
だから、そこだけが雑然として見える。
私が慶太の家に行くことよりも、
慶太がこっちに来る事の方が多いけど、
私の家にはあまり慶太のモノはなかった。
だから、菜々子には、
たまに別れたの?と聞かれたりもする。