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クソメイドとその主  作者: 藤 小百合
24/30

番外編 ハロウィン

こんにちは。更新遅れてすみません。

今回もまた、タイトル通りなお話です。季節イベントばっかりで、全然日常をえがいてない感ありますが、最終回に向けて、少しづつ取り入れていく予定です。

イベントごとと言えば、この物語では、毎度毎度昼間っからやってますが、この世界では、イベントの日が休日であるという、奇跡の時空となっております。予めご了承ください。

では、楽しんでいただけたら、嬉しいです。

 秋も深まりし、この季節。

 イベントごとには事欠かないこの国では、この季節も抜かりがない。

 悪魔祓いの儀式だったはずが、いつの間にかコスプレ大会と化している、そう、言わずもがななあのイベント。


 ――ハロウィン。


 とはいえ、紅葉の周りにはメイド服の女子が三人もいるので、普段からコスプレ大会な感じがする。それゆえ今更ハロウィンと言われても、という気がする。

 よって、まともに楽しむはじめてのハロウィンということで、紅葉自身もコスプレをしてみようという気になった。

 男のコスプレなんて誰が喜ぶんだ。コスプレなら学園祭の時にやっただろ。という突込みは散々自分自身で行ったが、喜ぶ奴がいるし、学園祭は女装だった。何より、祭りだから関係ない! という結論に至った。

 決意を固めたとして、次に浮かぶ問題は何のコスプレをするか。

 どうやって衣装を調達するか。

 もし、桜花たち(あいつら)に見つかったらどう言い訳をするか。

 そう、思っていたのだが、


「ご主人様。今度のハロウィン、コスプレしませんか? みんなで」


 と桜花に言われたのが、つい先ほど。

 必死に考えたほとんどの悩みが一発で消し飛んだ瞬間だった。




「で、どうしましょうか」

「なににする?」

「せっかくだから、何かネタになるようなのがいいな」

「さらっとやばいこと口走ってんぞ、雪」

「ははは……」


 桜花の宣言通り、みんなでコスプレをすることが決まった。ついでだから、みんなで何のコスプレをするかを話し合いで決めようということになった。

 話し合いは速攻で詰まる。

 何にするか、という部分で。


「ネタかぁ。何がいいかなぁ?」

「そこのっちゃ駄目でしょ」

「記憶に残るぐらい、面白いのがいいだろう?」

「そうだな。黒歴史にならない方向ならな」

「やはり、こう、バーンと肌色成分が多いやつがいいですかね」

「おい、露出癖。一回黙れ」


 ほぼ全員に突込みを入れなきゃいけない状況となり、精神的な何かがガンガン削られていく。

 紅葉がボケの楽しさに気付いて、ふざけてから、海のボケの回数が急上昇。突込みがいないと収拾がつかないので、必然的に紅葉が突込みを担当することに。

 もともとそうだったのが、ここ最近は海に突込みを任せていたせいで、海も海で疲れたというか、面倒な気持ちを抱いたのだろう。紅葉への風当たりが強くなった。気がする。

 雪も最近S発言多めだし、桜花も露出には走ることが多くなった。ような気がする。

 とにかくまぁ、疲れる。

 唯一ボケに参加していない花火も、微笑ましく見守るだけで助け舟を出したりはしない。

 流石に、常識から著しくかけ離れたことをしようものなら止めに入るが。


「ご主人様は、何か要望ありますか?」

「無難なので」

「却下」

「面白くない」

「判断基準がそこなのがまずおかしい」

「まま、気にせずに。それで、本当に何もなしですか? こう、わたしに来て欲しい衣装とか」


 若干、頬を紅潮させながら自分自身を指さす桜花を見ながら、なにが似合うのか、どんなのが見たいかを少し真面目に考える。

 ……。


「小悪魔、とか?」

「ご主人様。弄んで欲しいんですか!?」

「ちげーよ!!」

「Mの素質があったのか」

「願望でしょ」

「だからちげーって!!」

「あの、これ……よかったら」


 ちょいと横から差し出されたのはとあるゲームソフト。


「って! なんでSMものなんだよ!! こんなのまであるとか、この国スゲーな。逆に感心するよ」


 花火から差し出されたそれを受け取り、パッケージを見て即座に返す。


「いいから、まじめに話し合え!!」


 不毛なやり取りの突込みに疲れ、投げやりな突込みで強引に話を戻す。

 精神的な疲労を隠しもせず、大きなため息を吐く。

 吐き出した息に、何もかもが混ざって外に出すように。


「とはいえ、どんなのにしましょうか?」

「そこが決まらないとねぇ」


 うんうん唸って結論が出ない。


「んじゃ、くじってどうだ?」

「くじ?」


 紅葉の出した意見に全員が首を傾げる。

 皆の顔をざっと見渡し、説明をする。


「簡単な話だよ。全員が適当に何のコスプレかを紙に書く。それを、混ぜて一人ずつ引いていく。紙に書いてあったコスプレをする。ってこと」

「なるほど」

「ランダム要素が強い分、誰かを狙って、とかは難しいわけか」

「逆に言えば、誰でもいい場合は、これ以上ないってことだろ」

「いろいろわきまえたの書けよ……?」


 一応突っ込んでみたものの、あまり効果はなさそうだ。特に、完全に悪い顔してる雪とか。

 とはいえ、特に異論も出なかったので、くじ制で行くことに。各々が紙に書き、それを段ボール箱(無駄にあった)に入れ、一人ずつ引いていく。

 引く順番はじゃんけんで。

 まずは、雪。花火。海。桜花。そして紅葉。

 非情に嫌な予感しかしなかったものの、残り物にはなんとやら。あくまでポジティブに。

 全員が引き終わったので、一斉に開く。

 掛け声は海。


「せーのっ!」


 開いた紙を、お互い見せあう。

 紙には、魔女、天使、悪魔、お姫様、カボチャ。

 ――カボチャ。

 字体で誰が書いたかは、何となくわかる。確かに、ハロウィンと言えば、カボチャだ。間違ってはいないだろうが、釈然としない気持ちもある。

 そして、それを引き当てたのは、もちろん。


「カボチャってなんだよ、おい」


 紅葉だった。


「フフフ。楽しみにしているぞ、紅葉」

「その顔をやめろ」


 雪の悪い顔が無性に腹ただしい。

 以下、引き当てたコスプレと引いた人。

 海、悪魔。

 花火、天使。

 雪、魔女。

 桜花、お姫様。


「花火が天使であたしが悪魔とか、双子っぽくていいね。性格も体形もいろいろ正反対で、双子ネタでいじられたこともないけど。ようやくって感じ」

「お、お姉ちゃん。今回も正反対な気がするけど……」

「魔女か。まぁ無難だな」

「お姫さまって、どんなお姫様なんですかね。シンデレラ? 白雪姫? それとも普通に姫?」


 それぞれがそれぞれの反応を示す。

 喜ぶ者もいれば、困惑する者も。そして、微妙な者も。


「桜花ちゃんはお姫様かぁ。誰が書いたんだろうねぇ?」

「余計な詮索はよしておけ。まぁ、詮索しなくてもわかるがな。大方、文化祭の時は王子だったから、お姫さま姿も見てみたい、とか思ったんだろう」

「よかったですね。桜花さんが引いて」

「みんなして俺いじめんのやめて……!」


 非情にいたたまれなくなった。




 後日から、それぞれ衣装の用意に取り掛かった。

 女性たちは手作りをするらしい。花火がコスプレ衣装を作った経験があるそうで、海も意外なことに裁縫が得意ということで、双子を中心にして衣装制作に取り掛かっているらしい。

 一人、制作を断った紅葉は、ネットでそれらしいものを探していた。

 断った理由は一つ。ネタ衣装作らされそうだから。

 同じネタでも、誰かに作らされるという、終始いじられるよりかはましだろうと、自分で探すことにした。

 しかしながら、なかなかいいものが見つからない。

 もういっそ適当でいいかと思い始めたころ、それが見つかった。

 ――これでいい。

 紅葉の直感がそう告げた。

 さらに後日。それが届いた。また段ボール箱が増えた。


 ――そして、来るハロウィン当日。


「ハッピーハロウィン! トリックオアトリート!」


 部屋で寝ていた紅葉を襲う、大きすぎる声と衝撃。

 ベッドから落とされた。


「ってえ。なんなんだよ、朝っぱらから」

「もう昼です。ご主人様」

「あと五分」

「とか言って、もう一回桜花ちゃんに起こしてもらいたいだけなんじゃ?」

「だっはー。急に目が覚めた。いやぁ、いい天気だねぇ」

「いや目、開いてないし」

「いいから、さっさと着替えてこい。リビングで待ってるからな。ちなみに起きてこなかったら、ネットに寝顔さらす」

「やめてねっ!」


 わいわいギャーギャー言って部屋を出ていく女子集団。

 まだ寝ていたいと閉じたままの眼ですら何となくわかる。

 仕方なしと、のそのそ起き上がってコスプレに着替える。

 ダルダルとしたまま、リビングへ向かう。


「トリックオアトリート! 犯しくれなきゃイタズラしちゃいますよっ、ご主人様♡」

「なんか変な字面見えた」

「何のことですか? それよりどうです? この衣装。似合ってますか」

「ばっちり」

「投げやりな気が。というか、ご主人様……その格好……ぷっ」


 後半が笑いをこらえるのに途切れていた。

 上々の結果だ。


「お、ようやく来た。お菓子パーティーだよ、柊君。……ふふふっ」

「あ、の。すみませ……ふふふ」

「似合っているぞ、紅葉」

「半笑いじゃねぇか」

「いやいや。wwwwwwwwwww」

「草はやすな」


 リビングに入ると爆笑の嵐。

 が、紅葉にとってはいい反応。

 じゃなきゃ、恥さらしというか、生き地獄のようなものだ。

 カボチャのコスプレ、ということで、紅葉がやったのは、カボチャそのもの。簡単に言うと、カボチャの着ぐるみ。

 よく扉通ったな、と自分自身驚くその格好は、きちんと笑いをとれた。


「海も似合ってるじゃないか。まんまで」

「どういうことっ!?」

「いやなに、天使と悪魔そのものだな、と」

「失礼な!?」


 雪はとんがり帽子に黒マント。手には箒。マントの下も、黒や紫で統一されていて、魔女っぽさが出ていた。

 花火は天使。天使の羽やワンピースまで真っ白で、眼鏡もかけておらず、どことなく儚さが漏れ出ていた。羽からワイヤーで固定した天使の輪も、かなりの出来だ。

 海の悪魔も出来栄えがいい。黒に統一した服装の中にも、ミニスカートやハートや星のタトゥーシールを貼っており、悪魔というよりかは、悪戯っ子な小悪魔感がある。

 そして桜花。ふわりと広がるフリルのスカート。鎖骨の見えるコルセットのあるドレス。胸元には大きなリボン。どこもかしこもふわふわな、堅苦しいお姫様というよりかは、町に住む可憐な、みんなのお姫様という感じのする衣装だ。

 控えめに言って最高です。

 と、思いはしたものの、胸に抑える。


「さて、パーティーなんだろ? 始めようぜ」

「そうですね。では、」

「「「「「ハッピーハロウィン」」」」」

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