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クソメイドとその主  作者: 藤 小百合
13/30

フラグ回収……?

こんにちは。

今回は10話でのフラグの回収回です。

今回はいつも使っているPCが、Wi-Fi不調子により使えなかったので、慣れないスマホで書いてみました。

なので、いつもより荒いかもしれないし、なにより時間がかかってしまい、いろいろすっ飛ばした中途半端な文章になってしまっています……。

その点を次回は直っているだろうWi-FiくんといつものPCで細かくかいていきたいと思います。

今回も、また、次回も読んでくれると嬉しいです。

「ご主人様! いったんどうしたんですか!?」

 学校終わりの帰り道。帰宅部に所属しているお馴染みの暇人三人で歩いているときのことだった。

 桜花が突然紅葉に要領を得ない質問をする。切羽詰まったような気迫で。

 ……いや、予兆のようなものはあった。

 朝から何やら悩ましげな様子を見せていたのだ。

 それがいよいよ我慢できなくなった、という感じだろう。

 しかし、

「何のことだよ。言葉が足りなさすぎる」

 紅葉が鬱陶しそうに吐き捨てる。

 我慢の限界だったのは紅葉もだった。

 朝からやたらと見つめられ、けれどもすぐ首を振ったり驚いたり、人のことを見ておきながら自己完結している様子をずっと見せつけられてきた。……苛々するし、何より鬱陶しい。

「しらばっくれないで下さい!」

「そうだそうだ!」

 そこに海まで加わる。

 紅葉の口からため息が漏れる。

 こうなると、もはや収集つかない。

桜花(そっち)に加勢してるけど、事情知ってんの?」

 あきれた様子を隠すこともせず、海に聞く。

「まぁ、一応ね」

「それは?」

 海に聞いたつもりだったが、答えたのは桜花だった。

「それは、ご主人様のお宝が最近増えてないことですよ! もはや隠すことなく堂々と本棚にしまい始めた薄い本の種類が全く変わってないじゃないですか! 念のためベッドの下から部屋の隅々まで探しましたけど、何も見つからなかったし」

 まくしたてた後、いきなりしゅんとなる桜花。

 忙しいやつだな、と紅葉は思う。

 実際他人のそっち方面の事情でここまで熱くなるのはおかしなことだ。

 だが、こういう環境になれてしまった紅葉は、これくらいではもう動じもしない。

「……だから、だから――! ご主人様! もしかして同性愛者になってしまったんですか!?」

「( ,,`・ω・´)ンンン?」

 さすがにこの発言には紅葉も反応せざるを得ない。予想外すぎておかしくなってしまったほど。

「どうなの~柊君?」

 海がにやにやしながら聞いてくる。

 絶対楽しんでやがるな、この野郎。

 迫る桜花とにやける海。

 ため息一つ。馬鹿らしい。

「別に同性愛者にはなってない。というか、なったんならそういう本が増えるはずだろ。お宝が増えてない理由は、本ではなくゲームに乗り換えたからだ」

「ゲーム?」

 きょとんとする桜花。

「そ。エッチなゲームにシフトチェンジしたんだよ。無料オンラインゲームとか、ディスクからインストするゲームとか、いろいろな。花火にオススメ教えてもらっていろいろやってみてるんだ。薄い本よりもストーリーが濃厚だし、ノベルゲーとしても普通に楽しめる。中には泣けるものもあって、言うなればそっちに魅せられたんだ」

 花火は二次元文化に詳しく、そっち系のゲームにも明るかった。

 花火が来てから、たどたどしかった彼女だが、今では趣味の話になると明るく語ってくれるほどまでには心を開いてくれた。

 そしてそこからお互い語り合い、オススメを紹介しあい、その過程で何本かエッチなゲームの話題が出てきたのだ。

 今は、花火が屋敷にいるので、昼間にネット購入もできる。

「なるほど……。道理で見覚えのないディスクが多かったわけですか……。よかったぁ~。性欲がなくなったわけでもないんですね」

 安堵したように全身の力を抜く桜花。……よほど心配していたのだろう。

 脱力した桜花の様子を見て、嬉しい思うと同時に、その様子が可愛らしいと思う紅葉。

 一般的に見れば、おかしいことだが。

 ここ最近は、桜花への思いが加速しているように思うが、紅葉はまだ納得できないので答えは保留のままだ。

「さぁ! 誤解も解けたところで、我が愛しい(花火)に会いに行こう!」

 元気になった海が言う。

 花火を雇ってから、海は放課後に屋敷に毎日寄るようになっていた。

「……そうだな」

 さっき楽しんでただろ。てか、桜花(こいつ)を煽ったのもお前だろ。

 喉元まで出かかった言葉を、なんとか飲み込み、投げやりの肯定をしとく。

 これ以上の面倒は避けたかった。



 「……なんだこれ」

 屋敷についてそうそう、紅葉は呻くように一言言う。

 「えっと……お届けものらしいです……紅葉さん宛に」

 決して自分が悪いわけではないのに、頭を抱えて悩む紅葉を前にどことなく申し訳なさそうに花火が告げる。

 目の前にあるのは大きな、それこそ人が入れそうな大きさの()()

 西洋風なそれは、なまじ大きさが大きさだけに本当に人が入ってそうだ。

 宛先は紅葉。送り主はどこにいるのか紅葉でさえわからない両親。

 何を送ってきやがった、あの野郎ども。

 内心毒づきながらどうしようと考える。

 周りにいるいつも騒がしい連中も対処に困っているのかさっきから一言も発さない。

 なにもしないで様子を見ていると、ガタリと棺桶が揺れる。

 「ひっ!」

 同じような悲鳴が色んな方向から聞こえてくる。

 紅葉もまた、ゴクリとつばを飲む。

 そして、ゆっくりと手を伸ばし、蓋へと手をかける。

 ギイイイと古臭い音をたてながら開いていく。

 だんだん見えてくるその中には――。

 「開けるのが遅い」

 呆れたように呟く銀髪の少女がいた。

 は? と誰もが漏らす。

 そりゃそうだ、なんなのこの状況。吸血鬼でも出てきたんですか? なんて言いたくなる。

 だって、この状況だよ?

 「なぁ、神様ってやつがいるなら、そいつは発狂でもしやがったのか?」

 誰にともなく呟いた声は、しっかりと周囲に届き、

 「きっとそうですね」

 腹のそこから同意したかのような桜花の声が後ろから届く。

 「神なぞ知らん。ところで、ここはどこだ?」

 「まさか、記憶喪失か?」

 「ん、あーいやそうではない。確かに名前はもう思い出せないけど、ちゃんと他のことは覚えてるぞ。……そうだそうだ、確か、ヒイラギとか言うやつに、保護されそうになって、行き場がないっていったら(うち)においでとか言われて、寝床である棺桶に入ったらそのまま梱包されて……。と言うことは、ここがヒイラギの家か?」

 上から目線で少し生意気な口調だが、声は透き通っていて、風鈴を思わせる。

 しかも、言っていることはしっかりしてる。

 フラグ回収も甚だしいが、とりあえず、いつもみたいに変なやつじゃなくてよかった。

 安堵して、今の状況を銀髪の少女に話す。

 「そうだよ。その柊の息子が俺で、住み込みメイドが一人と普通のメイドが一人、学校の友達が一人ってとこだけど……」

 「ふむ、そうか。ヒイラギの息子か。にしても、女ばっかりだな」

 「あー、そういえば。あと、うちの親がすまんな、迷惑かけて」

 「いや、別にいい。と言うか、こちらは礼を言うべきだな。安定した寝床がなかったから助かった」

 「そ、そうか」

 「さて、と。わたしはここに住まわせてもらってもいいのか?」

 「ああ、いいよ」

 尊大な言い種だが、やはり言っていることはしっかりしてる。

 正直、話が通じて助かる。

 「では、いろいろ頼む。それと、仕事はあるか? 住まわせてもらうぶんには働かせてもらわなければ」

 「えっ?」

 普通にいい奴過ぎて困る。

 反応に遅れが出てしまい、固まる。

 すると、黙っていた桜花が、

 「じゃあ、私と一緒にメイドはどうですか?」

 「ふむ、悪くないな」

 「さっき名前は思い出せないって言ってたけど、本当?」

 海もまた少女に声をかける。

 女性は環境に対応するのが早い。

 「ああ」

 「じゃあ、名前つけなきゃだね。何がいいかな」

 「やっぱり、冬に関係するのがいいですよね」

 「え、えっと、雪、とか?」

 花火も混ざる。

 「いいねいいね」

 「じゃあ、あなたは今から雪ちゃんです」

 「了解した」

 トントン拍子で話が進む。突っ込む所はいくらでもあるはずなのだが、色んなことが起こりすぎて、混乱しているけど割りとこういうことが頻繁に起こる日常に入り浸ってしまった紅葉の脳はそれらすべてをどこかへと追いやった。

 様々なことが最近たて続いての今回の、神の贈ってくれた頭おかしい現実に、しかし、意外と話が分かる奴で安心と疲労が一気に押し寄せてきて、もうベッドに入りたい。

 「では、よろしくな。ヒイラギの息子」

 「ああ、俺は紅葉。他の奴の名前はそれぞれ聞いてくれ。よろしくな」

 少女――雪の赤い瞳にまっすぐ見つめられながら、細かいことは今度聞けばいいや、具体的には再来週に。と紅葉はぼんやり考える。

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