お昼のティータイム
この物語は、私の妄想を詰め込んだ作品です。
そして、一つの話は短めで、なるべく一話完結にしていく予定です。
拙い文章ですが楽しんでいただけたのなら幸いです。
「ご主人様、お茶が入りましたよ♪」
昼下がりのゆったりとした時間。
大きなお屋敷の広々とした庭の真ん中。
ガゼボと呼ばれる屋根付きの建造物の下、西洋風のこれまた大きなテーブルと、そこにある椅子の一脚に腰を掛け、優雅なひと時を満喫している少年の下へ少女メイドがティーセットを運ぶ。
「ありがとう、桜花」
少年は振り返り、メイドに微笑みと一緒に感謝の言葉をかける。
「いえいえ、これが私の仕事ですから」
桜花と呼ばれたメイドは、慣れた手つきでお茶を用意していく。
カップにお茶を注ぎ、主へと差し出す。
「どうぞ」
「どうもありがとう」
少年はカップを持ち上げ、口へと運ぶ。
しかし完全に口に着ける前に、ピタと動きを止めた。
「それで? 今日は何を入れやがった?」
満面の笑みでカップをメイドに突き出す。
「ひどいですよ、ご主人様。私だって毎回何か入れているわけではないですよ」
「うん。で?」
「だから……」
「で?」
有無を言わさぬ少年のうわべだけの綺麗な笑みに、メイドは
「………………媚薬を少々……」
――ガシャン。
「飲めるかンなもん!!」
少年がカップを思い切り全力で明後日の方向に投げつけ、怒鳴る。
「ってか、真っ昼間からなにさせようとしてんだ、クソメイド! 仮にも俺はお前の雇い主だぞ! 毎度のことながら主の飲み物に薬盛るなんて何考えてんだ!」
「ご主人様、メイドというのは主に仕え、主に奉仕するものです」
反対にメイドはゆっくりと諭すように持論を振りかざす。
「身の回りの御世話から、夜の下のお世話まで。それはもう、ありとあらゆる奉仕を仕事とするわけで。今どきのご時世、『メイド 奉仕』と検索したら、そっち方面が主にヒットするんです。それなのに、ご主人様ときたら、身の回りのことはご自分でなされるし、溜まりに溜まっているはずのリビドーも、どこで解消なさっているのか、全然私を、主に体を求めてきてくれないじゃないですか! は! もはや私以外の女が……」
「いねーよ! 俺が外でないの知っているだろ! というか手前勝手な持論を振りかざすな鬱陶しい」
「それはつまり、『愛しているのはお前だけだぜ!』ということですか!?」
「うるさい黙れ。それ片付けておけよ」
いつも通りの、少年からすれば、煩わしい一通りのやり取りを終え、少年はさっさとその場をあとにしてしまう。
残されたメイドはシクシク鼻をすすりながらきちんと言われた通りに片づけを始める。
大きなお屋敷の敷地内で、今日も今日とて淫乱クソメイドとそいつに毎度頭を抱える哀れなご主人様の日常が繰り広げられる。