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想像の世界〜自分のオリキャラになりました〜  作者: 旧天
幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
99/167

1-14 ありがとう

ブックマークありがとうございます。

私のことを見つけてくれたのは偶然だった。


『Nの師匠ってどんな奴だろうか?』


その時、既にNは完成された魔法使いであった。たった1人で、戦争仲裁人として世界の情勢を動かせるほど力を持っていた。その役割を実行できるほどの人間性ができていた。


そんなNの師匠だから尚更凄くなくてはいけない。だが作者である圭太はすぐには想像出来なかった。圭太の1番のお気に入りであるNを上回るキャラなど作れるのだろうかと。Nが尊敬するほどのキャラを作れるのだろうかと悩んだ。戦闘能力は勿論、人として尊敬できるキャラでなくてはならなかった。


とはいえ、私のことを想像した時の圭太の年齢は14歳。まだ中学校とその付近のことしか知らない、世界を知らなかった。社会的に見たら未熟とも言われるかもしれない。そんな人が尊敬できるキャラを想像できるかと聞かれればまあ、難しいだろう。大人だって人として尊敬できるキャラを作るのは難しいし、想像できない人も山ほどいる。


それを圭太は理解していた。黒歴史ノートなど余程のことがない限り作者しか知らないし、なろうとかに投稿しない限り個人で楽しむものだし、大人になったら記憶から消したくなるかもしれない。


『じゃあ大人になっても覚えておきたいキャラにしよう』


言うのは簡単だが想像するのは難しい。結局は人として尊敬できるキャラを頑張って想像するしかなかった。


『性別は……女でいっか』


性別は秒で決まった。どうせ考えるなら男より女の方がいい。


『年齢は……Nより年上だから20手前ぐらいかな。あまり年をとりすぎていたらNとの間に壁が出来ちゃうから』


年齢もすんなり決まった。


『尊敬できる女性か』


それが最大の問題だった。今の時代はインターネットがあるから【尊敬できる女性】で検索すれば直ぐに条件が出てきた。だがその全てをクリアした人間などいないことも知っている。完璧な人間ほど近寄り難いことも知っている。


だからネットで出てきた条件をいくつか選んだ。


『滅多に人の悪口を言わない』


それは当然だ。いつも人の悪口を言う人と仲良くしたいと思う? その人がいつも別の場所で自分の悪口を言っているかもしれないのだ。だからと言って全く言わない人も少し嫌だった。心の中で何を考えているか分からない。心の中に溜め込みすぎていつか暴発してしまうと怖い。だから本当に親しい人といる時だけ、ほんの少しだけ悪口を言う。


『目標を持って生きている』


男女関係なく、目標に向かって進み続ける人はカッコいいと思う。なんの目的もなく時間だけが過ぎている人より、下らない目標でもいいから何かに向かって進む人は輝いている。多くの漫画やラノベのキャラだって何かに対して目標を持って生きている。私の目標は何か?


数日考えた末に決まったのが歴史に名を残すことだった。


目標が決まればその目標が決まるまでの背景も考えなくてはならなかった。私がその目標を持つまでどうやって生きていたのか。


故郷で吟遊詩人の歌の中で様々な英雄の話を聞いた私は吟遊詩人に歌われるような英雄に、歴史に名を残す英雄になりたいと思うようになった。その為に私は故郷を飛び出して人助けをするようになる。言うなれば旅の便利屋だった。最初はお年寄りの話相手や人手不足の店の手伝いだった。痛い目にもあった。


ある時魔法使いの仕事を手伝いお礼に魔法を教わった。そのお陰で出来ることが増えるようになった。戦うことができるようになって魔獣被害に苦しむ村を救ったり、

自分よりも周り、世界のために旅するようになった。


『自分よりも周りを優先する』


尊敬できる人の条件の一つをいつの間にか満たしていた。現実でも出来る人は少ない人物になった私は七色の魔法使いになった。自らを犠牲にして世界を守る存在に。旅をして世界を知って、人の闇を知っても自らを犠牲に出来る人になっていた。


七色の魔法使いになってからは様々な伝説を残した。多くの吟遊詩人が私のことを歌にするようになった。そんなある時、噂を聞いた王国が城に招いた。招かれた理由は旅の話を聞かせてほしい、世界を教えてほしいだった。私は自分の功績をあまり伝えず、どんな街や人がいたのかを話した。1日では語りきれなかった。


城に滞在することになり、そこで私はNと出会うことになる。まだまだ未熟なNと出会った。城に滞在する間、私は魔法をNに教え、その後死ぬことになる。


『悪口を滅多に言わない人』

『目標を持って生きている人』

『自分よりも周りを優先する人』


この3つが私を構成する柱だった。


過去編にしか登場しない、主人公の過去を考える過程で生まれた副産物。黒歴史ノートではたった4ページしか書かれていない過去編にしか登場しないキャラの1人に過ぎないのに、圭太は私を考えるのに半月もかけてくれた。ノートにも書かないことまで考えて沖田ユイの人生を書いてくれた。それだけでなく、過去編を書き終わった後も圭太は私を大事にしてくれた。


オリキャラに感情があるのかと聞かれたら答えることはできない。だけど天災の日以前から私には自我があったと思う。気がついたら圭太の頭の中で彼のことをずっと見ていた。


亡くなった後も、役目を終えた後も私のことを大事にしてくれた。Nの師匠だからという理由ではなく、1人のオリキャラとして。私のことを忘れないようにショートストーリーを書いてくれた。


本編を書いていた時、私が死んだ時は泣いてくれた。


それが嬉しくて……自分はこんなにも大事にされているんだって実感した。


『ユイを生かしておきたかった』


こんなことも言ってくれた。


大人になっても尊敬できるキャラ、そんなキャラになれたのかは未だに分からない。だけど一つだけ分かったことがある。


私だけでなく、他のオリキャラたちも作者が大人になっても大事にしてくれるだろう。


だからこれは恩返し。想像の世界でしか生きられなかった私がなんの因果か圭太に会うことができた。その圭太が困っている。


圭太が私を大事に思ってくれたように、私も圭太のこと大事に思っている。


だから助ける。


でもごめんね。


また死ぬところを見せちゃう。その瞬間を圭太は忘れさせられることも予測できる。その結果、圭太がどうなるかは予測できない。もしかしたら私の行動が全て失敗してしまって圭太ごと消えてしまうかもしれない。


それでも、私はあなたのことを守りたい。忘れさせられても圭太なら全てを解決して私のことを思い出してくれるだろう。その時、できるならまた物語を書いて欲しい。


ルナフの姿をした圭太の右手の甲に口付けする。


手の甲にキスするのは敬意、敬愛、尊敬などの意味を持つ。このキスにはそれらだけでなく色々な意味がこもっている。


「ユイ」


私を想像してくれてありがとう。


「どうしたの?」


だけど一つだけ悪口を言わせて。大事に思っているからこそ言わせて。


「ぶちかませ!」


長台詞設定持っているのに書くのが面倒だからって省略しないでよ。キャラがブレちゃうじゃん。


「ええ、見せてあげる。あなたのオリキャラの全力を、輝きを」

自分で書いてて痛いと思いつつ、本当に思っててくれたらいいなと思っていたり……。

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