1-11 力の代償
いつもありがとうございます。
「頭の中はいいけど、この状況は何だ?」
龍脈と言い、巨大生命体と言い、声と言い、急展開すぎる。
それにさっきの文字。あれは一体何だったんだ? 八刃って八葉さんのことか? だけどあの人は能力を持っていない筈だ。
それに連鎖反応? それで制限が無くなる?
どういうこっちゃ。
削除済み?
ポラリスがやり直し?
鍵と鍵穴?
それからユイも削除済みの何だ?
謎が増えるばかりだ。
止めにここは俺が想像した物語の中?
「ツッコミは終わった?」
「ツッコミと言えるか分からないが取り敢えず落ち着いた」
心の中を読んでいたのかユイは一区切りついたタイミングで声をかけてくれた。というかユイなら心の中を読んでもおかしくはない。だって七色の魔法使いなんだから読心魔法が使えないわけがない。
「それにしても……」
ユイの体をマジマジと観察する。頭の中にNがいた頃と違って目の前にいるのだ。
「実際に会ってみると随分でかいな」
「物語一のダイナマイトボディな私は」
「背の話だ」
ユイが昭和のアイドルみたいなポージングをするがスリーサイズのことは言っていない。単純に背丈の話だ。確か設定では173cmはあった筈。男だった頃の身長は160cmだったから俺よりも大きい
「はいはい、見てないアピールはいいですよ。今はロリッ子だけどDKなんか異性の体に興味がありすぎて家族にバレないようにパソコンの履歴を毎回消して」
耳を塞ぐ。
ちなみにスリーサイズのことは設定当時いまいち理解していなかったから数値は決まっていない。だが、彼女が言った通り何処がとは言わないが一番デカイ設定にした。
『それでさ、親にバレかけたときは』
「頭の中に直接話しかけるな!」
スノーを豪速球で投げつけるがユイは涼しい顔して手で弾いた。身体強化も使った気配はなく、純粋な身体能力のみで弾いたのだ。素手で弾けるほど脆くはない筈なのに最も簡単に弾かれるとショックだけど
「そこは魔法使えよ!」
「魔法使うと実力差のあまり絶望するけどいいの?」
ユイはそういうと多重魔法陣を周りに何千も展開させる。多重魔法陣とは平面である魔法陣を重ねることで擬似的な立体魔法陣を作ることだ。
色々と説明が面倒だから大雑把に言うと。
めっちゃ複雑で制御が難しく魔力消費がバカみたいに高い
無茶苦茶強力な発動方法
私は本物の英雄の足下にすら及ばない。多重魔法陣に組まれているたった一つの平面の魔法陣に込められている魔力ですら私の全魔力を凌駕している。
「まあ孫弟子弄りはここまでにして早速本題に入ろうか。簡潔に話纏めろって言われたけど、そろそろ我慢の限界なんだよね。私って何かしら話していないと落ち着かないタイプだからそろそろ禁断症状が出そうな感じがするんだ。だから話していい? いいよね? 分かりやすいように話すから」
ユイが涎を垂らしながら迫ってくるので咄嗟に首を縦に振る。
「さーって本人からの許可を得たので平常運転で参りましょう。解説は物語が始まった時点で既に故人となっていた過去の大英雄にして知識の権化である七色の魔女こと沖田ユイでお送りします」
垂らしかけていた涎は霧散して笑顔になる。本当は喋らなくなても大丈夫じゃないか?
「突然だけど物語を書いたことがある作者なら誰もがそうだと思うけど物語を完全にゼロから作るのは難しいことなんだ。他の作者が書いた物語に影響をうけて話の展開仕方、伏線の張り方、世界観とかを考えるんだ」
それは知っている。俺だって面白い物語を書きたいから自分が面白いと思った物語を参考にするからな。
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「画面の前の読者にはちゃんと言っておくけどパクっているっていう意味じゃないよ。参考にするっていうこと。勉強だって教科書とか参考書が無いと解けないでしょ。あんな感じに文章の書き方や魅力的ないキャラの書き方を勉強させてもらうっていうこと。旧天は登場人物の様子や感情を書くのが下手だから色々な物語を読んで研究しているんだよ」
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「違う作者が書いた物語でも見えない所で繋がっていることがある。ファンタジーみたいにジャンルで繋がっていたり、異世界転生の設定で繋がっていたり。実は昔見たアニメのキャラが好きだからそれに似たキャラをヒロインにしましたとかもあるね」
確かにそうだ。ルナフを設定した時は色々な物語の弟子や生徒を参考にしたな。
「あいつから受け取った力はそういった影響を受けやすくする力だよ」
?
自分でも間抜けな顔をしていたと思う。
理解するために何度も脳の中で言葉を繰り返して少しずつ意味を確認していく。
ようするに他の物語の影響を受けやすくするっていうことか?
それって
「ルナフがルナフじゃなくなると言うことか?」
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