表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/167

諦め

ブックマークありがとうございます!


ドレミ


《ん?》


本日あと6話更新します


《ふぁ?!》

小屋の外で崩れた遊具に腰掛けて空を見上げていた。青空が見えることのない黒雲。まるで私の心のようだ。


「貴女は誰?」


そう聞かれて呆然として気がついたらここにいた。


脳内のNさんは応答しない。記憶喪失のNさんが脳内のNさんかもしれないし偽物かもしれない。龍崎さんも敵の可能性があるかもしれない。Nさんのことを知っていたが私の知らないNさんのことしか知らない。だからNさんの情報で味方か判別できなかった。そもそも敵がNさんの情報を知っているかもしれない。


でも何故大人しくついて来てしまったのだろうか? 今考えてみれば逃げ出せば良かったと思うけど……。

分かっている。作者の頭脳も持っているから分かる。私は作中で自分の意思で動くことは殆どなかった。Nさんに従っていた。たまに衝突もしたけどNさんに従っていれば間違いないと思って行動していた。今も同じ、Nさんがいないから周りの誰かに従う。自分一人では何もできないのだから。


記憶喪失のNさんは小屋の中で何かしているわけでもなく、ただジッとしているだけだ。何を考えているのか、何も考えていないのか。そもそも思考能力があるのかも怪しい。幻だった場合、操り人形のように動かされているだけでそこに感情は無いかもしれない。記憶喪失なんて演じやすいだろう。だが、本物そっくりに考えて動く幻があるかもしれない。


分からない

異世界(知らない物語)のことなんて分からない。私の知らないルールで動いているのだから考えたところで分かるわけがない。


私は何も知らない。

自分自身のことでさえ知らない。

Nさんのことも知らない。

この世界を知らない。

イナバを知らない。

使徒を知らない。

特急特異点を知らない。

オーバーワールドを知らない。


一体何がどうなっているんだ?


誰を信じればいい? 何をすればいい? どうしたら元の世界に戻れる?


「少し休め」

「エーイーリ」


エーイーリは私の隣に腰掛けるとポケットから小さな箱を取り出す。箱には小さな白い棒が入っていてそれを咥える。


「ってタバコ?!」

「期待通りの反応だな、シガレットだよ。馬鹿」


期待通りの反応をしたからか笑いながらシガレットをガリガリ噛み砕いていく。あっという間に無くなり次の一本を咥え、ガリガリ飲み込んでいく。


シガレットって噛み砕くものだっけ? 


「一本いる?」

「ちょうだい」


エーイーリからシガレットを貰い口に咥えて舐める。これが正しい食べ方かは分からないが兎に角糖分が欲しかった。そもそもこの世界じゃ食べ物を摂取して吸収されるのかも怪しいけど。


「これ何処で手に入れたの?」

「蜘蛛人間を倒して腹を裂いたら出てきた」


咥えていたシガレットを慌てて吐き出し、唾液で溶けたシガレットも全て吐き出そうとする。指を喉の奥に入れて無理矢理吐き出そうとするがエーイーリに止められる。


「大丈夫大丈夫、人肉なんか食べ慣れているでしょ」

「そういう問題じゃない!」

「まあ、蜘蛛人間の腹から出てきたのは冗談だけど」


エーイーリは私の反応を見て満足そうに笑う。彼女の笑いのツボがわからない。少なくとも()のツボではないのは確かだ。

もう一度シガレットを差し出してくるが受け取りを拒否するとエーイーリが咥える。


「とりあえず本体、Nのことなんて放っておけ」

「は?」


唐突に放たれたエーイーリの言葉に私ではしないような反応をした。


「もう一度言うぞ、Nのことなんて放っておけ」


聞き間違いではなかった。


「なんでだよ! 俺がどうにか」

「どうにかしないといけないってか?」


エーイーリは俺を黙らせる為に発言を被せてくる。


「なあ作者よ。Nって弱いのか?」

「そんなわけないだろ! Nは誰よりも強くて負けないからな!」

「じゃあ、そのNが出来なかったことをお前が出来るのか? 見習いの魔法使いごときが出来るのか?」

「それは……」


分かっている。Nがどうにも出来なかったことをルナフがどうにか出来るわけがない。


「じゃあどうしろって言うんだ! Nがいない!私は強くはない!状況も理解できない!」

「どれもこれも今の私たちじゃ対処できない! ならばやることは一つだろ!」


修行、努力。それしか俺たちはできない。Nさんのように才能を持っているわけではない。そもそも因果から外れた他の覚醒者と比べて私は数十年も遅れてスタートしたのだ。ただの修行などでは追いつけない。それこそ血が滲むような努力をしないといけない。


だが……。


ルナフ()はいくら努力してもNより強くなれない!」


作中最強はN。それが物語の常識だ。Nより強い奴など存在しない。敗北を知らない無敵の魔法使い。


それに対してルナフは見習い魔法使い。


天と地ほど離れている。

作中で出来なかったことを現実でできるというのか?


「諦めるの?」

「諦めるどうこうじゃない。不可能なんだよ。()N(Nさん)じゃないんだから!」


今回短めのやつが多々あるので分割しました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ