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第二使徒: 叛逆の魔女

ブックマークありがとうございます!


最近書き方を学ぼうとラノベを数冊買ってプロとの差に打ちのめされました。


伏線の張り方、シリアスとコメディーの混ぜ方。何よりも続きが気になる終わらせ方。ストーリーも面白く、そして泣かされました。


それでこれを読んで……

うん、頑張ろうと思いました。


N《というわけで前書きではなく近況報告でした》

本体がNさん(笑) と再会している間、私は結界の具合を調べている。地脈を使って半永久的に稼働し続けるこの結界を作った者はどこまで予想していたのだろうか?


地脈は捨てられた世界でもは衰えることなく大地を巡っている。海脈も、空脈も、宙脈も荒れ果てた世界では変わらず流れている。これらは動物でいうところの血管だ。これが流れている限り世界はどんなに荒れようと存在し続け、時は流れ続ける。


裏を返せば世界を壊したければこの流れを止めれば良い。動物と同じで心臓を破壊するか、大量出血を起こせば良い。とは言え、それを可能にするには少なくとも銀河を破壊できるほどの力が必要となってくる。そんなこと通常の人類には出来ない。通常の覚醒者も使徒もできない。


世界破壊が許されるのは特急特異点だけである。そこで重要になってくるのがセフィロト、クリフォト。


オーバーワールドの使徒は……。


「まったく、本体に出来るの? 蜘蛛人間も倒せないというのに使徒を倒すなんて。おまけにNさんは戦闘不能。殆どの覚醒者が持っている主人公補正も持っていないサブキャラで一体何が出来るというの?」


ーー主人公補正を持っていないのは私も同じか。


私もちゃんと書かれていたら主人公補正に敗れていただろう。世の中には主人公が敗北する物語もあるが極少数である。


だから……。


本体、貴女がこれから相手する99%は主人公。主人公は標準装備で主人公補正というものがある。サブキャラであるルナフ(私たち)が主人公に勝つには自分たちが主人公にならないといけない。主人公と同じ力を持つライバルポジションでもラズボスポジションでもない。自分が主人公にならないといけない。最後に勝つのは主人公なのだから。


今の貴女はただの視点、頭の中のNさんを含めた周り(主人公)が指示を出して従っているだけ。


それを分かっているオーバーワールドもルナフは眼中に入れていない。問題視しているのはNさんだけ。


ただ、彼らが予想できない特異点がここにいた。だから脚本通りの展開にならなかった。この世界に落とした時点で本体は消滅させられていた筈だった。本当ならこの明け方公園上空から落ちてくる筈だったが私が新宿の方に飛ばした。あいつらは脚本通りにいかないと様子見する傾向がある。


その結果偽物騒ぎとなった。本物のNをおびき寄せようとしたが私がNさんを引き止めた。だから殺そうとしてNさんをおびき寄せようとした。だけど現れたのは龍崎さんと私。


《そういうことだったのね》


頭の中の白い空間で紅茶を飲んでいるNさんは私の思考を聞いて理解したようだ。いつの間にいたんですか。


ーーいるならいるって言ってくださいよ。


私はこの世界に落ちたNさんを頭の中に入れた。そして幻覚魔法を使って記憶喪失のNさんを置いておいた。


ーー敵を騙すなら味方からってね。


Nさんは私の思考を聞いて少し考えるとティーポットから、おかわりの紅茶を注ぐと一口飲んで喉を潤した。そして赤縁の眼鏡をかける。


《ここはボツ世界の一つといったところね。オーバーワールドや神が現実から抹消した物でありながら、オーバーワールドと神以外に覚えている者がいる存在のみが辿り着く場所。矛盾している場所ね》


予想していましたが何で分かるんですかね。


《弟子の癖に私が一体何者なのか忘れたの? 貴女も物語を忘れたパターン?》


ーーああ、そういうことですね。その設定(呪い)は現実でも適用されているのですね。だから作者の頭にも接続できたのですね。そして私は全てのルートを覚えていますよ。


《全てね……。本当なら使うことのない設定だったけどね。それより気になるのが貴女の正体なのよね》


Nさんの目が鋭くなり、眼鏡がキランと輝く。頭の中に光源は無いので眼鏡が輝くことはない。つまり自演だ。


《自演で悪かったわね》


Nさんは不服そうに少し頬を膨らませた。


ーー早くしてくださいよ


《龍崎はオーバーワールドによって抹消された。だけど貴女は松村圭太がボツ案とした。現実に存在したものしか抹消出来ない2人に対して貴女は松村君の頭の中でしか存在していなかった。だからオーバーワールドや神が貴女の存在を知ることはできない。つまり、ボツすることができない》


ーーええ、そうですね。


《だけど例外というものが存在する。特急特異点や使徒といった者がね。そしてここはボツ世界。アンダーワールドの使徒が1人くらい居てもおかしくはないとは思ったの。そこで重要になってくるのがボツ案。それが概念魔法: 叛逆。私が物語の設定の穴を突いて作り出した魔法だと思っていた。だけどそれは少し違う》


ーー誤算でしたよ。貴女が自覚なしに叛逆を思い出したことは。


《物語のキャラは作者が考えつくことしか考えられない。作者より頭の良いキャラなんて存在しない。ならば、叛逆の魔法も彼が昔考えついていた筈。作者視点で考えると燃費が悪いとはいえルールを無視できる叛逆はチート。パワーバランスが大きく崩れてしまう。彼も当時そう考えたでしょうね。だからボツ案にした。その魔法を貴女は使っている》


ーー何故私が叛逆を使っていると?


《この世界では探知能力が使えない。だというのに落ちてきた私たちをオーバーワールドの使徒よりも早く見つけ出した。そしてオーバーワールドの使徒にバレないように本体であるルナフを見守る。つまり遠い場所で見守る。ルナフのスペックなら探知魔法を使わないとできない距離でね。だけど矛盾が生じる。探知魔法が使えないのに探知魔法を使ったとしか思えない動き。可能にするにはルールを無視できる叛逆の魔法を使うしかない。それを踏まえた上で私に対する態度。ルナフにしては生意気すぎる。そんなルナフは全てボツ案となった。じゃあ貴女は一体何者だろうねと考えたら貴女の正体が見えて来る》


Nさんが立ち上がると座っていた椅子、テーポットとティーカップが置かれていた机は消える。白い空間は姿を変えて書斎へと変化する。Nさんもトレンチコートに鹿撃ち帽という探偵スタイルへと変化した。赤縁眼鏡はまだかけられている。


《そもそも、ルナフが2人いるのがおかしいのよ。本体のルナフが使えない流れ星を使えている時点で分身である筈がない。これだけ理由を挙げれば名乗ってくれる? ルナフ。いや、使徒さん》


犯人はお前だと言いたげに勢い良く私を指差す。


ーー私もそういうのやってみたい。


じゃなくて


ーー貴女を本体から引き抜いて正解でした。貴女がいる限り本体は自分で考えることをしないでしょう。貴女はなんだかんだ言って答えを教えちゃう人ですからね。


ーーそして隠しても無駄でしょうからちゃんと名乗りましょう。


物語では叶わなかった貴女への名乗り。あの二つ名をこんな形で名乗ることができるとは。本当は貴女に宣戦布告する時に名乗る名前だったんですけどね。


ーー私はアンダーワールド(ボツ世界)の第二使徒。エーイーリ(愚鈍)を司る叛逆の魔女、ルナフです。


ボツルートでは敵でしたが、今回は味方です。とは言いません。だって恥ずかしいですから。敵なのに味方発言は。


《ハッキリと発言しなくても聞こえているわよ》


ーーあ。


もの凄く恥ずかしくなりその場で転げ回る。第三者から見たら何もしていなかった筈なのに顔を覆って転がる変人にしか見えないだろう。


ーー恥ずかしすぎる。秘密にしておこうとしたのが聞こえているなんて。聞こえていることは事前に知っていたのに忘れていたなんてまるでポンコツキャラみたいじゃないですか!


私の考えていることが全て聞こえるNさんが笑いを堪えながら頭の中から頭を撫でくる。


《ありがとう。私が敵だという設定に叛逆して味方になってくれて》


そういうNさんは穏やかな笑みを浮かべ


《ブフォッ》


笑いを堪えなくなり吹き出した。

そんなに笑わなくていいのに。


《ごめんごめん。それとエーイーリね。愚鈍の割には思考出来ているじゃない。今までのは演技?》


ーー私は相手を思考させる為にいるんですから。手っ取り早い手段として私が何も考えずに動きます。そしたら周りは自分で考えないといけなくなります。


対象が考えるのを止めて周りに従う操り人形とならないように動くのが私ですから。


それが私の役目です。


混乱している人に解説です。


エーイーリ: アンダーワールドの使徒でルナフのボツ案

エーイーリの頭の中にいるN: 本物

記憶喪失のN: エーイーリが作り出した幻覚

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