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ここはどこ?

ブックマークありがとうございます


楽しんでいただけたら幸いです。

「ルナフ」

「はい」

「そろそろ離れてくれない?」

「嫌です」

「しょうがないわね」


肉体年齢は2歳しか変わらない。私にとってもう1人の親で憧れの英雄で尊敬する師匠。物語内ではもう少し厳しかった気がするけど今はとても優しい。抱きついて10秒くらい経ったら剥がされていたのに1分は抱きついている。


私は完全にルナフになっている。


いきなりNさんに抱きついたから驚いて松村圭太の人格が完全に引っ込んでしまった。戻るには時間がかかるだろう。


作者の気持ちを考えてみるとずっと想像上で存在していなかった一番大好きなオリキャラが目の前に現れたのだ。そしたら体が動いて抱きついてしまった。羞恥心で引っ込むのも無理はない。


松村圭太の代わりにNさんの感触を味わう。私だって記憶でしかNさんに触れたことがないから実質初めて。柔らかくて温かくて花の香りが……鈴蘭の香りがする。蠱毒で孤独になってしまった私を受け入れてくれたNさんが今ここにいる。


「そろそろいいかしら?」

「ん〜」

「こんな甘えん坊だったけ?」


頭上でNさんが困惑しているのが目に浮かぶ。ふふふ、Nさんはグイグイ来られるのが弱いですからね。中途半端に甘えるのではなく羞恥心忘れて押し倒す気でいかないと逃げられちゃいますから。


「全く…あと10秒だけよ」

「はい」


これ以上はダメだろうと考えてきっかり10秒数えて離れる。そして初めてこの目でNさんをしっかりと見る。思い描いて通り膝まで伸ばした黒髪に整った顔立ち。14歳にしては成長しすぎているが完全に成長しているわけではない。あと2、3年経ったら美女として完成するだろう。


現実のNさんは想像通りの姿と声を持っていた。そして僅か5秒で敵を殲滅した魔法も想像通り。


じっと見つめていたらNさんの耳が赤くなっている。



こういう反応もするからNさんは可愛いんですよ


「ところで何でNさんがいるのですか?」

「今の雰囲気でよく聞けるね? それは私にもわからないのよ。気がついたらこんな場所にいたから」


呆れながらも質問には答えてくれる。Nさんにもわからないとなると地道に調査していくしか無い。


「Nさんもですか」

「でもここが何処か分かるわよ」


分かるんですか


Nさんは指を鳴らすと魔力で空中に図を書いていく。授業の開始だ。


挿絵(By みてみん)


「青い線は一番最初の時間軸、赤い線は巻き戻し後の時間軸。黒い点は巻き戻しの瞬間、点線は巻き戻しによって消滅した未来。緑の線が2018年6月14日、天災の日。私たちがいた現実は何度目か数えるのを諦めるほどやり直された時間軸よ。線の長さは実際の長さとは違うわよ。

さて、図を見てまず何を思った?

率直な感想を言って」


もう一度図を見る。

巻き戻しというからには木の根のように枝分かれしているのを想像していたのですが。


「枝分かれしていない」

「そういうことね。多くのやり直し系ってやり直した瞬間から木の根のように時間軸が広がっていくのが多いからね」


※イメージ図

挿絵(By みてみん)


「そして良いところに気づいた。枝分かれしていない。巻き戻しが起きる度に元の時間軸から遠ざかっている。巻き戻しの度に生物全てを転移して別の場所で記憶を消して2018年6月14日からやり直ししている。そしてここは何度目かの巻き戻しで使われた世界だと考えているわ。これは使徒の調査結果と私の観測結果から出した結論よ……どうしたの?」


使徒という言葉を聞いたときに顔に出てしまっていたのだろう。この場所に落としたのが使徒かもしれないということを思い出しその情報が正しいか判断できない。


隠すことでもないのでバルデと話したことを伝えた


「なるほどね、使徒がやったか。確かにこんな芸当できるのは使徒クラスでしょうね……」


Nさんは顎に手を当てて聞き取れない程小さな声で独り言を始める。暫くするとコクンと宙に頷き私に話し始めた。


「まあ言っていいか。実は使徒以外に心当たりがあるの」

「え? 誰ですか? 私も知っている人ですか?」

「ううん。巻き戻し側にも因果の脱出側にも使徒側にも属さない第四の勢力。たった1人の軍勢、?と名乗る覚醒者よ」

「その話、私にも詳しく聞かせてくれる?」


白髪の年老いた女性が暗闇から現れた。年老いた女侍のようだ。老いているのに背筋を真っ直ぐ伸ばし、鋭い眼光で私たちを見つめる。私は咄嗟に構えたがNさんに制されて構えを解いた。一歩下がるとNさんが前に出て問いた。


「貴女は?」

「私は龍崎、龍崎華。末世の北極星(ポラリス)の隊長だった者よ」


Nさんはその名前を聞いて僅かに体を揺らす。後ろからだからどういう表情をしているか分からない。体を揺らしたということは何処かで名前でも聞いたりして心当たりがあるかもしれない。


そしてもう一つ気になったことがあった。2人のやり取りは誰かと尋ねられたから答えただ。何もおかしくは無い。


だというのに何故、今の問答に違和感を覚えたのでしょうか?


殺気が含まれていた訳でもなく、嘘をついているようにも聞こえなかったというのに

いつもありがとうございます

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