ハ葉のターン! 〜裏・首都防衛戦〜
これで一章が終わりです
《やっとだね》
メリーさんの電話をご存知だろうか?
口裂け女やきさらぎ駅と並び都市伝説の代表格とも言える存在だ
概要は
夜中に電話がかかってくる
相手の名前は知り合い、非通知、知らない番号、公衆電話と諸説あるがここではどうだっていい。ただ、電話がかかってくる
あなたが電話に出てみるとこう聞こえてくる
『もしもし、私メリー。今3丁目にいるの』
一方的に伝えられて切れてしまう。しばらくするとまた電話がかかって来て
『もしもし、私メリー。今学校の近くにいるの』
と自分の家にだんだんと近づいてくる
そして家の前だと電話がかかって来て最後に
『もしもし、私メリー。今あなたの後ろにいるの』
とお馴染みの言葉に振り返りあなたは……
というのがメリーさんの電話の流れだ
ではこんなことを考えたことはないだろうか?
そういった都市伝説も覚醒者として出現しているのでは?
************
時間は弩ジョウとの戦いが終わり各々帰宅途中の頃
夜中の12時を過ぎたあたり
新宿駅の山手線ホームにはまだまだ人がいる。覚醒者の出現で混乱している世の中で、なおかつ土日なのに仕事に出ている方々である。世に言うブラック企業の方々もいれば覚醒者の影響で出勤しなくてはいけない会社や役所の方々がいる。
共通しているのは
全員疲れ切っているということ
山手線ホームに電車が滑り込んでくる。真夜中ということもあり電車に乗っている人も少ない。電車から降りてくる人たちは目をこすりながら次の電車のホームへと向かって行ったりする。電車に乗ったままの人の中には新宿駅で降りるべきなのに眠ったままの人もいる
程なくして列車が出発する
だがその列車に異常があった
一両だけ乗客がいないのだ
「おのれ、因果の脱出の奴ら! 我らの夢を潰しやがって!」
その車両の屋根に男はいた。男の周りには用途不明の機械がいくつかと水槽に入った通常サイズのドジョウがある。
ここまではSFだが何故か足下には魔法陣がある。
「Dr.K……お前の意思は俺がつないでやる」
男がどうやってそこに登ったのかはこの際どうでもいい
覚醒者だから能力とかSFの機械で周囲にはバレないように登ったのだろう。
男はパソコンを操作しながら機械を起動していく
「こうやって円周を移動しないといけないのは骨が折れるな……時間があれば移動しなくても作れるというのに」
誰もいないからか独り言が止まらない。機械の操作を口に出しながら進めていく
ジリリリン
男の携帯に電話がかかってくる
男は相手の名前も見ないまま電話に出た
「もしもし?忙しいから後にしてくれないか?」
『もしもし、私メリー。今東京都庁にいるの』
相手はそう言って電話を切った。男は手を止めて携帯の相手を見る
非通知
「イタズラ電話……だよな」
最悪の可能性を考える
覚醒者のメリーさんが電話をかけて来ているということ
しかも状況が状況だ
男とDr.Kは合作で物語を作った。
今は混乱しているとはいえDr.Kに自宅を調べれば男が関与していることがわかるかもしれない
それ以前に奴ら……
協力者が言っていた因果の脱出の連中が前回までに突き止めていて知っているかもしれない。胡散臭いやつだが実際にこうやって追い詰めようとしている
因果の脱出のメンバーの中にメリーさんはいなかった筈だ
だが
もしかすると、新しいメンバーがいるかもしれない。
ジリリリン
また電話が鳴る
男は一瞬だけためらったが確認したいことがあり電話に出た
「この儀式が成功したら世界はどうなった」
『もしもし、私メリー。今新宿駅にいるの』
メリーさんは質問には答えずに居場所を伝えて切る
まだ距離はある。もう一度なら大丈夫なはずだと男は考え今度は自分からかけ直す
メリーさんは電話に出た
「答えろ! 因果の脱出!協力者の話ではドジョウの他にも儀式をして生物も増やして自然が豊かになり、環境が良くなったということだ。なぜそれを阻止する」
『もしもし、私メリー。今あなたが乗っている列車の一両目にいるの』
質問には答えずに
男は携帯をしまうと作業を続ける。聞きたいことがあったがこの後は危ない
作業に集中すべきだ
失った自然を取り戻すためにこの儀式は必要なことだ
電話に出なければいい
そうしなければメリーさんは飛んでこないと男は考えていた
だが忘れるな。メリーさんは既にこの列車に乗っている
「こんばんは、私メリー。電話に出てくれなかったから直接来ちゃった」
彼女は男の肩に手を置く
男が振り返るが何もない
否
何も見えない
男の両目にそれぞれナイフが刺さっている。男が痛みに悲鳴を上げようとするが間髪入れずに後ろ回し蹴りを受けて脳震盪を起こし、倒れたところに四肢へナイフが刺さり列車の屋根に昆虫標本のように縫い付けられる
男の体には6本のナイフが刺さっている。これほど刺さっていたらショックとかで気絶してもおかしくはない。そうならないのは覚醒者としての男の肉体が頑丈なのか、それとも相手がわざとそうならないようにしたのか
その相手というのが
八葉だった
いつもの女子高生の制服だが返り血で赤く染まっている。そして左右の太ももにナイフホルダーがあり、残っているナイフは二本だけ
「電話に出てくれたら楽に死なせてあげたのに……まあどうせ8本使うから比較的楽にかな?」
「目……目がぁぁぁぁあ!」
「なるほど、これがドジョウの大群の発生の原因か」
「いたい……いたい!」
「ああもう、うるさいな。男なら我慢しなさい」
喉にナイフを突き刺す
カヒュカヒュという音しか聞こえなくなった。のたうちまわりそうになるが縫い止めてあるから動かない
「協力者……というのもどうせあいつだし、用済みね」
8本目のナイフを肋骨の隙間から心臓に入れる。念の為にグチャグチャと中を搔きまわす。男の体がビクビクと震えていいるがしばらくすると全く動かなくなる
絶命した男からナイフを引き抜きドジョウの水槽を割ってドジョウを線路に投げ捨てる。パソコンは足で破壊して周辺の機械は放置しておく
一通り破壊工作を終えると男の手を掴み電話をかける
ピポパポピ
「もしもし、私メリー。今南極にいるの」
『死体処理のために私にかけないでよ……』
電話を切ると男と八葉の姿が消える
こうして、ドジョウの大群が発生するのは阻止された
************
オマケ
「もしもし、私メリー。今南極点にいるよ」
『観光しないでさっさと戻って来なさい』
「もしもし、私メリー。今小樽にいるよ」
『通り過ぎてる』
「もしもし、私メリー。返り血を浴びたままだったから通報されたよ」
『いいから帰ってこい!』
次回はいつだか言っていた100pt記念です
その次が二章で
〇〇が〇〇されます
ここまでお読みいただきありがとうございます
キャラがぶれぶれでよく脱線したりと至らぬところが多々ありますがこれからも楽しんで頂けたら幸いです
ブックマーク評価感想などしていただけると嬉しいです
二章は日常メインとなっています