世界の危機に立ち向かう少女
皆さまのお陰で100ポイント達成しました!
《いつもありがとうございます》
50ポイント記念の時に予告したように100ポイント記念を書こうと思っていますが、今の章を終わらせて次の章との間に載せようと思っています
海中に飛び込んだパンゲアとそれを追うように潜ってきた弩ジョウ。
弩ジョウは好戦的な性格に改造されていて周囲で一番強い存在に襲いかかろうとする。そして今までの巻き戻しからパンゲアはそれを知っていた。
だから他を巻き込まないように海中へと飛び込んだ。海中だとある程度衝撃を吸収してくれるから。
だが人間と魚ならどちらの方が海中で動きやすいかと問われたら魚と答えるのが当たり前だ。同じ大きさの人間と魚が水中で戦ったら余程のことがない限り魚が勝つのが当然だろう。
しかも弩ジョウはジンベイザメ並みの大きさがある。あっという間に丸呑みにされてしまうだろう。そうでなくても大質量なものと高速でぶつかったらただでは済まない
だが、忘れることなかれ
パンゲアはオリキャラである
それも、現在覚醒したオリキャラの中でも最高峰の力を持つ存在である。水中だろうが空中だろうが宇宙だろうが平然と動けてしまう。
ある程度の深さまで潜るとパンゲアは泳ぐのをやめてその場に漂う。不思議なことに、パンゲアからは吐き出す息が出ていなかった。実際、パンゲアは呼吸していない。呼吸を必要としない生命体である
アレに祝福された存在: 使徒
どんな過酷な環境であろうと適応できるように呼吸を必要としない
海中で漂うパンゲアの様子を伺うように彼女の周囲をぐるぐると弩ジョウは泳いでいる。パンゲアは弩ジョウを見ずに目を閉じそして胸の前で手を組んだ。
まるで神に祈るかのように
自身の周囲に輝く図形が描かれ始める
立体魔法陣
多くの人がそう表現するだろう
ルナフとNが使う魔法陣は全体的に曲線が多いが、パンゲアの魔法陣は直線的で角ばっている
パンゲアは自分の心の奥底
アレと同列で大事なもの
かつての自分の記憶を思い出す
パンゲアとなる前の頃の日本人の女性としての記憶を思い出す
彼女がパンゲアというオリキャラを想像したのは高校1年生の頃、地学の授業で大陸について学んだ時である。太古の大陸に興味を持った彼女は超大陸、やがて他の大陸について調べていくうちに伝説の大陸なども知った。
伝説やオカルト的なものなども多くあり、次第にそういう類にも興味を示し始めた。幻の大陸について調べていくうちにあるキャラクターを想像した
それからしばらくして彼女は物語を書き始めるようになった。
きっかけは自分もワクワクさせるように物語を書きたかったから
そしてパンゲアという少女が地球を守るためにさまざまな力を使って戦う物語が出来上がった。完結した後、自分で読み返してみて女性はつまらないと思った。売られている本みたいにワクワクするわけでも登場人物に感情移入できるわけでもなかった。感動するようなシーンもなかった。
駄作
それが自身の物語につけた評価だった
だがそれでも、主人公であるパンゲアや登場人物を嫌いになることはなかった。少なくとも自分が書いている間はワクワクさせてくれた、次はどんな冒険をさせようかと楽しみにした。
戦いではまるで自分が戦っているかのようにハラハラとし、勝った時はパンゲアと一緒に喜んだ。
他人に見せられないクオリティーの物語、登場人物の生き様も特に褒めるようなものでもない。時々ムカつく言動もあった
だがそれでもパンゲアたちが好きだった
自分を冒険に連れ出してくれた大事な仲間、戦友、相棒
色々な言葉が当てはまるがパンゲアの作者はパンゲアたちのことを親友と思っていた
そして今のパンゲアも作者のことを親友だと思っている
パンゲアの周囲に展開している魔法陣が青白く輝く、異変に気付いた弩ジョウは丸呑みにしようと食らいつくが飲み込めなかった。弩ジョウの口よりも遥かに小さいが口に入れることは叶わない
その魔法陣の中から必死になっているドジョウを見てパンゲアは口元を緩ませる。この戦いはパンゲアの物語同様に、世界の命運をかけた戦いであると自覚しているから。この弩ジョウを倒すことによって世界の危機が回避されるから
作者が書いたように世界を救おうとしている。それだけで自身の心は奮い立ち、力がみなぎってくる。
たかが弩ジョウだがここで倒せなかったら世界の海は滅ぶ
パンゲアはその可能性があるのを知っている。ここで倒せなかったらドジョウの大群が発生してチート連中でも対処することができず、世界はドジョウに覆われる。やがて全ての生命が死滅し、ドジョウの大群によって龍脈は枯れ果て、この星は崩れる
「あなたはこの星に不要」
独り言のようにパンゲアは呟く。弩ジョウのは全く聞こえていないが殺意を込めた。それを感じ取ったのか食らいつこうとしているドジョウがさらに荒々しくなる。だがどんなに頑張っても、どんなに力を込めてもパンゲアを飲み込むことはできない
そしてパンゲアの体が魔法陣同様に青白く輝く
「この星を壊す邪悪な存在」
パンゲア自身が決めたことではない
アレに指示をされたからこの場にいる。だが指示しなくてもここには来ただろう
星の行く末を決める戦いなのだから
「故に、今この場で討ち取る」
光がひときわ輝き、夜の海中が白色に染まる。海上からもその光は見ることができ、ユリアが船を遠ざける。ユリアの船と時計に取り付けられたあらゆる計器が狂ったように数値を示す
自分を創造してくれた女性が思い描いたパンゲアというキャラのように世界の危機に立ち向かう。たとえ相手が雑魚だろうが絶対に敵わない相手だろうがこうして世界にために戦える。それだけでパンゲアは嬉しかった。
世界の危機に立ち向かう少女
それが作者が思い描いたパンゲアだから
「オリキャラは……大昔から人々と共に生きていた」
竹取物語、アーサー王伝説、私たちが知らない物語
世界中に、物語が溢れている
そして、物語には必ず登場人物がいる
「ほとんどのオリキャラは作者以外の他人に知られることなく……やがて作者自身も時や環境の変化で忘れていってしまう」
見向きもされない小説
紙に書かれることなかったボツ案
殆どのオリキャラたちが誰にも見向きされることなく消えていく
「だが、ほんの一握りのオリキャラたちは小説、詩、歌などの創作物、架空のものとして人々に夢と希望、感動と笑いを与えた」
アニメ、大ヒット小説、世代を超えて語り継がれるお伽話など、数多の創作物のごく一部だけが大衆に知られる
「人々はキャラに心を奪われ、憧れて生きたりするようになり、やがて一部がオリキャラを作り出しそのほんの一部のが再び人々を虜にしていった」
なろう作者や漫画家志望の人たち。その中でもほんの一部の物語のキャラたちが人々の憧れとなり、有名になっていく
「私は作者のパソコンでしか見ることができない小さな存在、とても人々夢や希望を与えられる存在ではない」
黒歴史ノート、授業プリントの余白に書いた短編、キャラ絵、パサコンに保存してあるメモ書き
誰にも見られることないキャラたち
パンゲアもその1人だった
「誰にも知られることなく消えていく小さな存在」
作者が忘れてしまったら消えてしまう存在
「だけど、どういう運命なのか……こうして私は現実世界に現れて世界を救うためにいる。今この場に生きている!」
覚醒者の姿となったオリキャラたちのほとんどは作者しか知らなかった存在
誰にも見られることなく消えていく運命だったキャラたちが今を生きている。
「ならば、私も人々の憧れとなろう!」
冒険記の登場人物のように
ラブコメに登場するヒロインのように
己を貫き通す悪の親玉のように
世界を救う旅に出る勇者のように
「モード: アトランティス!」
パンゲアの宣言と同時に、魔法陣は爆発するように飛散し、近くを泳いでいた弩ジョウはその衝撃によって海上へと押し上げられる。
衝撃の余波は海中だけでは収まらず、水柱が立つ。騒ぎを聞きつけて駆けつけていた警察やマスコミのヘリがそれに気づき、押し上げられた巨大なドジョウに目を見張る。
そして、水中の中から光が飛び出し、空へと飛んでいく
それはグングンと上っていく
そしてその光から声がした
その声は遠く離れた海岸に
エンジンでうるさいヘリの中に
届いた
「この翼は世界の危機にいち早く駆けつけるため!
この力は世界の危機に立ち向かうため!
この声は勝利を叫ぶため!
この手は差し伸べるため!
この足は人々の前に立つため!
私は世界を危機から救うためにいる!」
光が弾け、昼間のように明るくなる。まるで人々を照らす太陽のように
「私の名はパンゲア!」
光が弾けるとそこには先程までの質素な格好違い、装飾が施された青いドレスのような装いをしたパンゲアがいた。
ただの槍も年代物のようなトライデントに変化している
そして明らかに違うのは乏しかった表情が感情豊かに変化し、饒舌になっていること
警察のヘリから無数のスポットライトが集まりパンゲアを照らし出す
「私は!」
ルナフが
ユリアが
Dr.Kが
?が
アレが
暗躍中の八葉が
東京湾に向かっている和也が
その場にいたマスコミや警察が
海岸で見ていた人たちが
大衆が中継や後日のニュースで
世界中の人が動画配信サイトやSNSで
見ていた
月を背に二対の翼を広げて夜空を舞う少女の姿を
怪物に立ち向かう少女の姿を
世界の危機に立ち向かう少女の姿を
「人々に夢と希望を与える使徒である!」
今この瞬間、彼女は誰よりも輝いていた
要約
『小説家になろう』
こうして多くの人に物語を見せられる場所を作っていただきありがとうございます
主人公より主人公しているパンゲアさん
しかも今回主人公が出てきたの一回だけ
ブックマーク評価などしてくれると嬉しいです
それから8月9.10.11.12日は用事があるのでお休みします
《この日にちわかる人が見たらどこ行くかわかっちゃうよね……四日間とも行くわけではないけど盆休みということでお願いします》




