必殺技
あれ……思ったより短かった
いつもお読みいただきありがとうございます
戦わなくていいって
《私たちはいつも通り8日後に弩ジョウが現れると思っていた。今までそうだったからね。だから弩ジョウが出る3日前の時点では最低限戦闘ができるレベルまで持って来るつもりだった。だけどあなたの今のレベルだと全然戦えない》
じゃあ一体何をすればいいんですか? この船を守る防御魔法でも張ればいいんですか? それともスノー打ちまくって弩ジョウの注意でも引けばいいんですか? それとも煽って逃げればいいんですか
《ああうるさい、戦わない。パンゲアがなんとかしてくれるわよ。戦えるとしても出番なんかないよ!》
Nさんが耳を抑えてイヤイヤと首を振る
確かにパンゲアさんがNさんの言った通りの強さならわたしの出番が来る前に終わらせてしまうだろう
だがNさんの予想を裏切り、パンゲアさんはわたしにも戦うように言った
「Nの弟子……最大火力の準備をして」
《え?》
「最大火力?」
Nさんが目をまん丸くしているがとりあえず放置しておく
私の最大火力と言ったらただの魔力放出
精々人を吹っ飛ばすくらいしかできない
となるとNさんがまた乗っ取るのかな?
「N……時には……限界突破必要」
そういうとパンゲアさんは海中に飛び込んでいった。
それを追うように弩ジョウは潜っていった
************
限界突破
確かに必要な時はくるが現状パンゲア一人いれば弩ジョウは倒せる
今はその時ではない
まだ誕生したばかりだから弩ジョウも成長しきっていない。パンゲア一人でも余裕だ。油断しても倒せてしまうほど差は歴然だ
なぜ?
なぜルナフに最大火力をぶつける準備をするように指示をした?
考えられるとしたらパンゲアが弱体化している
だけどぶん殴った時には全然そんなそぶりがなかった。龍脈を使ってようやく腫れさせることができたんだ。
身体能力とか基本的な特殊能力は問題ない
となると決定打が封じられている?
パンゲアはアレの指示に従っている。アレが使うことを禁じていたらたとえ目の前で愛する人とか家族が殺されそうになっても使わない
絶対服従
それが使徒とアレの関係だ
一番ありえそうなのはこれだ
ではなぜアレはパンゲアに使わないよう指示したのか
強力すぎるから?
それとも何かしらの罰なのか?
ユリアのSF武器は広範囲攻撃だ、こんな場所で使えるわけがない
となると必然的にルナフが指名される
ルナフが使える魔法ではどうあがいても
となると……今この場ですぐに覚えさせることができる魔法……
ルナフの必殺技はルナフ自身で思い出して欲しいし速攻で覚えられるものではないから除外して
私の必殺技
……
……
あれを使うしかないか
************
《ルナフ……必殺技を使う》
ずっと考えていたのかNさんが書斎から黒歴史ノートの5冊目と分厚い本を取り出す。タイトルは魔法一覧
必殺技ですか?
そんなもの持ってもいませんし習得もしていない
《正確にはルナフの必殺技じゃない、松村君の必殺技だ》
いやいや待て待て!
俺の必殺技?!
現代日本で生きている健全な男子高校生がそんな必殺技持っているわけないだろ!
確かに中二病時代になんか思い出すだけで恥ずかしいもの作った覚えがあるけどさ!
となると物語内の必殺技だろ
それも俺が使えるほど簡単な
《そりゃそうさ、この必殺技は初級で対人〜対界と幅広く使える技だ》
ドヤ顔で言っているけどさ
そんな便利な技、何かしら対価とか必要になってくるだろう。寿命とか。
対価がないとしたら制約とか色々条件が必要になってくるだろう
《もちろん条件がある。まず他人との縁が多ければ多いほど強くなる。故に交友関係が広くないとそこまで火力が出ない。因みに弱いとスノー未満の威力だ》
俺は友人は多いと言えるほどいないぞ。
《次に、どれほど親しいか。ただ友人が多くてもよく話すような仲じゃなかったらそこまで火力は出ない》
それ言ったら条件が当てはまる友人なんて10人くらいだぞ。必殺技を使うには少なすぎないか?
そう聞くとNは書斎の本棚から黒歴史ノートを取り出す
《だから君とオリキャラの縁を使う。弩ジョウを倒すには十分な火力を確保できるだろう》
オリキャラとの縁?
そんなことが可能なのか
《可能、ただ……これをいまの君が使うとなると脳の処理が追いつかない……だから今度は私が眠ることになる。私って結構重いからね》
体重がとかは言わない。擬似人格とはいえ一人の思考を並列させているんだ
自覚はないがかなり脳に負担がかかっているはずだ。
そして強大な魔法を使うのも大きな負担となる。追いつけないからNが眠る……理由はわかる
だけど
Nさん……
私、まだ一人で戦えるほど強くないです
ポン
と私の頭をNさんは撫でる
《大丈夫、君なら、ルナフならできる。それにみんなが助けてくれるから》
Nさんはそういうと消えていった
八葉「電話が変なふうに切れたのに心配するどころか忘れられている」
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