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巻き戻し

ブックマークありがとうございます


この物語には以下の成分が含まれております


ドジョウ


前回の要約


弩ジョウが東京湾に出現

ドジョウの大群が東京に出現

大パニック


そして今回も少々のグロが含まれています

「そう……そっちは無事なんだね。大輔とルナフは私と一緒にいるから安心して」


ユリアさんがイカリたちの安否を確認している間ずっとドジョウの群れを眺めていた。うねるようにドジョウは増えていき次々と死体が埋まっていく。死体の耳の中に入り込もうとするドジョウや口の中で暴れるドジョウを見ていると何か思い出しそうになる


************


ドジョウっていうのは栄養が多く含まれているの。姿形が気持ち悪いから食べたくないっていう人が多いけど味はいいんだよ


というわけでドジョウ鍋だよ


************


余計なことを思い出した

というか私はドジョウを食べるシーンを書いていたのか


部分的に思い出しただけだからどういった経緯で食べたのか思い出せないけど美味しかったのは覚えている


今この状況で食べたいとは思わない


とにかく今はドジョウをどうにかしないといけない


だからNさん、弩ジョウについて知っていること洗いざらい話してください


頭の中で逆さまになっていたNさんは少し目を瞑って思案するとまあいっかと呟きながら話してくれた


余談だがNさんの服装はワンピースタイプの軍服でその上にコートを羽織っている。この格好はNさんがおふざけなしで行動するときに着る物で


つまりガチモードっていうこと


************


ルナフ……コートを託すわよ


泣かないでよ


************


今の……何?


《物理攻撃がほとんど効かない化け物だよ。ある覚醒者が自身の命と引き換えにあんな怪物を作り出した。生態はよくわかっていないけど陸地でも平然と動ける。そして奴は決まってある場所を目指す》


気のせい……?


自身の命と引き換え系ですか。だとするとドジョウの大群は弩ジョウを作り出す前に作られたことになりますね。

定番かもしれないですが弩ジョウが向かっているのは国会議事堂ですか?


《その通り、いつもならチート連中が倒すから被害は少ないけど今回はドジョウの大群ですでに首都が壊滅している。国会議事堂もドジョウに飲み込まれたと思う。前回まではこんなドジョウは出てこなかったのに……世界経済に大打撃を与えているね》


そのドジョウの大群をどうにかしないといけないということですか。

これを止める方法は?


《ありがちなパターンだと東京湾の弩ジョウを討伐するだね。これでドジョウが消えなかったら首都全域に巨大な魔法陣が刻まれているパターンかな? そもそも私たちの予測を超える作者かもしれないからどれが正解かはわからないけど》


Nさんならどうしますか?


Nさんは指パッチンでホワイトボードを取り出すと軍事作戦の説明をするかのように駒を配置していった。


東京湾には巨大な赤丸を

その周辺には小さな青丸を


《東京湾の弩ジョウはチート連中に任せておく。あいつらそう簡単には死なないし。となると魔法陣のパターンを想定して探索だね。魔法陣系統だと仮定すると私たちの感覚でいくとこれほどの規模なんだから魔法陣を使用しているはずね。かなり巨大な……そしてそれを用意するにはかなり時間がかかるはず……ヒントはここまで》


流石に全ては教えてくれませんか


《当然でしょ、本来なら私はいないはずなんだから》


Nさんがゆっくり透けていく

確かにNさんの記憶があるのは本来ありえない筈だ。これだけヒントを出してしかも話し相手になってくれた。


わかりました……


巨大な陣を作るにはそれ相応の時間が必要になってくる。

天災の日から約2週間

作ろうとすれば作れる時間だけど


そもそもそれほどのエネルギーをどこから調達する?


設定で個人で有している可能性はある


けど持っていないとしたらその土地のエネルギー

ありがちなパターンだと龍脈を使うはず

もしくは生贄を利用した方法


私たちの世界観で考えてはいけなないけど……


「ルナフちゃん、どうにかしようとしている?」


連絡を終えたユリアさんが虚空を見つめていた私を覗き込んでくる。頷くとユリアさんは時計から浮かび上がった画面を見せてくれた


「ドローンを飛ばして確認してきたけどドジョウの大群は港区、品川区、目黒区、渋谷区、新宿区、豊島区、文京区、北区、荒川区、台東区、千代田区に発生していて四ツ谷駅付近はドジョウが10m近く盛り上がっているよ」

「日本の中心と呼ばれている地区が壊滅ですか」


なんでしたっけ

今挙げられた地区何か共通点があったような気が



* *


* *


私は激痛で目を覚ました。体中の関節、骨、筋肉が焼けるように熱く、インフルエンザにかかった時のようなダルさがあった。呼吸もまともにできない。汗で体中がベタついている。


何があったのかと私は考えた。


自分が寝っ転がっていたのは自室のベッドで特におかしな点はない


あえていうなら、さっきまで大学の屋上にいたはずなのにいつのまにか家に帰ってきたことだ


慌てて枕元に置いてあったスマホで日付を確認すると私がルナフになった日、つまり天災の日だ。


《時間が戻ったようね》


頭の中のNさんは先ほどと同じ軍服の上にコートを羽織った状態だ。


《今回は巻き戻しの犯人に救われた》


それには同感ですね


ジリリリリン!


「今忙しいので後ほど」


同級生の電話を1秒以内に終わらせる


……


N、あのドジョウをどうにかしたい


《では松村君、君はどうする?》


さっきユリアさんが言っていたドジョウが発生した区域にはある共通点がある


《気がついたか》


Nが顔をニヤリとして頷く


山手線が通っている区

ということは山手線を利用した儀式だと


地図だと正円や綺麗な楕円で描かれるけど実際は歪みまくった円だ。あんな歪な楕円にドンピシャで当てはまっていたんだろ、ということは山手線を利用して魔法とかの超能力を使ったんだろ


《私も同意見よ、ではそれを防ぐまたはドジョウが発生した時にどう対処する?》


山手線については放置


《理由は?》


そもそも俺たちが理解できる法則ではないはずだ。犯人には犯人の世界観があるんだ。犯人にしかわからない法則で山手線を利用してドジョウの大群を発生させた


《その通りね、いくら私でも異世界の法則まではわからないよ……それで? 魔法陣の発動を事前に防ぐことは出来ないとしたらどうやってドジョウの大群に立ち向かうの?》


相手は数で押してくる。数に対抗するには強大な1かそれを上回る数、強大な1といってもいるならとっくに出てきているはずだし自分がなるには時間がないしなれる保証はない


なら数を集めないと


《二週間後ドジョウが大量発生しますので助けてくださいって言っても同類じゃない限り信じないよ》


その同類は実際どのくらいいる?

いるんだろ、因果の脱出以外に巻き戻しを止めようとしている人たちは


《まあ……把握している限り日本全土に100人いたかな? 関東には大体30人くらいだったはず。その中で戦闘能力があるのは約20人。流石に足りない。当日になってチート連中が参戦するけどそれでも東京を守れるほど戦力はない》


一箇所にドジョウを集めたら可能か?


《無理ね、いくらなんでも山手線内全域を埋め尽くすドジョウを一箇所に集めてもその場所は一瞬でパンクして全員飲み込まれるよ》


それもそうだな。あっという間に地面を覆い尽くしたドジョウを一箇所に集めたら山になってしまう


強大な1はない

数も足りない

一箇所に集めるには数が多すぎる


となると残された道は


ドジョウの大群と弩ジョウを生み出した犯人を捕まえて弩ジョウの出現も阻止する


一番現実的だが難しいものだ

俺たちには警察のような情報網とかがあるわけではない


《犯人が誰なのかはわかっているけど事前にどういった行動をしていたかまでは私も把握していない。事件後に判明した、そしてそれをわざわざ捕まえようとは思わなかった。優先順位っていうものがあったからね。でも今回の大群で一気に優先順位が上がった》


ということは今どこで何をしているかはわからないのか。でも探せば割とすぐに見つかるんじゃないのか?顔はNが覚えているし


と思ったが事件当日以外東京湾周辺にいない可能性もあるし未来のことだから監視カメラにも映っていない


そもそも人力で探すには無理がある

せめて犯人が事前に何をしているのかわかれば


《手がかりをつかんでいそうな人には心当たりがある》


誰が?

因果の脱出のメンバーか?


《八葉さんだよ、ミステリー出身の彼女なら真っ先に犯人確保のために調査するでしょうね。本人の申告通りなら犯人確保のためなら喜んでアドバイスしてくれるはずよ。警察に助言する謎の美少女なんだから》

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