2-23 人の栄華は過去のもの
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「良いか雑魚ども♡ お前たちは覚えていないと思うが、沖縄の時にはこれ以上にヤバかったからな!」
「その沖縄を破壊するってどういうことだ! 少なくとも、覚醒者の限界は超えている筈だ!」
上限がそもそもおかしいから忘れがちだが、一般的な覚醒者は攻撃なら都市が壊滅するぐらい、移動系なら都市の端から端ぐらいまでしか能力は使えない。
松村が東京湾で使った魔導砲も、都市を破壊するには程遠い威力だったと報告が上がっている。
それが、都市を超えて都道府県を破壊するだと?
「つまり、ガブリエルは……恐らく四天王は」
「アハハハッ♡ そのとおりッ! 私たちは使徒! オーバーワールドに上書きされた世界の使徒! テメェらが倒すべき障害ッ!」
黒い羽が乱発され、スポットライトがクルクルと周りこの空間を明るくする。肉饅となった生徒は強烈な光を浴びて縮こまる。
「あぁやっと使える♡ これずっとずっと使いたかったんだぁ♡」
ガブリエルが手を上に掲げる。その手の指には、漆黒に輝くカードが挟まれてある。
《あ、ヤバッ!》
アリスが顔を青ざめさせる。俺だって言われなくても分かる。アレはヤバいって!
「世界の……輝き?」
八葉がそう呟いた。言っている意味は分からないが、そう呟くのも無理もない。
形容し難いタイプの光だった。
でも、既視感がある。
俺ではなく……私の方が、心当たりがある。
「オーバーワールドを倒すというなら、この程度の攻撃は対処できるよね!」
パキッ
そのカードにヒビが入ると、ガブリエルの躰にもヒビが入る。
「Installe: Library Force!」
そう叫ぶとガブリエルの躰は銀色の破片となり散らばり、直ぐに収束する。だが、元に戻ることはなく別人へと変わっていく。
「あれが上書きの力か? 別人へと変わるなんてできるのか?」
「ううん、気配が違う!」
『警告: 所属不明の世界が確認されました』
放送設備のスピーカーからブザー音と警告が交互に流れ始める。
『風紀委員は直ちに、当該世界の排除を行なってください』
「Set : クロウディア」
闇が一点に集中する。ガブリエルの方へと集中し、その闇が人の形を作る。
四肢が生え、顔が生え、その上から漆黒のドレスを身にまとう。ベレー帽からツバの広く、レースやリボンで飾り付けられた大きなものへ。
余った闇はカラスの羽に変化し、この空間に舞い散る。
「一度限りのインストール! テメェらが最初で最後の見届け人だッ! 節穴だったら承知しないからな!」
「大輔! 逃げるよ! 私を守って!」
八葉が携帯を取り出して即座に電話をかける。
「試した時は圏外になっていたけど、ユリアなら繋げてくれる筈」
俺は蛍光灯から飛んでくる電撃から身を挺して八葉を守る。いくらアーマーで電撃が無効化できるからと言っても数が多い!
プルルルル
「さすがユリア」
発信音が聞こえてくる。
「よそ見はしないでほしいんだけど!」
格好だけは淑女になったガブリエルが騒いでいるが、それどころじゃないから黙っててくれ!
「ハァ……まぁいっか。どうせアルペジオは見てくれているだろうし、雑魚代行で我慢するか」
プルルルル
「それから八葉」
「何? 今忙しいんだけど」
「この学園ではポラリス……今は因果か。因果のユリアの機器は対策済みだ。お前のメリーも、無人電話に自動的に着信するよう細工してある。誰も出ない、無意味だから電話切っておけ」
プルルルル
発信音がやけに虚しく聞こえる。
「お前らの手の内は、沖縄の時にほぼ割れている。オーバーワールドにとって対策は簡単だ。新しくルールを追加すれば良いからな」
プルルルル
「なら! 俺の手の内はどうだ?」
俺はどうだ? 俺は最近覚醒したばかりだ。
「……確かに大輔、テメェは知らない」
「そうだよな!」
「だけどな、覚醒者如きの雑魚が使徒には敵わない。お前は使徒を知らない。知ろうとしなかった」
「なっ……」
「松村のように戦っていたら、違っていたかもな」
「その間抜け面、哀れ過ぎて笑えねぇ。やっぱり、今のテメェよりもアリスの方が断然いい。今のテメェなら心置きなく殺せる。だからアリス、出てくるなら今のうちだぞ。じゃないと、間に合わないぞ」
ガブリエルが俺を、俺の頭の中にいるアリスに呼びかける。それを聞いたアリスは……。
アリスがいない?
「烏は集いし何を為す?」
「仲間の死を弔うため」
「天災を知らせるため」
「この世の終わりを知らせるため」
「告知: 人の栄華は過去のもの」
現在判明している過去の所属
神奈川覚醒者連合
N、アリス
ポラリス
龍崎、和也、ユリア
アカシックレコード
ガブリエル
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明日明後日は投稿できないと思います




