表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想像の世界〜自分のオリキャラになりました〜  作者: 旧天
幻想異聞奇譚 第二章 要塞学園迷宮
157/167

2-14 参戦

お久しぶりです。

転職活動してました。


無事次の仕事が見つかったので、これから徐々に投稿ペースを上げていきたいと思います。


いつもありがとうございます。

お待ち頂いた皆様、ありがとうございます。

コノ世界ニ大人ハ要ラナイ


消セ、消セ、大人ヲ消セ


我ラノ楽園ヲ守レ


アァ、我ラノ『青イ、青イ春』ヨ


ドウカ我ラヲ守リタマエ


神ヨ、我ラハ祈リ(想像)ヲ捧ゲル


ドウカ、ドウカ、我ラノノ青春ガ永遠ニ続クヨウニ


ヤガテ死後ノ世界ガ、青春トナル日マデ、我ラノ祈リハ続ク


青春ヨ、永遠トナレ


* *


世界が誰かによって上書きされても

人類が誰かの手によって操られていたとしても

自分に何も力がないとしても


私たちはこの世界で生きている。


対して、この世界は死にかけている。屋根の上から自宅の周辺を見回しただけでも、異常だというのが分かった。


まるで嵐の前の静けさのように、雨が降る前に匂いがするように、地震が来る前に動物たちが騒ぐように。


何か起きていると、何かが行われているという、何というか、嫌な予感がしたのだ。


車の通りは無く、それどころか人が歩いていない。虫の声も、夜行性の動物の息遣いも無い。


何も感じない。


ジリリリン


そんな世界に響く一本の電話。何の変哲もないスマホの着信音。元から内蔵されてあるスマホ会社が用意した呼び出し音。


いつもの音。


それすら、異常に感じられる。


スマホの画面には、千里眼を持つと言っていたイカリの名が。因果の脱出のリーダーにして、今まで何をやってきたのか全く分からない謎の人物。


恐らく彼も、既に操られているのだろう。


Nが敗れたように。アリスが手を打てないと俺に引き継いだように。


イカリも敗北したのだろう。


「もしもし、近衛です」


自分の声がやけに落ち着いていることに驚く。落ち着き過ぎて、切符売り場の自動音声のように聞こえたほど。


『もしもしイカリだよ。ごめんね、こんな時間に』


時計に針は2時を回っている。常時ならこんな時間には眠っていた。だけど、昼間のやりとりが記憶に残って眠れなかった。


「いえ、ちょうど起きていたので。何かありましたか? 松村にも八葉さんにも電話をかけず、私に電話するっていうことは特別な事情でも?」


それとも、オーバーワールドが私に狙いを定めたか? 今まで何もしていなかったから、後回しにしていたけど昼に密会をした。


そこで私は特級特異点という単語や使徒、ワンダーワールドとかの知識を得た。


『そうだね、その2人と連絡が取れないんだ』


おk


落ち着け。


なんだって?


使徒が2人とも連絡取れない?


いきなり、こちらの戦力半分落とされているんだけど。


《突然の事態に頭が追いつかない探索者。現実逃避したくなったところでSAN値チェックです》


始まったところで悪いけど、推奨技能は?


《不明。強いて言うなら聞き耳と目星かな?》


『ユリアに携帯の位置情報を探ってもらったら、どうやら松村が通っている高校の中で消えたみたいなんだ。一番近いのが近衛さんだから、様子を見てきてほしい』


そういえば大学生組は東京在住だ。それに対して私たちJK(男の娘と年齢詐欺含む)組は神奈川県。隣ではあるが、東京までは列車で1時間はかかる。


アリス、様子を見に行くけど良き?


《良いけど、ここで見に行ったら、恐らく戦いからは逃れられないよ》


アリス、私の一番のお気に入りのオリキャラ。作中最強の力を持つわけではないけど、バリスをこの世界で操縦できたらしい。


バリスは俺とアリスが住んでいた街を、外敵から守る為に建造された巨大ロボット。基本的にレーザービームとか出して攻撃し、状況によってはミサイルも放つことができる。


空は飛べない。


それでも、バリスでダメだった。


対して俺のノーネームロボットは、強化スーツで人間兵の域から出ない。


ルナフが弩ジョウに撃った、魔導砲の火力には到底及ばない。


戦力としてはカウントできない。


だったら、尚更、私たちが行くべきだ。


消えたって問題ない奴が。

そこまで自己犠牲の塊じゃないけど。


初めて松村と会った時に話していたことを思うと。


《警察署でのこと?》


* *


「俺は起きた時びっくりして夢かと思っていたんだよ。まあ、お気に入りのキャラだったからちょっと良かったけど」


そう戸惑いながらも、松村は楽しげに自分のキャラについて語り始める。


ただ、設定を語るだけじゃない。

名前に込められた意味。

将来の夢。

まるで、大好きな家族を、親友を紹介するかのように。


ルナフだけじゃなく、Nのことも。


正直、引くぐらい熱く語られた。それに負けじと、私も話していた。松村も引いていた。


大輔のこと、アリスのこと、私が想像した要塞都市のこと。


私と松村は、オリキャラたちが好きだ。

自分の物語が、そこで生きるキャラたちが好きだ。


勉強、部活、私生活よりも、物語を書くことに熱中するほど好きだ。


私たちは、なによりもオリキャラたちが好きだ。


* *


だからこそ。


だからこそNが消えた苦しみが、想像できないほど辛く悲しく苦しいことだと理解できる。全てを注ぎ込んで、大切に紡いだ物語の主人公。何度も夢見た、想像の世界の住民。


それが消えた、オーバーワールドによって。


そして、私と松村の境遇は少し似ている。

アリスが消える可能性がある。


私だって、アリスが消えるのは耐えられない。


()に戦う力はない。

だけど、戦える人を、あの3人の使徒の助けになれば。


「行きます。松村たちの助けに」


『ありがとう。和也も少ししたら送る。それまでお願い』


「了解です」


電話はブツリと途切れる。リーダーなのだから忙しいのだろう 。別れの言葉も言わずに電話を切るなんて。


《それじゃあ、私も本格的に助言をしよう。松村(N)を支えるのは私の仕事だったから》


アリスが片足を鳴らすと、ホログラムが出現しコンピュータ群が登場する。


バリスの艦橋(市長室)

それを模した作戦本部。


《遅れてだけど、私も戦うよ。N》


助けに行くよ、松村。

大輔には、ルナフのように隠された才能とかありません。


だから、彼女(・・)が手を貸すのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ