2-13 転校生
ブックマークありがとうございます。
それから、初めて『いいね』頂きました!
ありがとうございます。
《いいねって結局何かしら?》
そもそも『いいね』の存在を知っている作者読者は何%なんでしょうかね? 私自身、小説設定のページで初めて見たので。
いつもありがとうございます。
「おやおや、これでは手の出しようがないではないか。オーバーワールドの言っていた魔女の残滓、多重障壁魔法。全く、守霊武装とは恐れいった」
「それに対して、こっちの暗殺者はなんとも無防備なことだ。沖縄の時に比べて大幅に弱体化もしている。これでは自殺しに来たのと同じだ」
「ワンダーワールドの使徒と一緒にいたら、八刃の力をワンダーワールドに組み込むかもしれん。ここは離れた場所に置いておこう」
「何、殺しはしない。殺すのは私ではない」
* *
顔を振りながら意識を無理矢理覚醒させる。咄嗟に殺意を感じ取ろうとするが、そう言った感情は周りからは漂ってこない。
——ルナフちゃん!
Nの弟子でワンダーワールドの使徒であるルナフが、そう簡単に死ぬことがないと思うが、ここはオーバーワールドが上書きした領域。
他のワールドの使徒に何らかの影響を与えてもおかしくない。私だって何かされている可能性は十分にあり得る。
いや、私は良い。
私はここで途切れても構わない。私には代わりがいるから。
「良かった、目が覚めたみたいだな。あんた、校則違反したみたいだな」
殺気はしなかったが、人の気配がしなかったわけではない。覚醒者独特の力の波動を感じることもない、なんの変哲もない一般人の気配が近くからしていた。
「何処か痛いところはあるか? 俺はこれでも47区の保険委員だからな」
私が寝ていたベッドから少し離れた場所に、私からみて上下逆さまで天井に立つ男子高校生が立っていた。手にはアルコールスプレーを持ち、部屋の消毒作業を行なっている。
「大丈夫……あなたが治療してくれたの?」
「流石に女子委員がやったよ。それに、ただ気絶していただけだ。強いて言うならかすり傷があった程度」
「その人にも後でお礼を言わないと」
さて、そろそろツッコミを入れるべきだろうか? Nとかアリスとか和也とかユリアとかで慣れていたけど、この世界は色々と常識が変わったんだよね。
「あの、なんで上下逆さまに立っているんですか?」
「……ひょっとしてあんた、転校生か?」
男子生徒は少し驚き、考えると納得したかのように尋ねてくる。だけどその質問をされてもどう答えるべきか分からない。
「転校生?」
「外から来た生徒のことを指すんだ」
「外? 確かに私は外から来たけど」
そして落とされたけど。
「やっぱり! おーい! みんなッ! 転校生が来たぞ!」
保険委員が私からみて天井、彼から見て床に設置されているから頭だけ出して叫ぶ。外には大量の生徒がいたのか、大きなざわめきが聞こえてくる。
「あっ、そうだ。もう1人いるんだった」
保険委員は天井から足を離すと、私から見て右へと落ちていった。その先にあるのは保健室のベッドで、誰かが寝ているからか膨らんでいた。
「別の場所に落ちていたけど、ひょっとして彼も転校生かな? 見覚えある?」
布団を少しだけずらすと、そこには見覚えのあるショタが、アリスの従兄弟がスヤスヤと眠っていた。
「大輔?!」
「知り合いなんだ、と言うことはこの子も転校生か。高校生にしては随分と若いね」
「そうだね、中身はちゃんと高校生だよ」
正しくは女子高校生である。大輔になる前の近衛朱莉はアリスだった。その時の彼女はNの影に隠れて無茶苦茶暴れていた。
後処理を放棄したくなるぐらい。
「転校生が2人とは、これはめでたい。転校は滅多に起きないイベントだ」
転校。
気絶する前は、ルナフちゃんの高校に突撃して飲み込まれた。それより前、現実の世界で全方位から感じていた気配は全てこの学校と同じ気配がする。
あの時の気配はバイク乗っている時に調査して、色々な高校から溢れているのは知っている。
高校を舞台にした上書き。
なるほど、学園ものは物語の定番中の定番。
ラブコメ、異能バトル、そしてスポ根。高校生、思春期は多感な時期であり人として大きく成長する場所。即ち、物語として書きやすい場所だ。
また、読み手からしたら自身の高校生活から情景を補完することができるから読みやすい。ラノベの現代ものだと学校は9割ぐらいの確率で入ってくる(作者の偏見)。
学園物語の始まり方には定番がある。
その中でも、転校生イベントはど定番中のど定番。美少女高校生が転校してきて、それが引っ越しで離れた幼馴染だったり、登校の時に助けた人だったり。
八葉の物語も……。
私って女子高生だけど相手していたのは警察だったじゃん。学園ものじゃないじゃん。
加えて殺人事件が頻発する町で暮らす『深淵を覗く時、深淵もまた覗いてくる系訳あり闇抱え謎の美少女JK』だから。
Twitterの方で『小説界隈は一年で作者が入れ替わっている』とか見かけたんですけど……。
4年前から書いている私は老兵という認識で良いのでしょうか?




