2-3 前回①
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「ここはもう、酷い有り様ね」
出鱈目になった校内。そこをたった5人で進んでいく。一人はN、もう一人は私は。残りの3人は自衛隊。自衛隊の人たちはもっといたらしいけど、
自衛隊の一人がうっかり教室の中を見てしまったのかその場に蹲り、ビチャビチャと吐き出す。
無理もない。あんな生物を見てしまったら真っ当な人間は正気を保てない。他の自衛隊員が手当を始める横で、Nに尋ねる。
「これ、巻き戻しの犯人の仕業だと思う?」
「ううん、違うわ。例の犯人の攻撃手段とは少し違うわよ」
それは私も思った。巻き戻しの攻撃とは似ているが、これは巻き戻しが今までやったことのない攻撃だった。例えるなら、新聞の掲載問題でナンプレしか出ていなかったのにクロスワードを出されたような感じ。
「朝食だと思ったら、夕食だった感じよ」
「それはそれで問題ある」
「すみません、何度も」
処置が終わったらしく、自衛隊の方々は立ち上がった。オロロしていた自衛隊はゲッソリとした顔だが、休ませている余裕はない。
「無理だと思ったら直ぐに。最悪、四人抱えて飛べますので。一般人なのに、この状況で立っていられるだけで十分すごいので」
Nは自衛隊ですら一般人だと扱う。この戦いにおいて現代兵器など役立たないだろう。ぶっちゃけ足手まといになる可能性がある。加えて私のロボットも室内で出すことは難しい。いざとなったら使うけど、使わないに越したことはない。
それでも連れて行くのは、私たちの周囲が一番安全だから。
『さっきの続きなんだけど』
Nが自衛隊には分からないように、念話で話始める。
『どんなのが相手だと思う?』
『クトゥルフ神話技能が90以上はありそうな奴』
『確かにありそうね。そして否定できないわね』
冗談で言ったがN的にはあり得そうだったらしい。これだけ気持ち悪い生物を生み出して、学校を要塞迷宮にしている奴なんて正気の人間ではないと思っている。
「……あとどれくらい猶予があると思う?」
「猶予なんてあると思う?」
Nの問いにハッキリと告げる。既に攻略開始から28時間経過している。巻き戻された時間を含んでもだ。
「全く、神さまは何やっているのかしら?」
特急特異点にまともな奴はいません。




