2-2 戦隊
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『会える?』
「会えるって」
「お? ボーイフレンド?」
どっから湧いた詩織。まさかここリスポーン地点? ついさっき廊下爆走していたよね。rta 走行中に乙った? ガバッたからリトライした? 再走してきていいよ。
「ぼ……が?」
LIMEの相手は松村ルナフ。見た目はロリ、頭脳はロリ野郎。ボーイフレンドかガールフレンドかかなり迷う。
「ところでボーイフレンドとかガールフレンドとか英語圏で彼氏彼女っていう意味らしいよ」
「ただの元男の覚醒者友達。境遇がかなり似ているからさ」
危ない、彼氏がいるって嘘つくところだった。僕的には彼女が欲しいんだけどな。
「なるほど、つまり元彼で天災の日以降に別れたっていうことか。逃した魚は大きいぜ」
「爽やかな笑顔で何言う」
《実際大きいと思うよ。捕まえておこうか? 殴れば大体どうにかなるよ》
ーーアリスは黙っとれ。そもそも捕まえられないでしょ。
アリスを暴力系ヒロインにした私の落ち度だけど、こんな物騒な人になるなんて。物語だったらもっと節度を持って殴っていたんだけど。
「というか、詩織は振られたとか言わないでよ。あいつらが来るから」
『話は聞かせてもらった!』
「ほら来ちゃったじゃん。名前を読んではいけない人たち来ちゃったじゃん」
教室中の生徒が関わらないようにと私たちから距離を取る。詩織は面白そうに少し離れた所からスマホで撮影を始める。
エキストラの皆さんが窓に暗幕をかけると部屋が若干暗くなり、何故か各教室に一個はあるスポットライトが点灯し、教室中をグルグルと照らし出した。
「俺たちを呼んだな!」
「呼んでない」
「心で呼んだな!」
ーー呼んでない。
《私が呼んだ》
ーーアリス!!
「学びに恋に友人に、様々なイベントが目白押しな華の高校生よ! もう大丈夫だ!」
パッとスポットライトが教室の入り口を照らし出す。
そこには赤いネクタイをした男子高校生が立っている。彼はニチアサのようなポーズをとりながらお馴染みのセリフを口にする。
「熱血過ぎた故に、恋人から引かれて振られてしまった男、失恋レッド!」
爆発が起きる。
(協力、理科部の有志)
続いて教室の角をスポットライトが照らし、儚げな青リボンの女子生徒が歩いてくる。
「ネガティヴになってしまい、彼氏と上手くいかず振られた女、失恋ブルー」
青い花が舞う。
(協力、園芸部の有志)
次に教卓が照らされると中から黄色ネクタイの男子が眼鏡をクイッとしながら現れる。
「告白は慎重に、注意しすぎた故に別の男に先を越された男、失恋イエロー」
信号機の映像が投影される。
(協力、元放送部)
ロッカーが照らされると中からピンクリボンの女子生徒が。
「妄想で付き合っていたら、現実と混合してしまった女、失恋ピンク」
シャボン玉が何処から入ってくる。
(協力、近所の幼稚園児)
最後に暗幕からユラユラと歩いてくる。
「幼馴染みの彼女が寝取られた男、失恋ブラック」
(近づけない)
連中はブラックの下に集まり、思い思いにポーズをとる。
「我らが来たからにはもう安心」
「どんな失恋も立ち直らせよう」
「諦めきれない恋であっても」
「必ず導いて見せよう」
「大丈夫だ」
『我ら失恋戦隊: コイレンジャー!』
「だから呼んでないって!」
最後はやっぱり爆発。
我が校名物、失恋戦隊。その起源は某ニチアサの放送開始の時期まで遡ると言われている。代々襲名式だが、時折カラーが変わることもあったとか。
こうやって失恋の気配を感じ取ると、瞬間移動かと思うぐらい高速で移動してくる。
一つ重要なこととして、こいつらは覚醒者ではない。
「まあまあ落ち着きなされ戦隊の皆さん」
「同志宮崎」
詩織が間に入る。自分が呼んだケジメとして追い払ってくれるのだろう。
それより、同志っていうことは詩織も失恋経験あり?
それからここはいつからソ連になった?
「実は、いい感じの男が見つかったらしいんだけど、中々進展しなくて。焦れったいからイヤラシイ雰囲気にしようかと」
「少ししか会っていない男に興味なんか持つか! そもそもあいつは今ロリだ!」
詩織に期待した私が馬鹿だった。
「実はお互い覚えていないだけで何度も会っているんじゃ?」
「あなた本当にnot覚醒者?!」
巻き戻しに気づけるのって覚醒者が前提条件だよね! アリスとNが会っていたよ!
「大丈夫、回数や時間は関係ないぞ。大事なのは密度、即ち情熱だ」
「熱すぎて火傷したんですね」
「まあまあ、まだ若いしチャンスは沢山あるよ」
Q 何で視点変えたの?
A 松村ルナフは現在精神崩壊中です。目が覚めたらパンゲア以外誰も信用できなくなっていますので。似た境遇の大輔に救いを求めようとしている所です。




