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想像の世界〜自分のオリキャラになりました〜  作者: 旧天
幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
134/167

1-46 メイド

ブックマーク評価ありがとうございます。


この物語を投稿開始した頃なら16ptぐらいで日間ジャンル別ランキングのローファンタジーでなら100位以内に入っていたんですけど、今だと最低20ptは超えないとダメなんですね。


それだけユーザーが増えて面白い物語が出来ているって凄いですね。

力尽きた松村ルナフを即座に現実世界へ送還させなければならない。話したいことは山ほどあるが、今のあの人には身が重い話ばかり。それに、別の世界の使徒が3人同時にいたから、?の負担があまりにも大き過ぎた。


元々死んでいる状態の?に、さらに負担かけたら今度こそ自我が。


松村ルナフがこの世界で使徒になったのも大きな問題だ。対となる世界ではないが、現実があってこその想像。ありもしない想像をこの世界で爆発させたら、止めることができない。


完全に覚醒したわけではないのに、あれ程の力を持っていた。


「それにしても随分殺風景になりました」


神奈川沈没

千葉県荒地

日本全体溶岩地獄


「……殺風景ではないですね」



それと、恐らく時期的に学校がオーバーワールドに襲撃される頃。神奈川覚醒者連合が発足するきっかけとなった事件。その時、あの3人がどんな選択をするかによって今後の方針が決まる。


と言ってもそこまで真剣な選択ではない。ただ、右を選ぶか左を選ぶか。どっちに転んでも計画に支障はない。


その計画のために、彼の協力が必要となる筈。


「……」


「……」


「どういう空気かな?」


戦艦の係留地に、眠るルナフを連れてくると、出発する前とは随分違う雰囲気になっていた。


?はいつも通り死にそうな顔。それに対して特殊部隊の格好をしたバルデは今にも逃げ出しそうな様子だった。


出発する前はバルデの方は偉そうに踏ん反り帰って会話の主導権を握ろうとしていたのに。


「突っかかってきたからお仕置きした」


「何だよ……銃向けても動揺することがないって。身構えたりしろよ」


「そんなオモチャ何も役に立たない。バチカルにだって」


?は撃たれても死なないし、使徒とかそういうレベルの連中に普通の銃を発砲しても効き目などない。ハッキリ言ってゴミを持っているようなもの。


格闘術の方が有効的だ。


加えてあの戦争を経験している。経験値だけで言えば熟練の老兵といっても差し支えない。だけど龍崎、旧Nみたいに脅威となるわけではない。


どっちにしろ、実戦では役立たない。では、そんな居てもいなくてもいい奴が、何故こんなところにいるのか?


わざわざ、オーバーワールドに落とされた意味。


先程戦争を経験していると説明したが、それだけでは少々説明不足だ。


彼は今までの戦争で一度も死んだことがない。故に、落とされるまでの全ての巻き戻しを知っている。バルデを除く唯の覚醒者たちは最低でも6回死んでいるが、彼だけは違った。


唯の覚醒者。

つまり、使徒や特級特異点は含まれていない。


『力を持っているからこそ、彼らは生き残ることができた』


『力を持っているものは使徒や親玉に違いない』


そう考えたバルデは敵を絞った。オーバーワールドの陣営を。誰が使徒で、誰が親玉なのか。


世界で一番小物な傭兵。

それがバルデの設定。


自分だけでも生き延びたい、敵の近くには行かないようにしようと考えた。その一心で戦争を生き延びてきた。


だけど一向に終わることのない地獄。だから生き残るために行動した。いずれ死ぬかもしれないから、誰かに倒してもらおうと。


そして一番怪しい奴を見つけ、情報を渡した。


もしも、ここでパンゲアに情報を渡していたら戦いは好転していたかもしれない。


もしも、ここで情報を伝えず暫く待っていたらルナフに伝えられたのかもしれない。


あの状況でのバルデの選択は仕方がない。私だって同じ立場だったら同じ選択をした。


バルデは唯の覚醒者で一番強い存在に情報を渡した。パンゲアは得体の知れない存在だったから。一番信頼できる相手に渡した。


それがオーバーワールドの傀儡使徒、Nだった。オーバーワールドによって徹底的に伏せられていた切り札。


Nのことを遠くから覗いていたオーバーワールドにバレ、使徒としてNは上書きをし、Nが使徒であることを忘れさせ、念の為この世界へ落とされた。


だから彼はルナフにどんな使徒に落とされたか尋ねられた時、答えることができなかった。辛うじて使徒に落とされたことだけは覚えていた。


「……背中のそいつ!」


「イナバを倒した張本人ですよ」


「そいつが? いやいやあり得ない……痛い!」


「?、杖でブツのはやめなさい」


?の杖を没収し、彼女にルナフを渡す。


「どう? 全てシナリオ通り?」


?は首を横に振り、彗星蘭の髪飾りにそっと手を触れる。


「特級特異点。それはあらかじめ想定されていたバグ。シャングリラも」


「シャングリラ?」


バルデは取り敢えず無視。


「俺が、現れたからかしら? 玉突きでズレていっているわね。取り敢えず、妾の作者の為にも早急に送り出さないと。バチカル、さほど時間はかからない。日本茶を淹れて待っておれ」


姐様(皇帝陛下)に変化した?はルナフを持ち上げると何処かへ歩いていった。


待っておれと言われたが、ついさっき心停止したばかり。不安だ。だけど皇帝陛下になっちゃっているからお叱り受けたくないし。


こっそりついていきますか。


「待て」


「……後ではダメですか?」


「あいつがいない時がいい。だから頼む」


?がいない時。私が?のそばにいない時なんて殆どない。寝る時も食事する時もお風呂に入る時も常に一緒に行動している。


今ぐらいしかないか。


「2分あげます。ご用件は?」


「お前が?に付いていく理由は何だ?」


何だそんなことですか。


「それが私の役目ですから。私が生かされているのも、私が意思を持っているのも全て?の為。?が役目を終えるまで支える。それがアンダーワールド第一使徒バチカルの役目ですから」


まあ、それだけじゃないんですけど。



Nに頼まれちゃったし。



「役目か……自分の意思ではないのか?」


「もちろん意思もございますよ。それを言わせるのはご勘弁を」


察しろ。


「……そういうことか」


間に入り込むな。


「なら、少しは信じよう。お前がいるからな。お前はこの戦争に置いては、Nの次に信用していたからな」


バルデは立ち上がりこちらを見つめる。



彼が知る私のかつての姿を重ねたのか、懐かしそうに目を細める。


「お前が信じたあいつを、俺は信じよう」










「神奈川覚醒者連合副総長、アリス」

謎の人物その(何番目だっけ)


バチカルの正体はアリスでした。

困ったら取り敢えずぶん殴るタイプです。


?の介護要員となっていますが、正確には護衛です。


家事ができて、戦うことができて、空中戦艦が操縦できて、気配を殺すことができて、主の考えることが分かる人。


「物語の万能メイドか? メイド服着たら似合うんじゃない?」


という感じで?がノリで着せて似合っていたから続行、という設定です。



?の中身の皇帝陛下もボツ案として出したかったお方です。

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