1-42 意地
いつもありがとうございます。
艦艇の残骸から飛び降りながら周囲の海を凍らせ、千葉の方へ歩いてきながら考える。
覚醒者とは、一体何だろうか? オリキャラの人格とは一体どのような存在だろうか? あくまで、作者が成り切っているだけなのか。
中二病の末路なのか。
だとしたら、この力は何なのか? 覚醒者の力とは一体何だろうか? 自分が想像した力を使えるなんて、おかしくないか?
そもそもこの力は一体何処から湧いてくる? 魔力なんて存在しなかったものが何処から湧き出る?
このエネルギーは何処から湧いてくる?
* *
幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
1-8 巨大な生命
『龍脈を感じて』
龍脈に意識を向ける。広がった感覚でも龍脈の全容を見ることはできない。流れは無数に枝分かれしている。枝分かれした龍脈は他の龍脈と繋がることなく更に枝分かれして細分化されていく。
流れに逆らって上っていくと龍脈が集まっていき巨大な流れを形成していく。大河……海と表現するほど巨大エネルギーが流れていた。その流れも同じ大きさの流れが無数に存在している。更に上っていくと、声よりも巨大なエネルギーの塊の気配がした。
心臓のように鼓動して龍脈へとエネルギーを送り出している。その鼓動によって送られたエネルギーは龍脈全体へと伝わっていき、やがて私に到達する。到達したエネルギーは私の意識を通過していく。それはカラカラに喉が乾いた時に水を飲んで全身に水が巡っていくような感覚だった。
『生物は皆生まれながらにして巨大な生命の一部、巨大な生命の恩恵を龍脈を通じて受けながら生きている。人間の体内に生息する微生物のように、私たちは巨大な生命の活動に必要な存在。逆に私たちは巨大な生命の恩恵なしに生きてはいけない』
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半年前に教わった。全ては星のエネルギー。龍脈から供給されている。そのエネルギーを使うことで世界に還元する。
巡る力。
水と同じだ。
その龍脈とは何なのか。
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幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
1-9 3人目のルール違反の覚醒者
『現在、オーバーワールドは殆どの人類を洗脳状態にしています。洗脳するということはその人の思考を妨害すること。我々の原動力である想像の力を消してしまうことです。龍脈の源流が無くなっているのです』
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想像の力、幻想を生み出す力。即ち思考、魂のようなもの。想像で生み出されたものといえばオリキャラそのもの。
オーバーワールドは龍脈を吸い上げる。即ち思考、オリキャラたちを奪う。オリキャラを想像する人間の思考を支配する。
洗脳すれば、自分の敵も排除できてエネルギーも回収できる。まさに一石二鳥。戦争だって戦うエネルギーが無ければ続けることは出来ない。
だからオリキャラを奪うのか。では何の為にエネルギーを回収する? 巻き戻しの為? その巻き戻しは何の為に行なっている? 巻き戻して世界を再構築する。
オーバーワールドはどんな世界を目指しているのか?
ひょっとしたら、エーイーリは知っているのだろうか? あの言い方からして、俺が忘れてしまっている巻き戻しを知っていると思われる。手の甲の人と戦ったあの時間軸を知っている。
敵だけどイナバだったら知っているかな?
ギュォォォォォオ
そのイナバが八つの口から咆哮を放つ。数十キロ離れたこの場所でも聞こえてくる。方向に共鳴して大地が揺れ、あちこちで噴煙が上がった。国を荒らす能力。覚醒者の限界は都市一つ壊すまでが限界だ。間違いなく使徒だ。
「あぁ、勿体ない」
そのエネルギーを何故俺以外に振り撒く。そのエネルギーを集中させたら、俺を瞬殺することなんか簡単だ。範囲攻撃で俺が逃げられないようにすればいいのに。
それをしないということは出来ないか、暴走して頭が回らないか。
後者の方が、現状可能性が高い。
前者のパターンは様々な要因が考えられる。
一つ目は、使徒は覚醒者以上のエネルギーを出力できるが、出力できる範囲に制限がある。この場合、範囲が小さすぎるとダメだということ。
二つ目は、設定上出来ない。噴火の範囲未満火炎放射以上が出来ないということ。あれだけの巨体、細かい操作は苦手なキャラは多い。
三つ目は、この世界がアンダーワールド故に能力に制限がかかっている。だが、この説は低い。制限がかかるなら出力を抑える方向、つまり噴火を封印する筈。
今までやっていないだけで、この後やってくる可能性も十分あり得る。警戒しておくに越したことはない。備えあれば憂なし。
そして、備える為には自分自身をちゃんと知らなくてはならない。自分の限界がどのくらいなのか。
仲間の限界はどれくらいなのか。使徒相手にどれほど通用するのか。
丁度良い実験台がいる。殺しても問題ない敵が目の前にいる。
エネルギーを、龍脈を身体に充填する。水のように身体へと染み込んでいき、体に馴染む。体が龍脈と同じような感じになる。
そのことに違和感を感じる。
ずっと考えないようにしていたけど。でも、ずっと心の何処かで引っかかっていた。Nのことは無条件で信じたかった。
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序章 とりあえず見切り発車で始めた話が方針決まって区切りがつくまで
書いている自分もわからなくなった
《そうとも言えるね。だから私はやり直しの時を狙って現実世界の因果から脱出した。そしてルナフに後を託した。松村圭太の人格は私がいなくなったことによって蘇った》
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使徒でも死者蘇生は不可能。
加えて辻褄が合わない。
あぁいや、因果から外れるなら辻褄が合わない方が正解なのか?
因果から外れるということは、現実世界に干渉できないということ。現実世界から脱出すること。じゃあ、脱出した時肉体はどうした?
肉体を捨てて現実世界から脱出することは可能なのか? そもそも、どうやって因果から外れた? Nが因果から外れたことを何故オーバーワールドは見逃した?
オーバーワールドの書き換えの対象が魂なのか、肉体を含めた書き換えなのか? 恐らく後者であろう。じゃなければ龍崎さんのように落とすことが出来ない。
じゃあ、Nの後任である私の肉体も書き換えられているのでは? そして、ルナフになったのもオーバーワールドによる書き換えだったのでは? 私は初めから傀儡使徒なのでは?
それは否定する。
龍脈の中の人が言っていた。
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幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
1-9 3人目のルール違反の覚醒者
『あなたはオーバーワールドでは消すことが出来ないのですから』
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オーバーワールドでは消せない。だけどエーイーリが持っている記憶を、俺は知らない。ということは、本質的な部分。つまり設定とかは変更不可能だが、現世で手に入れた記憶とかは変更される。
本質的なことは変更できないのなら、ルナフに上書きしたという説は否定される。加えて、オーバーワールドが執拗に自分を狙うのは傀儡使徒だったらおかしい。
やはり、Nが本当に変更したのだろう。でもどうやって?
そして、何故オーバーワールドが消せないのか?
手段は現状ヒントがない。何故オーバーワールドが消せないのかに焦点を当てる。
オーバーワールドの上書きの仕方は。
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幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
1-27 どうか、お元気で
オーバーワールドはあくまで現実世界の上書きを行なっている。だから現実世界の人間は無抵抗に書き換えられて都合の良いように動かされる。
それに対して覚醒者は別の世界の住民。自分たちが書いた物語の住民となっている。だからオーバーワールドは、直接その世界を書き換えないといけない。
作者の頭を書き換えるか、黒歴史ノートを書き換えるかして。黒歴史ノートを消してしまえば、書き換えるには作者本人に接触するしかないです。
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龍崎さんの遺書に記されていた。オリキャラに対しては黒歴史ノートと直接書き換え。現実世界の人間は無抵抗。
じゃあ、俺はどうなんだ?
私はオリキャラだからノートか直接。俺は無抵抗となる。私も含めて書き換えするなら、やはりノートか直接の手段となる。
じゃあ、なんで直接来た? わざわざこのアンダーワールドに。特急特異点とぶつかる可能性があるからノートを使えば良かった筈だ。
わざわざ来る必要があったから。来ないといけなかった。
来ないといけない理由があった。
それとも俺自身に何か原因があった?
原因。
思い出せば心当たりがありまくる。
TSしたと言うのに、体の違いに気にかけなかった。
ルール違反の覚醒者。
死者蘇生は使徒でも出来そうにないのに、Nは松村圭太を復活させた。
Nからルナフへと別のキャラに覚醒した。
ボツ案が使徒化している。
殺すことに躊躇いがない。
そして、龍脈のエネルギーと肉体が一体化している。龍脈と同一化し潜ることができる。
肉体とエネルギーは別物。魂と肉体のようなもの。すべての物質が龍脈から出来ているのなら、この星は龍脈のみになる。
だけど実際の龍脈は星を流れる川のようなもの。星そのものではない。それは人間の体も同じ。
じゃあ、この体はなんだ?
龍脈と一体化したこの体は一体なんだ?
エネルギーしかない自分は生命体と呼べるのか?
松村ルナフとは、一体何者なんだ?
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幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
1-9 3人目のルール違反の覚醒者
『ルール違反の覚醒者』
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ルール違反の覚醒者。俺がルール違反をしたわけではない。自覚できる違和感では本質に関わるもの。つまり、前任であるNさんがルール違反をした結果、松村ルナフが顕現した。
別のキャラに覚醒するというルール違反をした結果。
この体は、すでに理を逸脱した存在なのか?
だからなのか? 現実とは異なる理である為、オーバーワールドの上書きも完全にとは言えないが抵抗が出来る。現実とは異なる理、覚醒者のルールに沿っていない。ノートによる書き換えが不可能な存在。
ノートが消滅したわけではない。建物や物は巻き戻しが起きる度に修復される。燃やしたりしたとしても、巻き戻されたら完全復活する。そもそも、ノートはちゃんと保管されている。
ノートがあるのに、ノートでは書き換えが出来ない。
つまり、そのノートに私がいない?
ならば、ルナフは何処にいる? 何処に原作が存在している。ボツ案はあり得ない。それだったらアンダーワールドの仲間に初めからなっている筈だ。そもそもエーイーリがいる。
ボツ案でなく、ノートにも書かれない存在。つまり、頭の中の想像にしかないパターン。作者の頭に直接書き換えしに来なくてはできない。
いや、それだけでは説明しきれない。書き換えを直接行わなくてはならない理由にはなるが、それ以外のことが説明できない。
ギュォォォォォ!
長考していたら、流石にイナバにかなり接近してきている。目測10kmぐらい。時間切れだ。
結局、何も分かっていない。分かったつもりでいるが何も理解していなかった。
自分自身のことですら。だから守りたい人を守れない。自分に何が出来るか、どうすれば良いか分かっていないから奪われ続ける。自分だけでは守りきれない。取り返せない。
それでも、守ってみせる。気持ちはある。それ以外がない。竜王の加護(仮)があっても使いこなせない。その力も自分の力という訳ではない。
力もない。
記憶もない。
知識もない。
勇気もそこまでない。
自分には一つしか残っていない。
『意地』という小さくて醜くてカッコ悪いものしか残っていない。
だけど、この意地だけは絶対に守ってみせる。貫いてみせる。勇気からも蛮勇からも遠い、だけど自分が戦う為に賭けることが出来る唯一の力なのだから。
自分は松村ルナフ。
ルール違反の覚醒者。オーバーワールドが猛威を振るう世界で誕生したばかりの新参者。
その正体は分からない。
だけど、まるで人々の願いに応えるように現れた。その願いは、自分自身の願いでもある。だけど、その願いを叶えるためには、知らな過ぎた。
だから……どうか教えてほしい、上書きされた世界について、今までどんな戦いがあったのか。どんな風に戦ってきたのか。
あなた達は、どんな未来を思い描いていたのか?
あなた達は、どんな英雄を望んでいたのか?
どんな、英雄を想像していたのか?
俺がなってみせるから!
意地だけならある。
序章: とりあえず見切り発車で始めた物語が方針が決まって区切りが付くまで
誰が、見切り発車で始めたのでしょうか?




