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想像の世界〜自分のオリキャラになりました〜  作者: 旧天
幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
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1-40 竜の魔法陣

いつもありがとうございます。

倒す為の仕込みをしながら箒で飛び回る。蜘蛛人間は八岐大蛇を恐れたのか、逃げているのを確認している。敵は少ない方が好都合だ。


かれこれ1時間。未だに壁の向こうからバチカルさんが来ないから、援軍は来ないと判断した方がいい。


「まあ、よく俺も当たらずに仕込みができたな」


何度も火炎放射が放たれたが、避けられる速度。巨大化したら動きが鈍るのはお約束とも言える。対する俺は体が小さいから


ーーまあ、八岐大蛇サイズからしたら、私たち人間なんて同じサイズなんですけど。


当たりにくいし、隠れやすい。おまけに魔力は龍脈で回復できる。万が一の時は短距離転移で逃げればいい。


だけど、順調な時ほど怖い。こちらが仕込みをしているように、イナバも何か策があるかもしれない。油断は絶対にしてはならない。


「おっと」


何度目か分からない火炎放射を避け、地面に一度降り立ち龍脈に最後の細工をする。これから行使するのは覚醒者の限界である都市級の攻撃。都市一つに壊滅的な被害を与える攻撃だ。竜王の攻撃手段を魔法に落とし込んだもの。


「さて、仕込みは完了。後は……」


発動するだけ。30秒あればいい。そして火炎放射は一度放ったら最短で42秒スパンがある。さっきのから5秒。猶予は37秒。今が好機。


「これで終わりです。イナバ」


地面をつま先で蹴る。それが合図となり市街地のあちこちに設置した供給源から龍脈が吸い取られる。


「第一段階接続」


供給源から移送用の回路へ流し込み私へと送る。


* *


「魔法には大きく分けて二つ発動方法があるわ。一つは詠唱型。言葉や思念で発動する。現代魔法はこれが主流よ。それに対して、古代魔法と呼ばれる発動方法が魔法陣。あ、因みに私たちのは詠唱しながら魔力で魔法陣を出す中世魔法とよばれるものよ。だから、その気になればどっちだって使えるわ。そして、それぞれメリットデメリットがある。古代魔法は正しくかかないと暴発するけど、詠唱型に比べて発動の難易度は簡単よ。もしも、身の丈に合わない魔法を使いたくなったら魔法陣にしなさい」


* *


「第二段階接続」


移送用回路から私へとエネルギーを取り込み魔力へと変換する。今まで取り扱ったことが無いほどのエネルギーを一気に体に取り込んだことで頭がくらくらするが何とか耐える。ここで倒れたら仕込みが無駄になる。何せ初めての大規模な魔法陣。一度使ったら役立たずになる。


「第三段階接続」


私から魔法陣の回路に魔力を流し込む。魔力が送り込まれた地面から魔法陣が浮かび上がる。八岐大蛇は各地で浮かび上がる魔法陣に反応を示すが、何かしようとする気はない模様。


「第四段階接続」


移送用の回路から発動用の巨大な陣へと送る。その魔法陣は、唸りをあげながら徐々に姿を変え、最終的に巨大な弓矢へと姿を変える。俺自身も弓を構えるように体を動かす。それと連動して巨大な弓矢も動く。狙いは八岐大蛇の首の付け根。


「最終段階接続」


ーー魔法、装填


「竜弓:ハレー彗星」


青銀の矢が尾を引きながら放たれる。衝撃波で辺りの建物は倒壊し、発動者である俺自身も吹き飛ばされた。それでも矢の行方は視界に入れ続けた。


だから、見えなかったのか? 放たれた矢は真っすぐに八岐大蛇に向かっていた筈だった。だが、さっきまでいた場所に八岐大蛇はおらず、地平線の彼方へと消えていった。


首を振って行方を探してみると、影が差した。上を見上げると八つの頭が同時に火をため込んで、至近距離にいた。


あの巨体が一瞬で2km移動していた。あまりに信じられない光景に思考が停止する。


「考えられないなら取り合えず体を動かせ! カナタボシ!」


襟元を掴まれて、間一髪で攻撃から逃れる。顔を動かすと苦しそうな顔をしたエーイ―リが俺を掴んでいた。


「あぁもう! 手のかかる本体ですね! 私もうすぐ死んじゃいますよ」


「あ、ありがとう」


「礼はいりません。戦えますね、大丈夫ですね。というか私、本当は気絶しているレベルですからね。バチカルがやかましくて起きたら壁が出来ていて乗り越えるために叛逆何度も使っちゃいましたから! だからもう気絶して良いですか!」


「せめて下ろして!」


短い会話をしている間に海に出る。その先は元神奈川県。船の残骸などが浮かんでいて、岩礁地帯のようになっている。その一つに降り立つ。降り立った瞬間にエーイ―リの懐から電話の着信音が鳴り、悪態をつきながら彼女は出る。少し言葉を交わすと私に渡して座ると直ぐに気絶した。


「もしもし」


『バチカルです。用件だけ先に言いますと貴方を現実世界に送ります』


「え? イナバは」


『私たちは使徒ですよ。後一時間もすれば外にいる使徒も助けにくるので戦力は十二分にあります。なのでその前に送ります。だから、そこでお待ちください』


「……はい」


返事をすると電話は切れる。私はエーイ―リの横に座り、遠くの八岐大蛇を見る。いつの間にか現れていた巨大な機械がバリアを貼って八岐大蛇を中に閉じ込めている。


無駄ではなかった。俺が時間稼ぎをしたからアンダーワールド勢が戦力を整えられた。



でも



自分で倒したかった。


ギィギィ!

早く終わらせたい。

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