表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想像の世界〜自分のオリキャラになりました〜  作者: 旧天
幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
125/167

1-37 タイマン

いつもありがとうございます。

「ご苦労様です」


覚醒と同時に聞こえたのはエーイーリのか細い声。声がした方を見ると、瓦礫に寄りかかって眠るように座る彼女がいた。


彼女の魔力は零に等しく、体力も大幅に減少している。


「Nさんとは、別れたのですか?」


「ああ……守れなかった」


「……そうですか」


「だから、強くなって取り返しに行きます」


「そうですか」


エーイーリはそれを聞けて安心したのか、ゆっくりと目を閉じる。ふと周りを見ると、蜘蛛人間の亡骸が山のように積み上がっていた。


シャングリラに乗っ取られていた時に犠牲になったやつではない。その時利用された蜘蛛人間は傷が残らないのだから。それに対して、この死体の山はバラバラになったりしている。


状況からして、エーイーリとそこの人がずっと守ってくれていたのだろう。


「ありがとう、ゆっくり休んで」


彼女は少しだけ口元を緩めると、直ぐに寝息を立て始める。その顔は見た目通り幼い少女にしか見えない。


エーイーリ、シャングリラに体の制御を奪われていた時に知った。


?さんの、アンダーワールドの使徒であること。何故俺のオリキャラである彼女が使徒になっているのかは分からない。使徒というのは覚醒者以外にもなれるのだろうか?


それはエーイーリに聞くよりも、?さんに聞いた方が良いだろう。


特急特異点アンダーワールド。明確にオーバーワールドに敵対している特急特異点だ。そして、Nが知らなかった俺たちの情報も知っている。


オーバーワールドが認識できなかった敵対者。


名前の通り存在が?な人だ。オーバーワールドに敵対しているのなら、パンゲアさんや因果の脱出のメンバーが知っていそうなのだけど。だけど、この世界に来るまで一度も聞かなかった。


それに、シャングリラワールド。結局アレは何だったのだろう? オーバーワールドに敵対する者なのか? オーバーワールドの味方なのか? 全く関係ない人なのか?


そして、シャングリラワールドの逆の立場は出現しているのか? オーバーワールドに対するアンダーワールドのように。


もしかしたら、私が目指すリアルワールドの逆なのだろうか? 


「その辺り、話していただけますか? エーイーリのお仲間さん」


エーイーリが寄りかかる瓦礫の後ろに隠れていた人に声をかける。こちらが気付かないと思っていたのか、声をかけられたことで動揺しているのが龍脈を通じて感じる。


「どうやら、竜王の加護は手に入れたようですね。それで、どの辺りの話をして欲しいのでしょうか? 答えられる範囲で答えて良いと申しつけられておりますので何なりと」


それでも、一瞬で平静を取り戻すと姿を見せ言葉を返してくれる。


メイド、クラシカルタイプのメイドだ。燻んだような金髪は、この暗い世界の光景と重なって見える。


「まず、あなたが何者なのか。そして、シャングリラやアンダーについて」


「私はバチカル、アンダーワールドの第一使徒のバチカル。本名は故あって名乗れません。アンダーワールドはオーバーワールドに対抗する者。シャングリラワールドは私にも分かりません」


嘘をついているかは分からない。でも確かめる手段がないから嘘ついていないと仮定して考える。第一使徒の人でもシャングリラのことは知らない。そうなると手詰まりか。


「シャングリラは敵、そう考えても?」


「その認識で問題ありません。シャングリラについて知っているであろう(ハテナ)も、邪魔な奴が来たと言っていたので」


「あなた方は、味方?」


「そちらも、そのように考えて頂いて構いません。私たちはあなたを害する気はありませんし、敵はオーバーワールドなので」


この辺りは何となく予想していたが、聞けてようやく安心できる。


「ですが、その点について少々問題が」


「問題?」


バチカルが手招きするので近づき、耳を貸す。彼女は屈み、触れるか触れないかの距離で囁かれる。


「?は現在、戦うことが出来ません」


「な」


「し〜……返答も小声でお願い致します」


驚いて声を出しそうになるところを、人差し指を当てられて止められる。


「現在、我々アンダーワールドが動かせる人員は別行動している使徒、ただ1人だけです。護衛の為に私は?から離れられないので」


「エーイーリは?」


「彼女はあなたが現実世界に帰還されると同時に使徒の任を解かれます。あなたを守る為に?とエーイーリの間で交わした契約なので」


エーイーリは任を解かれる? 契約とかで自由に使徒を選ぶことが出来るのか。では、その後は?


「任を解かれたら、エーイーリはどうなる?」


「それは彼女自身が決めることです。このまま、このボツ世界でのんびり暮らすのか、あなたの想像の世界に戻るのか、(ハテナ)に協力し続けてくれるのか。回復するまでは(ハテナ)と一緒に保護いたしますのでご安心を」


「ありがとうございます」


エーイーリ、俺が考えたボツ案。どんなボツ案なのかは思い出せない。そもそも流星送還を使えるキャラ何かいたのか?


これはオーバーワールドが消したのか、俺が本当に忘れてしまっているのか判断できない。


もしも、オーバーワールドに消されていたとしたら。俺は一体何人大事な人を奪われているのか。


「……?! シティーフィールド!」


バチカルさんがSF世界にありそうなバリアを張った直後にぶつかる攻撃。攻撃が防ぎ切れたのを確認して龍脈から敵を探る。


竜王の加護(仮)で無意識で半径5m、意識すれば半径30m内の生命体は感じ取れるようになった。その範囲内に敵はいない。


30m以上離れている。


「8時の方向! 距離2千!」


魔力を通した右手の親指と人差し指で輪っかを作り、その中から指示された方向に目を向ける。血だらけの英国紳士風の男が立っている。だが様子がおかしい。


「イナバ」


バチカルさんが敵の名前を告げた。そのイナバがサーベルを無造作に振ると、向けられた方に斬撃が飛んでいく。それはこちらに向けられた斬撃だった。


次は2人で左右に避ける。私は左に、バチカルさんはエーイーリを抱えて右に。



その間に斬撃が走り、鋼鉄の壁が形成された。壁は厚みを増し、壁の向こうにいるであろう2人と距離が離れていく。


上を見ると雲の上まで高さがあり、横幅は地平線の果てへと続いて行っている。


分断された。


そして狙いは私で、イナバもこちら側にいる。



奴は自身にサーベルを突き刺し、その体が光に包まれた。


* *


「もう一度、チャンスを頂けるのですか」


歓喜した。無能と罵られ、この世界に捨てられても、あのお方のことを慕っていた。


その心が届いたのか、あのお方は私に挽回のチャンスを与えてくださった。命令は松村圭太の抹殺。


エーイーリが倒れている今、奴を守る人間は誰1人いない。


「あぁ、全力で殺して見せろ。手加減はなしで最後の手段をすぐに使え。隙を与えるな、必ず殺せ」



全ては、あのお方が望む世界のために。


神奈川→消滅

東京→蜘蛛人間の巣窟

千葉→これから


舞台は千葉県です。


関東に恨みがあるわけではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ