1-29 人生装填
この物語は少量のアルコールを対価に書かれています。
追記
一部抜けていたので書き足しました。
「カナタボ「見切った!」ッ!」
何度目かの衝突、遂に私が叩き落とされる。徐々に対応されつつあったが、完璧に対応された。
体勢は直ぐに整えることは出来たが、僅か数秒でも猶予を与えた時点で私の未来は狭まる。感知出来ない筈なのに、私が死ぬ未来をあらゆる感覚が予知する。
味覚は鉄の味を
視覚は朱色を
触覚は激痛を
聴覚は私の悲鳴を
嗅覚は死者の匂いを
僅か数秒先の未来を感じ取る。
五感が諦めている。放たれる必殺の魔法。絶対避けられない範囲と速度、動かない肉体。叛逆を使えたとしても体を動かすことができなかった。
理性は戦えるのに、本能で負けを認めている。
未来が見える。僅か先の未来が、数秒先が。
本体が私に向けて見知らぬ魔法を放つことが。
ギィギィ
「「え?」」
* *
穴空きだらけのパッチワーク
松村ルナフの覚醒者としての状態を表すならば、一番近い言葉がこれだろう。オーバーワールドによって設定がごちゃごちゃになった物語。
Nはそこから弟子を見つけなければならなかった。だが、Nはオーバーワールドの傀儡使徒、本人が気付かないうちに大事な設定を消してしまった。オーバーワールドの脅威になるから。
ルナフの物語の中での役割、目的。それらが失われた状態で、歪な形で松村ルナフはキャラとして成り立っていた。
では、第四の壁の向こう側にいる皆さん。
質問を一つ。
物語を読んでいて、キャラの設定が書かれなかった場合、貴方はどう思う?
具体例を話すと、キャラの家族構成とかが書かれていなかったりした時だ。
物語に関わらないから書かなかった。
作者がそもそも設定していなかった。
どうでもいい。
色々な考えがあると思われる。
では、『性格からして姉がいそうだな』など予想する事はあるだろうか?
作者が明記していない、隠している設定を物語から予想する。読者自身の解釈で物語を補完する。
作者以外の誰かが物語を紡ぐ、これを世間では二次創作と呼ぶ。
シャングリラワールドが自身の世界に取り込んだ松村ルナフに対して、真っ先に行った事は校閲だった。
矛盾している設定、噛み合っていない設定を改編した。その過程であまりにもルナフが歪である事に、あまりにも情報が少なすぎる事に気づく。
松村圭太自身が設定していない事は勿論、オーバーワールドが意図的に消した設定もあった。それらが抜けているが故に、松村ルナフは迷走をする。
「やっぱり私がいないとダメだね」
彼女は補完する。上書きではない。矛盾している二つのうち一つだけ選び、開いたスペースにだけ書き込むことが出来る。
こうして、原作設定に添いながら自分の理想に近づける。
原作準拠の二次創作。
オーバーワールドの下位互換とも言える。
過去の歴史では、最弱の特急特異点とも呼ばれることがあった。他の特級特異点は世界に働きかけるのに対して、シャングリラワールドは他者にしか影響を与えることができない。
それ故、歴代の特級特異点候補はシャングリラワールドになることを拒んだ。いつしかその特異点の名前すら失われ、それと対になる特異点も消滅した。
シャングリラワールドの真の名前は分からない。だが、これを偶然にも手に入れた彼女は、理想の力だと判断し、理想郷の名をつけた。
失われた世界線
交差する世界線
あり得ない世界線
彼女は現れる。
自身の理想郷をつくる為に
彼女は紡ぐ
誰かの物語を
ボツ世界を守護する?が弱体している今、アンダーワールドの守りは薄くなっている。オーバーワールドは『 』の力によってダメージを負っている。リアルワールドは現実世界にしか興味がない。
松村ルナフを守ることが出来るキャラは皆消えてしまっている。
故に
松村ルナフを守れる存在はいない
シャングリラワールドを止めようとするものはいない
誰も予想できなかった襲来
別の世界線では災害と称される存在が
二次創作の世界線が
* *
この世界で嫌というほど見る蜘蛛人間たち。本能でしか生きることが出来ない、低深度のボツ世界の住民たち。群れるということをしない一匹狼、かといって共食いをする訳でもない。
それが従っている。整列をし、先頭の指導者に従っている。一糸乱れぬ行進は、敵を威圧する事にも有効だと聞いたことがある。
あの獣たちを従わせているのは本体、あり得ない。
何が起きたかは分からない。イナバの戸惑い方からして予想外のこと。オーバーワールド関連ではない。
そして、?でもない。じゃあ一体誰だ?
誰があのルナフを書いた?
本体をあそこまで変質させるのは、特急特異点でもないと不可能。
ルナフは永遠に完成されない。未完成のままである。だがあのルナフは極地に到達してしまっている。弟子というのが大前提なのだから。そもそも軍隊を率いるなんておかしい。
だから、作者が書いた訳ではない。
この世の全てを憎んでいるルナフなって書くわけがない。
「ハロンアーク!」
イナバが私に向けて放つつもりだった魔法を本体へと放つ。イナバもオーバーワールドの使徒だから松村圭太の物語をよく知っている。だから、あれがおかしいことを理解したのだろう。
本来のルナフでは防ぐ事はできない魔法。だがあのルナフは表情を変えずに指を鳴らす。
蜘蛛人間が一斉に動き、本体の前に肉壁を作る。攻撃を防ぐ事はできない。だが逸らす事は叶った。
全ての蜘蛛人間の犠牲をもとに本体は生き残る。
それを見て、鼻で笑う。
そして、無造作に右腕を上げた。
姿が重なる。大師匠、師匠と繋がれてきた究極の魔法。それと同じ予備動作を行う。だが、オーバーワールドの攻撃によってその魔法は失われた。そもそも、合体魔法だから単独ではね使えないはず。
「人生、装填ーー」
詠唱が違う。装填するのは魔法ではなく人生。自分の人生ではなく、今目の前で亡くなった蜘蛛人間たちが、まだ自我を持っていた頃の人生。奥底に眠っていた人間性を対価に
彼女は究極を編む。
「過去の為に復讐を」
「未来の為に生贄を」
「苦痛の為にこの生命を捧げ」
「安寧にはこの魂を持って崩壊を」
「我が悲願の成就のため、全ての生命に終焉を」
「禁忌: 失われた私の未来」
瞬間、神奈川県が消滅した。
* *
あの忌々しい魔女の弟子が二人いる時点で矛盾が生じている。だから選択した。囚われている弟子を本来の弟子と認定した。
そして松村ルナフと弟子は出会っていない。つまり、救済はない。
だから、蠱毒を行った貴族の目的は達成された。他者の生命と魂を喰らい、自らが生きる為には手段を選ばない魔女。
そして、そんな自分を生み出した世界の全てを憎む存在。
さしずめ
孤独の魔女
さあ、あなたに理想郷を作りなさい。その為には協力を惜しまないから
シャングリラワールドが来た時の各特急特異点の様子
オーバー「松村を潰す」←ユイにやられて激おこ
リアル「今が一番いいだろ」←何もしていない
アンダー「寝ていたい」←心肺停止
シャングリラ「来ちゃった」←呼んでない
「「「What’s?!」」」
元々、シャングリラが現れる事を予想できていたキャラはいます。沖田ユイは存在を知っていただけで来るとは微塵にも思っていませんでした。
現状
オーバーvsアンダーvsリアルvsシャングリラvs因果の脱出
今後協力関係やら敗退で減ります。




