1-26 カナタボシ
ブックマークありがとうございます。
本日二回更新です。
もう1話あります。
口ではあんなことを言ったけど、実際の戦いになったら私とイナバの基本スペックは同じ。戦闘経験はあちらの方が上。仮にN形態を倒せても、その後が問題。
焦るな
私はあくまで時間稼ぎ。
「千の風!」
私を追尾する千の魔法。風魔法の中でも上位の範囲攻撃魔法。範囲攻撃魔法と言いながら、実際は針のように降り注ぐ攻撃魔法。即ち隙間がある。
Nさんを倒す為だけに想像された私が対策していないとでも?
「来て!」
私の声に応じて箒がやってくる。それに飛び乗り最初の攻撃を避けて上空へと向かっていく。だけど追尾式のこの魔法は一回避けたぐらいじゃ無くなることはない。
「レーザーアイス!」
右手の人差し指からイナバへと向かって放たれた氷のビーム。千の風は発動者が魔法を発動し続けなければならない。だから発動者のイナバを攻撃する。
反応するのに戸惑うような高速の魔法は相手の集中を乱すことができる。
からの
「ハレー彗星!」
天空から氷の星を落とす。
だがその星が真っ二つに割れ、その間からイナバが箒で向かってくる。両手に魔法陣を構えて。
「ハロンアーク!」
「絶滅の先駆け!」
激突
二つの砲撃魔法がぶつかり爆発する。
都市級同士の攻撃。
破壊の風と絶滅のブリザードの衝突によって起きた、爆発の余波は私を紙のように吹き飛ばす。
運動公園の地面が抉れる。
瓦礫が私の頬を切り裂くが問題なし。
視界の端にイナバを捕らえ続ける。
先ほどの衝撃で散らばった冷気を両手に集め
「コピーだからって舐めるな!」
イナバの言葉を無視してイナバの周囲だけを氷点下まで落とす。絶対零度まで落とそうとするが竜巻で冷気は払われてしまう。
やはり空間系においては分が悪い。
軽い攻撃なら風で吹き飛ばされる。
「噴氷!」
火山弾のように降り注ぐ百を超える氷塊。
その間を駆ける銀色の流星となったイナバ。
「ッ!」
イナバの拳が腹に突き刺さり体がくの字に折れ曲がりながら地面へと落とされる。
突撃魔法『流れ星』
落ちてもその勢いは止まることを知らず、地面を削るように転がっていく。
思考に空白が生まれてイナバを見失う。
「っ〜……カナタボシ!」
流れ星に対抗する為に私が開発した魔法
即ち、ボツ案
見えない思う星に、届かないと思えた星に、彼方に輝く星に辿り着く為の魔法。
見失っていたイナバに吸い寄せられる。青銀の流星となりイナバの顔面に足が突き刺さる。
流れ星が向かっていく魔法なら
カナタボシは星を撃ち落とす魔法。
「落ちろ!」
今度はイナバが地に落ちる。
【Set 『地球平面説』】
否、地面をが消える。地球の端となったこの地域の外は空、空を落ち続ける。
それを追いかけながら『噴氷』を放つ。この攻撃をイナバは障壁で防ぐ。
分かっている。
私の火力では傷をつけることが出来ないことぐらい。
そう言う設定なのだから。使徒になっても、作者を内包していないオリキャラには設定に打ち勝つことが出来ない。
私を除いて。
両目に魔力を込める。Nさんはあれを魔法と勘違いしていた。確かに再現できる。だけど、あれが本当の叛逆ではない。
「叛逆」
魔眼発動。私の攻撃は設定と効果に叛逆し、障壁をすり抜けてイナバに殺到する。そこへ続く全ての攻撃もすり抜ける。
設定を無視した攻撃。世界の法則をねじ曲げる。
情報になかった。Nさんの記憶になかった。だから対応することが出来なかった。
得体の知れない攻撃、防御が一切できない攻撃。だからイナバは逃げる。攻撃から逃れる為に空を駆け、こちらへ向かってくる。
その体が再び銀色に輝く。
血走った目と視線がぶつかり合う。
「カナタボシ!」
天へと昇る流星を撃ち落とす。青銀と銀色の星が何度目かの激突をした。
* *
体に痛みが走り、意識を取り戻す。俺は地面に倒れていた。頭を振って周囲を見渡し、少し離れた場所に龍崎さんが蹲っている。
「龍崎さん!?」
駆け寄って体を揺するが反応はしない。体が冷たい。脈を測るけどない。呼吸もしていない。
回復魔法をかけても弾かれる。
「嘘ですよね……」
救命措置をする。
息を吹き返すことはなかった。
龍崎さんの手には『ルナフちゃんへ』と書かれた手帳があった。




