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想像の世界〜自分のオリキャラになりました〜  作者: 旧天
幻想異聞奇譚 第一章 末世の北極星
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1-24 いきなり決戦

お久しぶりです。


埒が明かないのでこの章終わらせます。本当は龍崎のこともっと書きたかったんですが、いつか時間があったときに。


そのため、かなり強引な話展開になっていますが、ご了承ください。

『あなたは一体何者なの?』


確かめないと。



戦いにおいて大切なことは何か?


勝つこと?

逃げないこと?


()は『負けないこと』が一番大切なことだと思っている。そもそも負けの定義がよく分かっていないが、心が挫けないことが大切なんだろう。


ルナフというキャラは総じて負けず嫌いだ。それはエーイーリも同じはず。手加減なんかしてこない。一つ一つの戦いで勝てなくても最終的に勝ちに来る。


「ルールは殺さなければ何でもありさ。お互い、全力で戦うことさ」


この半年間ずっと訓練していた運動場の中心で、私はエーイーリと向き合う。私は黒のセーラー服。対するエーイーリは私が一番最初に着ていた水色のワンピースを着ている。


私が仕込み杖を持っているのに対してエーイーリは無手。強いて言うならばお互い箒を作ったこと。その箒は今手元にない。状況に応じて呼び出す。


「準備はいいさ?」


龍崎さんが私とエーイーリに確認を取り腕を上げる。その腕が振り下ろされたら最終試験開始だ。私とエーイーリの距離は20m。


設定から外れた異分子(私&俺)vs設定どおりの能力(エーイーリ)


「はじめ!」


龍崎さんが腕を振り下ろした瞬間私は走り出す。対するエーイーリは距離を取るためにバックステップをしながら連射型のスノーを放ち始める。嫌な位置にスノーは向かってくる。私の体ではなく、私の足が付く場所に着弾するように撃つ。そのせいでスピードを出すことを躊躇ってしまう。


対策としては別方向に走り出す。障壁を出しながら突き進む。威力が低いスノーだから無視して突き進む。etc


設定どおりのルナフなら障壁を出しながら突き進むか別方向に走り出すだろう。あいにくと私はひねくれ者だからパッと浮かんだ選択は全て選ばない。


思考をスイッチする。私から俺に。


修行の合間に思考の切り替えは練習した。切り替わった瞬間のタイムラグをなるべく零にするために。


ルナフでは浮かばなかった選択肢を即座に見つけ出し、即座に実行する。Nが言っていた。上級までの魔法は詠唱がなくても放てると。わざわざ言うのはド三流の魔法使いだけだ。足から汲み上げた龍脈を体の中で魔法に変換し、足へと送る。その足が地面に接した瞬間、一歩先から地面が氷で覆われる。スケートリンクのようなもの。


この技は物語でも登場している。構想だけ。ルナフも習得することはなかった。誰も使うことが無かった想像の魔法。


「いきなりそれやります!?」


だからエーイーリの意表を突くことが出来る。何度か練習に付き合って貰ったことはあるけど、設定にない技はルナフでも浮かびにくい。


魔法を発動した方の足で、凍っていない地面を強く蹴り飛ばしスライディングをする。日々のトレーニングで脚力を付けた俺の体は半年前と比べて加速力が増していた。


飛んできた初段のスノーは私の体の上を通り過ぎ、続く二段目は俺の体に直撃しそうになるが杖のままで弾く。だけど三発目、四発目が来る頃には失速している筈。その後の攻撃はこちらの動きに、スライディングに合わせた攻撃をしてくる。そうする前に立ち上がらないと。


「と、思いますよね」


エーイーリがスノーの魔法陣を消し、瞬時に別の魔法陣を展開する。


それを確認する前に私へ思考を切り替える。俺の選択肢は消す。だけど私の設定選択肢ではなく別キャラの選択肢を選ぶ。別キャラだったらどうするか。オーバーワールドに読まれているNさんと私以外のキャラならどうするか。


「来て!」


一種の召還魔法。上級魔法に分類されるけど未だに無詠唱での呼び出しには成功したことがない。圧縮詠唱で箒を呼び出す。右からやって来た箒に捕まり引きずられるように左へと飛ぶ。だけどエーイーリの予想の範囲内だったのか私が飛んだ先に新たな魔法が放たれた。


エーイーリが発動した魔法は砲撃魔法で30cmほどの氷塊が私へと迫る。


障壁を張る前に思考を切り替える。俺しか浮かばなかった選択肢。曲芸じみた動きを選択する。エーイーリが正確に狙ってきたからこそ出来る動き。普通の人間なら絶対に出来ないと思う選択肢。


だけどこの肉体は非現実の塊。常識に捕らわれるな。この半年の間、何回二人に吹っ飛ばされたと思っている。箒から手を離したくらいで怪我をする軟弱な体ではない。


手を離した箒は氷にぶつかって吹き飛ばされるが、俺には当たっていない。地面に着地した瞬間に龍脈を吸い上げる。今までの動きを点数で表すと10点満点中0点。


無駄な動きが多すぎる。回避にばかり専念している。攻撃をしていない。


ぼぉーとしているNが視界の端に映る。師匠の化け物じみた動きを思い出す。龍崎さんの剣筋。『    』の虹の流星。


思考を切り替える。私とエーイーリ。違うのは設定。あちらは設定通り龍脈を使うことが出来ない。私は使える。本人が持っている魔力量はあちらが上、魔法の精度もあちらが上。私が上回っているのは龍脈を含んだエネルギー量。


思い浮かべるはパンゲアさん。弩ジョウと戦った時、パンゲアさんを守り、攻撃もした随伴する水柱。

修行中に試したけど氷で代用できるものではなかった。


思い浮かべるは虹色の流星。七色の光が何かに向かっていく。

あんな魔法どうやってやるのだろうか? 再現が出来ない。


思い浮かべるはNさん、に化けたイナバ。殲滅魔法で蜘蛛人間を一掃した。

あれなら再現できる。恐らくエーイーリも予想がついている。


だけどこれはどうですか?


「氷属性超級殲滅魔法:吹雪!」


私の背後から29個の魔法陣が展開されて小さな氷塊を乱れ撃ちする。ゴッソリ魔力を持っていかれて頭が痛くなるが、龍脈から吸い上げて回復する。エーイーリがどう反応するかは分からない。


その前に転移魔法を使ってエーイーリの背後へ回る。


「!?」


驚いたのはエーイーリではなく私の方。エーイーリが予想していたのか身体強化した拳を構えていたこと。しっかり吹雪は障壁で防いでいる。


「まあ、そんぐらい対策しているよな!」


思考を切り替えてこちらでも予想をしていた俺が予め身体強化していた足をしならせる。身体強化したタイミングは箒を下りた時。


拳と足が激突する。


その瞬間を狙ったのは両方だった。エーイーリは地面から氷柱を、俺も地面から氷柱を出して攻撃する。お互いに体を捻って回避した。その次の行動は別。エーイーリは小さめの氷塊を、俺は氷柱をエーイーリの後方に発生させる。


エーイーリは俺の方に向かうように避ける。俺は仕込み杖を抜いて刃で氷塊を弾き、エーイーリに向けた。だけどエーイーリが氷柱を使って刃を防ぐ。


「……質問しても良いですか?」


「一応試験中だけどいいですよ」


「あなた、本当にルナフ()なんですか?」


「何故そう思ったの?」


エーイーリが少し困った顔で質問を返す。


「疑問に思いませんか? 自分と同じ顔をした存在がいたら偽物ではないかって」


「今更それを?」


「ずっとです。敵にしては協力的、味方にしては情報共有がされない。敵なのか味方なのかよく分からない。俺視点でもよく分からなった。ルナフにそっくりな動き。たまに生意気な小娘を演じることを除けば口調も似ている。人生経験が少ないから人を見る目がない俺達にはどう判断すれば良いのか分からなかった。魔法もそっくりなものを使える。一つだけ違うとしたら最初にイナバから助けてくれた時、俺が使えない『流れ星』を使っていたこと」


「……私はルナフです。それは本当です」


「それは?」


エーイーリが目を逸らす。それ以外に嘘をついているということがある。


「あと、それから。毎晩誰と連絡しているんですか?」


「気づいていたんですか?」


「寝るときに龍脈を感じていたら不自然に動いていたので……誰と?」


「オーバーワールドではないのは保証しましょう。それより何故このタイミングで?」


「なんか既視感があるんだよ」


思考を俺に切り替える。


「消える直前の名前も知らない姿も知らないあの人に。消えると分かっていて突っ込んでいった黒塗りの人とに近い雰囲気が誰かに連絡している時に見えた」


少し前の晩を思い出す。エーイーリが誰かと話していて『最後は』とか死ぬことを言っているように聞こえた。


「消えるのか?」


「……」


返事は返ってこない。即ち肯定。ならどうやって消える。この世界で危険なことと言えば蜘蛛人間とイナバ。蜘蛛人間ぐらいなら俺でもどうにか出来るようになっている。とするならばオーバーワールドの使徒のイナバ。使徒に立ち向かうには使徒と同じぐらいの強さがなければならない。


俺と初めて会ったとき。イナバは龍崎さんを見て撤退した。それが違っていた?

同業他社がいたからじゃないのか?


つまり……


「二人ともつまらないお話の最中に失礼」


大きな音がした。何かが砕ける音が。公園を覆っていた結界を力ずくで破る音がした。声がした方を向くと見覚えのある人影が歩いて来る。


「N……じゃない。イナバか」


声とかは相変わらずそっくりだが、Nがしないようなことをする。具体的にはポケットに手を突っ込む。


「オーバーワールドから殺害しろとでも命令されましたか?」


俺を守るようにエーイーリが立ち塞がる。


「ええ、その通り。っと、役者が来たようだな」


後ろを向くと龍崎さんがやってきていた。


「この世界にいるすべての覚醒者を殺害せよ。そう言われたんでな」

決戦

vsイナバ

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