1-22 ライバル
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強くなるというのは魅力的な言葉だ。女子もそうかもしれないが野郎というのは最強とかそういうものに憧れる人が多い。俺もそのうちの一人だ。身体能力が元々低く小学生と中学生の間はナマケモノとか呼ばれていたから尚更憧れるのだ。TSした今でも強さへの憧れは薄れない。元々ルナフの物語が戦う少女たちみたいな物語だったということもありキャラが強くなるのは書いている俺自身が一番楽しみにしていた。
修行で徐々に強くなっていくキャラもいれば、新たな出会いで力を手に入れるキャラもいる。ルナフは前者であることが多かった。だけどルナフの努力が報われることは思い出している範囲ではない。
それは物語の中での話だ。
現実の世界ではまだ分からない。努力の方向性が合っているかは現時点では分からない。この努力が無駄に終わるかもしれない。だからと言ってやる前から諦めるつもりは毛頭ない。
俺は私が諦めの悪い奴だって知っている。
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翌日、小屋の外に出ると相変わらずの曇天だった。あの雲の向こうには青空が広がっているのだろうか? それとも何もないのか?
今の俺では雲の上まで飛ぶことも出来ない。確かめることもできない。
「また飛びたいな」
気がついたらそう呟いていた。どちらの人格が言ったのかは分からない。無意識のうちに言っていた。
今まで空を飛んだのはほんの数回。現実世界で箒に乗って少しだけ浮くだけ。それだけでも自分の力で空を飛べてことに感動したが、やはり飛ぶのなら竜のように速く高く自由に飛びたい。
叛逆、あまりにも非効率な飛行手段。簡単に言うと重力に叛逆して浮く。物理法則とか色々無視するのと、叛逆の魔力消費自体が多すぎるので私では5分も飛べない。
物語から逸脱したルール違反の魔法。Nさんが言うには物語には登場しない魔法だった。だと言うのに使えるようになった。だから近接戦闘ができないルナフでも出来る様になるかもしれない。
かもしれない
かもしれない……か
未来のことなんて断言できるわけではない。誰がどのように行動するかによって未来は全く別のものに変化する。
その時の道標となるのが経験や歴史などだ。過去から学び、今日のために生き、未来に希望を持つ。
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「身体能力で底上げしたいのは体力と瞬発力です」
昨日と同じ運動場で一緒に準備運動をしながらエーイーリは今後の方針を話してくれた。私同様に土の字で地面に倒れている。分身とも言える存在だから私に出来ることはエーイーリにも出来るのだろう。
「まさかシャトルランをやるの?」
体力と瞬発力を鍛えるといえば緩急をつけた走り込みだと思う。そのような運動といえばシャトルランだ。全国の学生のトラウマをやらなくてはならない。だけど努力というものは辛いものだ。やれと言われたらやってやる。
「いえ、シャトルランは一種の目安です。何回目まで行けるようになるか。目に見えて分かる結果として使います。考えている基礎メニューは3つです。ラダー、デプスジャンプ、ランニングです」
ガチのトレーニングだった。
ラダーとは梯子を使ったトレーニングで梯子に当たらないように素早くステップを踏む。部活とかアスリートもやっているトレーニング方法だ。梯子が無くても出来る。陸上部とかサッカー部とかがよくやっているイメージがある。
デプスジャンプは台とかから降りて、着地した直後にジャンプするトレーニングだ。着地した直後の動作に素早く移る為のトレーニング。動作の間の時間を少しでも減らすトレーニングとでもいうべきだろうか?
ランニングは言うまでもない。
「これに加えて龍脈と刀の扱い方まで詰め込まなければなりません」
「忙しいな……」
「身体能力のトレーニングの合間に龍脈の使い方をちゃんと伝授するさ。刀の扱い方も教えるさ」
「そうですか……ところで何でエーイーリも体操着着ているんだ?」
俺のとは別の物を着ているがエーイーリも体操着を着ていた。入念に準備運動をしながら
「決まっているじゃないですか。私も一緒にやるんですよ」
当たり前かのように淡々と答えた。
「性格はどうあれもう一人の貴方と言っても差し支えありません。貴方と同じことをしていれば同じ結果になると考えられます。客観的に見える貴方自身の結果でしょう:こんな言葉があるじゃないですか。最大のライバルは自分自身」




