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池  <第1部>  作者: M:SW
4/30

変化

小説とは違い、哲学書は簡単には読み進める事ができない。これは読書というよりは、勉強か。

難解すぎて、固まった頭にはなかなか入ってこない。ひとつの言葉を理解するのにも時間がかかる。

歌はあんなにスムーズに、何なら勝手に入り込んでくるのに。

一人、哲学書と格闘しながら時々ふと考える。何をやってんだ、オレは。

暗記していただけの受験勉強とは違う。いちいち考える。

考えることに疲れると歌を聴く。そしてまた、自分が書きたいことを書いてみる。

読む、聴く、書くの繰り返し。

歌がオレを後押ししていた。


仕事から帰ると、なんとなくテレビをつけ、飯を食って風呂に入って寝るだけだった毎日が、急に忙しくなった。帰宅後、仕事で疲れているはずの体と頭は再起動された。今まで“そんな時間はない”と思っていたのに、本を読み、物語を書くことができている。書く前の自分は一体何をしていたんだろうと思ってしまう。


彼はきっと、そんなムダな時間の使い方はしていないんだろうな。


無欲に生きてきた。それでも幸せだと思っていたし、何一つ不自由なことなんてない。今までの生活で充分だと、思っていたはずなのに。


少年の頃描いた淡い夢を追いかけてみよう、と机に向かいひたすら書いている自分の、遥か遠くの方には、何をやってんだ、オレは。と冷めた目で見ている自分がいた。

そんな自分に出来るだけ気付かないようにしていたように思う。

しかし意識的に、無意識に追いやろうとすればするほど意識してしまう。冷めた自分。

普段なら、その冷静な判断が自分を正しく導いてくれていたはずなのに、今回は邪魔でしかなかった。


何も悪いことはしていない。書きたいことを書いているだけだ。

オレなら、できるよ。もっと。書ける。

自分に言い聞かせながら、冷めた自分を追い払う。

こんな脳内での葛藤は、ひたすら平穏だった感情に、波を立たせた。


歌と小説、ジャンルは違えど、言葉を使った表現で、彼に近づける。なんて、見る夢が広がりを見せ、欲が深くなる。

欲が深いことは、悪いことなのか。実力がなければ、ただの無謀だ。実力があれば、あればいいだろう。

とにかく、やってみるだけだ。

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