表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

汚部屋(おべや)

作者: 藤本GJ

ミドリガメを家族で飼っている。


もう20歳のカメ吉だ。


バカな派遣社員の息子がキレイ好きだから水替えはあいつがやる。




ある日、30にもなって派遣社員の分際で俺に文句を言いやがった。



「お父さん、水替えやった直後にエサやらんといてや」


「亀が腹減ってそうやからあげただけや!」


「水替える前に俺がやってるから、水キレイな日はいいで」


「うるさいな!じゃあお前が全部やったら良いやんけ!俺は一切やらん!早く家から亀持って出て行け!」



いつまで家おるんや。鬱陶うっとうしいのう。




おっ!カメ吉が近付いて来よる。エサ欲しいんやろ。あげよう。



キレイな水やったけどあげた。息子?


あんなん知らんよ。また、キレイにしよるやろ。



エサをあげ過ぎると残して水が汚くなる。


キレイにしたばっかりを汚されるのが息子は嫌だった。




水替える人がエサの適量知ってるのに。息子は親父に適量を言った事もあるが



「腹減ってる亀にちょっとで悪い思わんのか!」



「大は小を兼ねるんじゃボケ!」



罵られた。







ある日、親父の部屋から凄い生魚の異臭がした。



原因を探すと部屋の4角にカメのエサが撒かれてた。


息子のイタズラやと思い呼び出した。




「30歳にもなって小学生みたいな事すんなや!」


「してない!」



否定した事にさらに腹が立ち、殴った。




「お前は30にもなって派遣でしょ〜もないイタズラして親不孝もんじゃ!」





次の日




今度は部屋のど真ん中に大量にエサが撒かれてた。



俺はブチ切れて、息子に部屋掃除させた。



「なぁ、俺は正社員で忙しいねん!お前みたいに昼からちゃうねん。朝にしょ〜もない事してるんやろ。俺の部屋掃除しとけ。エサ全部取れよ!」




息子が俺の部屋から戻って来た。掃除機の音は聞こえなかった。



「エサなんか無いやん」


「ちょっと来い!」



息子と部屋に入った。ど真ん中にエサが散乱したままだ。



「お前の目は節穴か?目の前にあるやんけ!早よ掃除機で吸え!」


「だから無いやんけ!」


「お前、何やその口の聞き方は!誰のおかげで飯食えてる思ってるねん!」





ガラッ!



ベランダから海ガメが入って来た。



海ガメ、息子、俺



の構図やから息子を盾にした。



海ガメは2足歩行でエサをばら撒いてる。




「おいっ!あいつ何とかせぇって!」


「えっ?」


「亀のでっかいの何とかせぇって」


「えっ?何言ってるん?」




エサを撒き終えた亀はこっちに近付いて来た。


俺は部屋から出ようと思うも体が動かない。



盾の息子目掛けて噛み付いて来た!


首ナガッ!




























バッ!



はあっ!はぁっ!……夢か。



何だここは。病院のベッドか?



いつもの家の布団じゃない。入院してるのか病院の部屋っぽい。個室の狭い部屋だ。



しばらくするとガチャっとドアが開いた。





さっきの2足歩行の海ガメが4匹入って来た。


全員ポリバケツを持ってる。


4匹でエサをばら撒き始めた。


恐い!めっちゃ恐い!



ポリバケツのエサは無限にあるのか、ずっと撒かれてる。




しばらくして、部屋はエサ浸しになった。カサが上がってベッドの高さと同じぐらいになった。




ベッドの高さになると4匹は出て行った。


部屋は亀のエサで異臭がする。魚臭い。





臭い、臭い、助けて!



そう思ってると天井がパカっと開いた。



空は青かった。換気されて臭いがマシになる。


ん?



これ、カメ吉から見た空じゃないか?



しばらくするとおっさんがエサ袋を持ってやって来た。



「大は小を兼ねるんじゃボケ!」



ザーッ



俺はエサにまみれて息が出来なくなった。


耳、鼻、口にエサが入って苦しいのに、ずっとエサが降ってくる。



水を替えてくれ!




















親父が変な事言って、急に突然死や。


部屋に亀のエサがどうたら言うてたわ。


そんなん無いのに。



天国でたらふく良いモン食ってるんちゃう?


グルメな人やったし。

助けてくれ!


出してくれ!



あいつ、水替えの時、亀を外に出してたやんけ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ