第8話 ライバル出現(白虎side)
「今晩。可愛いうさぎさん?」
王子は俺を見て、不適な笑みを浮かべると、何事もなかったかのようにうさぎに話しかけた。
「こんな夜更けにどうしたのかな?」
「今晩、王子。えっと……素敵な中庭の夜の姿も見たくて……。ダメでしたか?」
「ダメではないよ。ただ、王宮と言えどこんな夜更けに、女性の一人歩きは危ないよ?」
そう言いながら、王子はうさぎに気がつかれないよう、俺の方を向く。
「寝れないのなら、僕と話でもしない?僕の部屋に美味しい果実酒があるんだ。」
あろうことか、王子はうさぎの手を取り、歩きだした。
「あのっ……王子?……私は部屋に戻りますので……」
うさぎは明らかに、怯え、拒否しているが、王子は構わず連れて行こうとしている。
王子は、16歳でうさぎより1つ年下。この国に一人きりの王子で、周りからは甘やかされて育ってきた。
望んだものは何でも手に入れてきた。
そんな王子がうさぎを望んでいる。
が、俺は王子であろうと、誰にもうさぎを譲りたくない。
王子は俺が黙っていると思っているだろうが、黙ってうさぎをわたすわけにはいかない。
「失礼、王子。王子はまだお相手を探している最中。今、フルール嬢を部屋に招くことは、得策ではないかと。あらぬ疑いをフルール嬢が被ることになります。」
王子とうさぎの前に立ち、王子に言う。
「せめて、昼間にして下さい。フルール嬢は、俺が責任を持って、部屋に送ります。」
「そうか……。しかたない。ならば、明日の昼にでも話をしよう。お休み。可愛いうさぎ。」
そう言って、王子は部屋に戻って行った。
うさぎを見ると、よほど怖かったのだろう。涙を光らせ、今にも泣いてしまいそうだった。
儚いその姿に、抱きしめたい衝動をなんとかこらえる。
「フルール嬢?部屋まで俺が送ろう。」
「……アムール様…ありがとうございます。」
うさぎを守ることができた。
それは良かったが…王子もうさぎを気に入ったようだった……。
王子がライバル…か……。
王子に勝つことはできるのだろうか……。
少し不安になる。が、うさぎは誰にも渡したくない。
読んで下さり、ありがとうございますm(_ _)m
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ありがとうございます。
皆様が少しでも楽しめる時間になるよう頑張ります。
第9話は4月26日(火)14時投稿予定です。
連続投稿は第9話までになってしまうかもしれません……(´・ω・`)
ですが、できるだけ早く続きを投稿できるよう頑張ります!
犬飼 蘭