第5話 守りたい (白虎side)
俺はソファーに座ったまま、どうやってうさぎを手に入れるか考えていた。
このうさぎはなかなか夜会にも参加せず、会う機会は少ない。
だが、今回は王子の結婚相手を
見つけるための夜会。王子が結婚相手を決めるまで、この王宮にいる。
そして、今回の夜会に参加していると言うことは、結婚相手はまだ決まっていないと言うことだろう。
まだ、時間はある。
この機会を逃すわけにはいかない。
が、もし王子がうさぎを気に入ったら?
王子と恋敵になるのは勘弁して欲しい…。
(どうすれば……)
ーーーーすぅ、すぅー……
緊張疲れでもしたのだろう。
ベッドで気持ち良さそうに寝ている。
寝息が可愛らしい。
ーーーーふっ…
自然と笑みがもれる。
それは、めったに笑顔を見せない白虎の笑顔だった。
可愛らしい寝息を聞きながら、うさぎを手に入れる方法を考える。
と、もぞもぞと音がし、うさぎが起きてきた。
「……あの…寝てしまってすみません……。そろそろ、夜会に戻りますね…。」
そう言って、ぺこりとお辞儀をする。
「なら、俺も一緒に戻ろう。」
そう言いながら席を立ち、うさぎを案内する。
会場に戻り、うさぎは俺から離れると思っていたが、離れなかった。
(うさぎ……。可愛いな……。)
思わずにやけてしまう。
王子と令嬢たちが集まっているのが苦手なのだろう。
にやける顔をこらえる。
と、俺の顔を見た令嬢が、キャッ…!と小さな悲鳴を上げた。
どうやら、にやけるのをこらえたせいで余計に怖い顔になってしまったのだろう。
「っ……!?」
息をのむ声が近くから聞こえた。
声の方を向くと、うさぎがいた。
どうやら、どっかの令嬢の小さな悲鳴に驚いたのだろう。
俺は悲鳴をあげられようと別になんとも思わないが、うさぎは驚いた……。
小さな悲鳴に驚くうさぎ。
俺がうさぎを守る。