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白虎将軍とうさぎ令嬢  作者: 犬飼 蘭
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第4話 28歳の初恋(白虎side)


いつも騎士として鍛えている俺にとって、うさぎ令嬢は軽い。

うさぎのように軽い。


俺はうさぎ令嬢を横抱きにして、休憩室に向かう。


歩いていると、もぞもぞと動きだすうさぎ。



「…!?……えっ?」


うさぎの声がした。

うさぎを見ると、こちらを見て驚いたように瞳を丸くしている。そして、不安げに瞳は揺らめいていた。


「気がついたか?急に倒れたが、大丈夫か?」


普段、人を気にかけて声をかけることのない俺。

そんな、自分が大丈夫か?と、声をかけたことに自分自身驚く。


「えっ……?はい……」


答えるうさぎの声は鈴のように愛らしい。


「そうか。なら良かった。恐らく、慣れない夜会や酒に酔ったんだろう。」

「……綺麗…」

「ん?」


(…??綺麗?)


うさぎは、綺麗と呟いたのか?

何に対して、綺麗だと思ったのだろう?


そう考えていると、


「降ろして下さい!」


うさぎが叫び、わたわたと動き、抗議をしてきた。

大方、今の状態を把握したのだろう。


「流石は、うさぎ令嬢だ。そんなに暴れるな。危ない。今降ろすから大人しくしていろ。」


そう言いながら、うさぎを腕から手放す。

先ほどまで温もりを感じていた腕から温もりが消える。


「………あの、倒れたところを助けて頂いたのに、失礼な態度、申し訳ありませんでした。」


うさぎがぺこりとお辞儀をする。

なんとも愛らしいお辞儀。


が、うさぎは泣きそうな、潤んだ瞳で俺を見てくる。

それも、体格差があるせいで上目遣いとなる。

可愛いとしか言いようがない。


今まで、女性と身体の関係を持ったことはあるが、可愛いと思ったことはない。

こんなにも、可愛い…愛しいと思ったことはない。


これが、恋なのか?


恋だとしたら、これが初恋だ。

28歳にして、初恋……。

相手は人見知りと名高いうさぎ令嬢。


うさぎ令嬢は男から人気が高い。

うさぎ令嬢は夜会にめったに顔を出さない。が、同じ夜会に参加した男の多くは、うさぎ令嬢に恋心を抱くという。

…つまり、俺のライバルは多いということだ。


そんなことを考えていると、


「あの……少し休んでから戻ります。」


と、うさぎが話す。

どうせなら、ゆっくり休んだ方がいいだろう…。


「そうだな。なら、部屋に案内しよう。」


そう言って、俺は部屋に案内することにした。



すたすた……


女の歩くスピードがわからず、いつものスピードで歩くと、体格差のせいか、俺の方が歩くスピードが速い。

一生懸命付いてくるうさぎは、ジョギングのような状態になってしまっている。


置いていかれないように、一生懸命に付いてこようとする姿があまりにも可愛すぎて、歩くスピードを緩められない。


が、うさぎが先ほど倒れた事実を思い出し、歩くスピードを緩める。

もう少し、愛らしい姿を見ていたかったが、無理をさせるわけにはいかない…。


「すまん。速かったか…」


愛らしい姿を見れなくなることと、自分の不甲斐なさに少し落ち込む。


今度はうさぎにスピードを合わせて歩き、目的地に着くことができた。



「ここで休むといい。俺も隣の部屋でゆっくりしているから、戻る時に声をかけてくれ。」


そう言って、部屋を後にしようとしたが、うさぎが俺のシャツを掴み離れようとしない。


「どうかしたのか?」

「えっと……」


うさぎ自身、何で掴んでしまったのかわからず戸惑っているようだ。

(オロオロと戸惑っている姿も可愛い…)


体格差のある俺が立っていては、話しにくいだろうと思い、うさぎと目線を合わせる。


「あの………私、暗いの苦手で………一緒にいてくれませんか?」


……!?

暗いのが苦手なのか…。

可愛い過ぎる!

まさかの、夜お誘いではあるまい。うさぎ令嬢に限って、そんなわけはない。


「…わかった。では、俺はソファーでゆっくり酒でも飲んでいるとしよう。」

「ありがとうございます。少し、休ませて頂いたら夜会に戻ります。」


ソファーにいなければ、暴走しそうになってしまう…。


「あの…お名前を聞いても…?」


うさぎ令嬢の発言で、自分がまだ名乗っていなかったことを思い出す。


「あぁ、まだ言ってなかったな…。ブラン・アムールだ。うさぎ令嬢?」

「アムール様……あっ…私はプリーシュ・フルールと言います。」


うさぎ令嬢の口から名乗ってもらいたくて促してみた。

が、自分の名前を反芻し、呼ばれた。

あの、愛らしい鈴のような声に名前を呼ばれ、嬉しくなる。


(プリーシュ……俺の愛しい人…。)


お互い挨拶をすませ、俺はソファーに腰掛ける。

酒を飲みながら、どうやって愛しいうさぎを手に入れるか考える。

白虎がうさぎに狙いを定めた。











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