表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白虎将軍とうさぎ令嬢  作者: 犬飼 蘭
3/23

第3話 満月の瞳 (うさぎside)


なんだか、ふわふわする…。

ゆらゆらする…。

心地良い揺れ。


………??

私は夜会に参加していたはず。

こんな、ふわふわとした、心地良い揺れは何?


暗かった視界が開けた。


……!?


見知らぬ男性の顔がある。

しかも、近い。


「…!?……えっ?」


わけがわからない。

思わず声が漏れてしまった。


「気がついたか?急に倒れたが、大丈夫か?」

「えっ……?はい……」

「そうか。なら良かった。恐らく、慣れない夜会や酒に酔ったんだろう。」

「……綺麗…」

「ん?」


私を覗き込む瞳に吸い込まれていた。

私を覗き込む男性の瞳は、漆黒の夜に浮かぶ満月の色。

白銀の髪に満月の瞳。

騎士の様に逞しい筋肉。

そんな、美しい男性にお姫様抱っこをされた私は………


えっ…!!??


お姫様抱っこ!!??


やっと現状を把握することができた。


私は美しい男性にお姫様抱っこをされ、歩いていた。


「降ろして下さい!」


わたわたと動き、抗議をする。

見知らぬ男性にお姫様抱っこをされているなんて!

人見知りの私にはきつい。


「流石は、うさぎ令嬢だ。そんなに暴れるな。危ない。今降ろすから大人しくしていろ。」


あっさり降ろしてくれた。


降ろしてもらい、冷静になる。


「………あの、倒れたところを助けて頂いたのに、失礼な態度、申し訳ありませんでした。」


ぺこりとお辞儀をする。

この方は親切にしてくださったのに、私ときたら………。

なんて失礼な態度を…。

自分がなさけなく思い、涙が溢れそうになる。

が、ここで泣くわけにはいかない。

これ以上、迷惑をかけるわけいはいかない。


泣きそうな、潤んだ瞳で相手を見ようとしたが、相手が思ったよりも大きく、見上げるかたちとなる。


「あの……少し休んでから戻ります。」

「そうだな。なら、部屋に案内しよう。」


私より大きくて、美しい男性……。

満月の瞳は鋭く輝き、何でも見通してしまうかの様に鋭く輝き、冷たい印象も与える。


鋭く輝く瞳に、ぶっきらぼうな言葉が冷たく感じるが、私を心配してくれる優しさも感じる。


すたすた……


私より、頭2つ分程大きい男性の歩くスピードは速かった。


私は一生懸命歩くが、ジョギングのような状態になってしまう。


ふと、歩くスピードがゆっくりになった。


「すまん。速かったか…」


そう謝る彼の姿が、しょんぼりしているように見えて、胸がキュンとしてしまう。


この気持ちは何だろう?

自分の気持ちがわからず首を傾げていると、部屋に着いた。


「ここで休むといい。俺も隣の部屋でゆっくりしているから、時に声をかけてくれ。」


そう言って、部屋を後にしようとする彼のシャツを私は掴んでいた。


「どうかしたのか?」

「えっと……」


彼のシャツを掴んでしまったことに、私自身も動揺してしまった。


オロオロと戸惑ってしまい、なかなか言葉が出てこない私に、彼は目線を合わせて待ってくれている。


「あの………私、暗いの苦手で………一緒にいてくれませんか?」


私は暗闇が苦手で、寝るときは兄か父と一緒の部屋で寝ている。

この国では、16歳から結婚する事が出来る。

私は17歳で、大人と言える年齢でありながら、兄か父と一緒に寝ている。


「…わかった。では、俺はソファーでゆっくり酒でも飲んでいるとしよう。」

「ありがとうございます。少し、休ませて頂いたら夜会に戻ります。」


私は、この人なら大丈夫だろうと、安心感を感じていた。

私は、会ったばかりの人に安心感を感じることは滅多にない。が、この人にはなんだか安心感を感じていた。


「あの…お名前を聞いても…?」


この人の名前を知らないことを思い出し、聞いてみた。


「あぁ、まだ言ってなかったな…。ブラン・アムールだ。うさぎ令嬢?」

「アムール様……あっ…私はプリーシュ・フルールと言います。」


今更ながら、お互いに挨拶を交わし、それぞれの時間を過ごし始めた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ