第2話 白虎の初恋(白虎side)
(……めんどくさい…)
思わず声が漏れそうになるのをこらえる。
今日は、王子の結婚相手を見つける夜会だ。
その夜会の護衛として参加している。
この国の騎士たちのトップである俺が、めんどくさいなんて言えるわけがない。
白虎将軍と恐れられている俺に、近づいてくる奴なんかいない。
集まっている令嬢が寄ってこないだけでも、楽だ。
武術一筋で生きていた俺は、気がつけば白虎将軍と呼ばれていた。
俺の戦っている姿が、まるで白虎のようだったらしい。
そんな俺は28歳だが、恋をしたことがない。
自分から女に興味を持ったこともない。
かと言って、身体の関係を持ったことがないわけではない。
そんな俺も、うさぎ令嬢には興味があった。
なかなか、夜会に顔を出さず、出したとしてもうさぎのように隠れてしまう可愛らしい令嬢だと聞いている。
そして、今日、出逢ってしまった。
28年間、恋なんてしたことがなかった俺が、恋に落ちた。
王子に挨拶をするうさぎ令嬢。
その姿はまさに、うさぎだった。
淡いピンク色の髪に赤い瞳、白い肌…。
小柄で、長い髪をハーフアップにし、ピンクのグラデーションになっているドレスに身を包んだ少女。
人混みで緊張し、少し震えているようにも見える。
初めて女性に対して、守ってあげたいと思った。
やはり、人混みが苦手らしく、挨拶を終えるとすぐに部屋の片隅に行ってしまった。
が、何だか様子がおかしい。
ふらふらと揺れている。
今にも倒れてしまいそうだ。
急いで彼女に近寄る。
彼女の目の前に辿り着いたと同時に、彼女は意識を手放してしまった。
慌てて手を出し、なんとか間に合い受け止めることができた。
受け止めたのはいいものの、彼女は意識を手放している。
とりあえず、そのままお姫様抱っこをし、空いている部屋に連れて行くことにした。




