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白虎将軍とうさぎ令嬢  作者: 犬飼 蘭
13/23

第13話 うさぎの決意 (うさぎside)


王子は、何かと私に話しかけてくる。

そして、“可愛いうさぎ”と私のことを呼ぶ。

そのたびに、華の令嬢と月の令嬢から向けられる視線が痛い。


華の令嬢は、甘いミルクティー色の髪に同じ色の大きな瞳が可愛らしい。そして、華が咲き誇るような笑顔も可愛らしい。

月の令嬢は、クールな印象。

知的な黒髪に深い紫の瞳が美しい。


そんな魅力的な二人は王子と並んでも違和感がない。

が、私と王子では釣り合わない…。


なのに、王子は私にばかり話しかけてくる。

王子と結婚したい令嬢からしたら、面白くないだろう。

それこそ、華の令嬢と月の令嬢からしたら、面白くないだろう。


王子も、私にばかりに話しかけないで欲しい。



「キャッ…!?」


小さな悲鳴を上げてしまった。


熱いお茶が私の腕と脚を濡らす。


どうやら、華の令嬢がティーカップを倒してしまったらしい。


(熱い……)


謝り、私の心配をする華の令嬢。

心配してくれる王子。


「失礼。」


大丈夫です。と、言う前にアムール様の声が耳元で聞こえる。

そして、私はアムール様の香りに包まれ、抱き上げられていた。


「キャッ…」

「令嬢に火傷させる訳には行かないので、冷やしてきます。」


アムール様が王子や令嬢たちにそう言い、私に囁く。


「もうしばらく我慢してくれ。すぐに冷やす。」


私はアムール様に横抱きにされたまま、お茶会を後にする。


連れて来られのは、騎士団の訓練場。

男の人が苦手な私は、訓練中の騎士にも怯えてしまう。

身体は震え、アムール様に捕まる手には力が入ってしまう。


「すまん。少しだけ我慢してくれ。」


アムール様は近くにいた人に話しかけた後、近くの建物の部屋に入った。

一組の机と椅子、ベッド、タンスがあるだけのシンプルな部屋。


椅子に座らされると、


「団長、失礼します。」


そう言って、一人の騎士が入ってきた。

その手には、水の入った桶がある。


「あぁ、すまん。」


そう言ってアムール様は騎士から桶を受け取り、濡らしたタオルを私に渡す。


「本来なら、流水で冷やした方が良いのだが……。すまんが、これで冷やしてくれ。」

「そんな……ありがとうございます。」

「ドレスも洗った方がいいだろう……。ここには、ドレスなんて洒落たもんはない……。これで我慢してくれ。俺は外にいる。何かあったら呼んでくれ。」


冷やしたタオルと、男性用のワイシャツとズボンを置いて、アムール様は部屋を出て行ってしまった。


(熱いし……ドレスは窮屈だし……お言葉に甘えて着替えさせてもらおうかしら……)


ドレスを脱ぎ、お茶で濡れた足と腕をタオルで冷やす。


騎士団の訓練場で着替えるのも、男性用の服を身に付けるのもはしたないかもしれない……。


どけど、アムール様の心から心配してくれている様子を見て、断ることもできない。


なんて…ただの言い訳。

本当は嬉しかった。

アムール様の素顔を垣間見ることができた。

心から心配してくれた。

アムール様の傍にいたいと思ってしまった。


私は…アムール様に恋心を抱いてしまった…。


優しいアムール様。

だけど、私が妃候補だから優しくしてくれている…。

私への想いなんて……きっと無い……。


私の我が儘かもしれないけれど……

私の我が儘だけれど………

アムール様の傍にいたい。

アムール様の隣は、安心できるし、勇気を貰える。


この服からは、アムール様の香りがする。

アムール様に包まれているようで安心できる。

この香りから離れたくない。


だけど……

私は王子の相手…妃候補としてここにいる。

他の男性に恋をした。とは言えない。

アムール様とは結ばれない…。

騎士団長…白虎将軍のアムール様。

彼が傍にいれば、何だっててきる。頑張れる。

……妃になったら、傍にいれる?

王子には申し訳ないけれど…

私はアムール様の傍にいたい。

ならば……私は彼の傍にいるため、妃になる。




読んで下さりありがとうございます<(_ _)>


第14話は5月3日(火)10時頃投稿予定です♪


            

              犬飼 蘭

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