表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

CO2を垂れ流すな!

作者: さきら天悟
掲載日:2016/03/21

『地球温暖化を防ぐため、

CO2の垂れ流しを許さないCO2ハンターのコーナーでした。

続きましては、ラーメンです。

ラーメンにドラマあり、劇アツラーメンコーナーです。

今日はトンコツラーメンです。・・・』


俺は胸に手を当てた。

トンコツは苦手だ。

もう年の俺は濃厚トンコツラーメンを食べると胸やけするようになっていた。

でも、年に数回無性に食べたくなる。

でも、その度に後悔するのだ。


『厳選した、鹿児島産黒豚のトンコツです』


『24時間炊き続け、濃縮しました』


最後に駐車場に入り切れない車の列の映像で終わった。


『次回はシナそばです』


俺はお腹に手を当てた。

今日はガッツリと食べたい気分だ。

苦手なトンコツラーメンだったが、

ラーメン好きな俺の空腹感を誘っていた。

夕食を作るため、スーパーに向かうとするか。







俺は気配を感じた。

スーパーを出たところだった。

後ろに振り返ると、二人組を駆けよって来た。


「あなたは、なぜ、いまだにCO2を垂れ流しているんですか?」


女は俺の左手のレジ袋を差して言った。

そして右手のマイクを俺の口にねじり込もうとしていた。


「このレジ袋でどれだけのCO2が出ると思っているんですか」


どれだけですか、と言いたい言葉を飲み込んだ。

相手は答えをちゃんと用意している。

番組でこのシーンを見たことがある。

こいつらは、そういう映像を取りたいのだ。

反省していない様子を。


俺は反論せずに、申し訳ない顔を作って頭を下げた。

何度も何度も。

卑屈に頭を下げる映像はお蔵入りになるだろう。


しょうがないなあ、と言いたげな顔を女はした。


また、一段と深く頭を下げる。


でも、おまえらに言われる筋合いはない。

なんの資格がある。

CO2の垂れ流しを番組で許している。

と、俺は心で叫んだ。

俺はさっき見た映像を思い起こす。


鹿児島からトンコツ運んでくるなよ~


24時間煮込むなよ~


行列店の駐車場、県外ナンバー沢山いるぞ~


どんだけCO2出すんだ~


でも、反論しなかった。


「じゃあ、これ」

彼女はニッコリ笑って右手を差し出した。


俺はそれを受け取った。


「これからは、このトートバッグ使ってね」


そのバックには彼女のイラストがプリントしてあった。

意外と可愛いー


「今度CO2出したら、ハントしちゃうぞ」

彼女は指で作ったピストルで俺を撃った。


俺は、撃ちぬかれた胸に手をあてた。


「二度としません」

神妙な顔を作り、手を合わせ頭を下げた。

彼女のためにオンエアに乗りやすいよう芝居した。


彼女は俺に手を振り、颯爽と去って行った。

俺はオートバッグを握りしめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ