CO2を垂れ流すな!
『地球温暖化を防ぐため、
CO2の垂れ流しを許さないCO2ハンターのコーナーでした。
続きましては、ラーメンです。
ラーメンにドラマあり、劇アツラーメンコーナーです。
今日はトンコツラーメンです。・・・』
俺は胸に手を当てた。
トンコツは苦手だ。
もう年の俺は濃厚トンコツラーメンを食べると胸やけするようになっていた。
でも、年に数回無性に食べたくなる。
でも、その度に後悔するのだ。
『厳選した、鹿児島産黒豚のトンコツです』
『24時間炊き続け、濃縮しました』
最後に駐車場に入り切れない車の列の映像で終わった。
『次回はシナそばです』
俺はお腹に手を当てた。
今日はガッツリと食べたい気分だ。
苦手なトンコツラーメンだったが、
ラーメン好きな俺の空腹感を誘っていた。
夕食を作るため、スーパーに向かうとするか。
俺は気配を感じた。
スーパーを出たところだった。
後ろに振り返ると、二人組を駆けよって来た。
「あなたは、なぜ、いまだにCO2を垂れ流しているんですか?」
女は俺の左手のレジ袋を差して言った。
そして右手のマイクを俺の口にねじり込もうとしていた。
「このレジ袋でどれだけのCO2が出ると思っているんですか」
どれだけですか、と言いたい言葉を飲み込んだ。
相手は答えをちゃんと用意している。
番組でこのシーンを見たことがある。
こいつらは、そういう映像を取りたいのだ。
反省していない様子を。
俺は反論せずに、申し訳ない顔を作って頭を下げた。
何度も何度も。
卑屈に頭を下げる映像はお蔵入りになるだろう。
しょうがないなあ、と言いたげな顔を女はした。
また、一段と深く頭を下げる。
でも、おまえらに言われる筋合いはない。
なんの資格がある。
CO2の垂れ流しを番組で許している。
と、俺は心で叫んだ。
俺はさっき見た映像を思い起こす。
鹿児島からトンコツ運んでくるなよ~
24時間煮込むなよ~
行列店の駐車場、県外ナンバー沢山いるぞ~
どんだけCO2出すんだ~
でも、反論しなかった。
「じゃあ、これ」
彼女はニッコリ笑って右手を差し出した。
俺はそれを受け取った。
「これからは、このトートバッグ使ってね」
そのバックには彼女のイラストがプリントしてあった。
意外と可愛いー
「今度CO2出したら、ハントしちゃうぞ」
彼女は指で作ったピストルで俺を撃った。
俺は、撃ちぬかれた胸に手をあてた。
「二度としません」
神妙な顔を作り、手を合わせ頭を下げた。
彼女のためにオンエアに乗りやすいよう芝居した。
彼女は俺に手を振り、颯爽と去って行った。
俺はオートバッグを握りしめた。




