表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/10

第7話 神官兵長フィゼル、登場(だいたい胡散臭い)

村に入ることもできず、俺はまた見知らぬ田舎道をあてもなく歩きだすしかなかった。


とはいえ、さっきの草むらとは違い、今回は明らかに道っぽいものが足元にある。




舗装?


もちろん、されてない。




ただ踏み固められただけの土の轍。


現代日本で言えば「これ道って言い張るの、無理ない?」レベルだが、この世界では立派な街道らしい。


幅はせいぜい二メートルほど。凸凹だらけの土の上を、俺は黙々と歩いていた。




両脇には十メートルほどの木が等間隔に並び、どうやら生活道路なのだろう。


しばらく進むと、ぽつぽつと人家が見え始め、馬車や人とすれ違うようになった。




――が。




視線が痛い。




すれ違う人間は、俺の顔を見るなり


「うわ、なんだコイツ」


「近寄るな」


みたいな空気を、全身から放ってくる。




(この地域、外国人免疫ゼロか?)




そんな中、ふと思い出したのが、KOG企画初期の星谷さんの説明だった。




「時代設定はね、中世ヨーロッパ“風”じゃなくて、


産業革命+近未来機械文明が混ざった世界にしたいの。


レーザー銃と剣が同時に存在して、空にはドラゴン、瞬間移動も普通――」




当時は


(なんだその闇鍋設定)


と思ったが、それがウケにウケて世界的ヒットになった。




なのに――




(この世界、どう見ても中世ど真ん中だよな……)




レーザーもない。


機械もない。


ドラゴンすらまだ見てない。




だが、確かに俺が作ったモンスターは存在した。


雄一たちが使ったスキルエフェクトも、本物だった。




「……しかも、なんで俺だけ私服なんだよ」




歩き続けてどれくらい経っただろう。


足は棒、つま先の感覚は消失。


スーツは埃まみれ、汗でYシャツが肌に張り付いて気持ち悪い。




すれ違う人間が嫌そうな顔をするのも無理はない。


自分で言うのもなんだが、完全に場違いだ。




「はあ……休憩しよ」




道端に切り株を見つけ、俺はそこに腰を下ろした。


どうやら街路樹を切った後らしい。




……気づいたら、少し寝ていた。




――その時だ。




ドドドドド……!




「……ん?」




地鳴りのような音で目が覚める。


道の先を見ると、土埃を巻き上げながら何かがこちらに近づいてくる。




「え……馬?」




しかも一頭じゃない。


複数の蹄音。


つまり――騎馬集団。




銀色の鎧。


剣。


ガチャガチャうるさい金属音。




「やばい!絶対やばい!」




逃げようと立ち上がった瞬間、もう遅かった。


気づけば、俺は完全に包囲されていた。




「貴様、何者だ?」




――日本語だった。




「……え?」




西洋人にしか見えないゴツい男が、日本語で威圧してくる。


脳が追いつかない。




「何者だと聞いている!」


「えっと……その……」




すると、ひときわ体格のいい髭面男が馬を進め、俺の顔を覗き込んだ。




「貴様、ゼクセル人か?」


「……誰?」




「答えよ!」


「……日本人です」




沈黙。




次の瞬間――




「おお!話せるではないか!」




髭面が満面の笑みになった。


いや、そこ!?




「日本人?初めて聞く国だな。どこの大陸だ?」


「えっと……地球?」


「聞いたことがない」




ですよねー。




「ここはパシフィス大陸、スレニア王国だ」


「……今、パシフィスって言った?」




その瞬間、背筋がゾッとした。


それはKOGの四大陸の一つ、そのままの名前だったからだ。


地名までゲームと一緒か。




「王都グランスレニアは、この世界でも屈指の都市でな」


「知らない……」(ほんとは知ってるけどね)




「まあよい!」


髭面は豪快に笑った。




「我は神官兵長フィゼル!


 異邦の者よ、貴様を王都へ連れて行く使命がある!」




「いや急展開!」


「安心せよ。姫に会えるかもしれんぞ?」


「かもしれないのかよ!」


「デリア神殿にも行ける“かも”な」


「全部不確定じゃねえか!」




だが――


デリア。




その名を聞いた瞬間、俺は息を呑んだ。




創世の四女神。


月の女神、浄化のデリア。




最強NPCの一柱。




(やっぱり……根幹設定は同じだ)




「名を聞こう」


「志賀裕司……ユージで」


「ではウジ殿」


「それだけはやめろ!!」




フィゼルはケラケラ笑った。




「ではユージ殿。馬に乗れ」


「……俺、馬乗れないんだけど」


「大丈夫だ。馬は賢い」




不安しかない。




「……あの、会社に連絡したいんだけど」


「会社?」


「スマホ……」


「すまん、何を言っているか分からん」




――こうして俺は、


胡散臭さ全開の神官兵長フィゼルに連行され、


王都グランスレニアへ向かうことになった。




嫌な予感しかしないが――


どうやら、物語は**本格的に動き始めたらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ