表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/11

第2章「山岳地帯の道場」 第3話:襲撃の夜、絆の刃

鍵を手にした翌朝、風刃道場は異様な静けさに包まれていた。


 風は止まり、鳥の声も消えた。アキラは目を覚ました瞬間、胸にざらつくような不安を覚えた。


 「……何か、おかしい」


 ミナもすぐに気配を察知して結界を展開し、リオは無言で武器を構える。ジンザは道場の外に出たまま、戻ってこなかった。


 そのときだった。


 突如、空が黒く染まった。雲を割って現れたのは、黒い翼を持つ魔族の軍勢——その中心には、かつてリオの部族を襲ったとされる魔族の使徒・ザヴァルの姿があった。


 「聖鍵の気配……ここだったか」


 唸るような声とともに、魔力の奔流が大気を震わせる。ザヴァルは鋭く伸びた腕で、風刃道場の屋根を一撃で破壊した。


 「全員、外へ!」


 リオが叫び、三人は瓦礫の隙間から飛び出した。風が乱れ、地が裂ける。


 アキラは風斬の鍵を握りしめ、ソウルバーストの柄にそっとはめ込む。


 「……頼む。力を貸してくれ」


 その瞬間、聖剣が淡く輝き、刀身が風を纏った。


 ザヴァルの軍勢が道場を取り囲む中、アキラ、リオ、ミナの三人は背中を預け合い、対峙する。


 「こっちは三人、あっちは……ざっと二十。無理だな」


 「弱気は後にしろ。俺たちは、やれるだけやる」


 ミナが詠唱を始め、結界を二重に張る。リオは地を蹴って最前線へ突撃、重い一撃で敵兵を吹き飛ばした。


 「アキラ、中央の魔力源を! ザヴァルが全体を強化してる!」


 ミナの声にアキラは頷き、風舞剣の構えを取る。


 「——風舞剣・参ノ型《旋斬》ッ!」


 地を蹴ったアキラの身体が風と共に跳ね上がり、宙を一回転して斬り下ろす。風の刃が周囲を巻き込み、敵の陣形を一気に切り崩した。


 「ほう……少しはやるな、小僧」


 ザヴァルがゆっくりと前へ出る。その両手から伸びた鎖のような魔力が、アキラに絡みつく。


 「うっ……くそ、重いっ……!」


 リオが横から斬りかかるが、魔力の鎖に弾かれる。ミナが強化魔法で支援するも、ザヴァルの力は圧倒的だった。


 「諦めるな、アキラ!」


 リオの叫びが響く。アキラは自分の足元を見つめた。震えていた足、汗ばむ手、そして——仲間の声。


 「……俺は、一人じゃない」


 再び剣を握る。風斬の鍵が共鳴し、剣にさらなる風を宿す。


 「これが……俺たちの絆の風だ!」


 風が爆ぜる。アキラが繰り出した剣撃は、かつてないほど鋭く、まっすぐだった。


 ザヴァルの胸を貫いた一撃——風の奔流が全てを吹き飛ばす。


 軍勢は退却し、静寂が戻った。


 「ふぅ……終わった、のか?」


 アキラが膝をついた瞬間、ジンザが傷だらけの姿で戻ってくる。


 「よく、守ったな」


 アキラは顔を上げた。


 「……俺一人じゃ、無理でした。みんながいたから」


 ジンザは微笑み、かすれた声で言う。


 「それでこそ、“風の勇者”だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ