表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

出会い




「おはよう、リサ。新聞をとってきてくれない? 」

 

 

 

 朝食の支度をしていたお母さんが、寝ぼけまなこの、まだ小さなリサに言った。




 

「お父さんは? 」

 

 

 

「ジョンの散歩に行ったわよ。ついでにいつものミルクと、今朝はパンも買ってきてくれるって」

 

 

 

 リサは玄関を開けて、外にある郵便受けを覗いた。

  

 その途端、突風がざあっと吹き荒れた。

 

 

 

 わっぷ! 

 

 リサは開いていた口に、何か飛び込んできたものを、そのまま飲み込んでしまった。

 

 

 

(どうしよう!! 何か飲んじゃった!! )

 

 

 

 前に、お母さんが小さい頃、道を歩いていてあくびをした拍子に、飛んできた虫が口に入ってそのまま飲み込んじゃった、って話をしていたけど…。

 

 

 

 虫、だったのかも…。

 

 

 

 

 リサはさーっと血の気がひいた。

 

 でも、飲み込んでしまったものは仕方ない。

 

 

 

 

 リサは泣きたくなってしまったが、ふと、あたりに何かが、たくさん飛び散っているのに気がついた。

 

 

 

 

 

 薄いベージュ色の、同じような封筒が、いくつも風に舞っている。

 

 封筒のほかに、白い綿毛のようなものも、ふわふわと漂っていた。

 

 

 

 その散らばった封筒を、道の向こうでひとりのお兄さんが、一生懸命拾い集めて袋に詰めこんでいる。

 

 

 

 リサは、自分の周りにある封筒を拾い集めながら、お兄さんのほうへ近づいていった。

  

 

 

「あの、これ…」

 

「ああ…、ありがとう。助かるよ」

 

 

 

 お兄さんはリサから封筒を受け取ると、ちょっとはにかみながらお礼を言った。

 

 

 

 

「これで全部かな…」

 

 

 

 お兄さんは懐中電灯みたいなものを、封筒を集めた袋に近づけて確認した。

 

 

 

 

「ああ、そうだった。これは君のパパとママに」

 

 

 お兄さんはそう言うと、ベージュの封筒をひとつ、リサに渡した。

 

 

 

 

「本当にありがとう。じゃあね」

 

 

 

 

 バササッと、羽が羽ばたく音がしたと思ったら、小さな羽毛が飛び散り、お兄さんの姿はなくなっていた。

 

 

 

 リサは家に入ると、郵便受けに入っていた新聞と一緒に、その封筒をテーブルの上に置いた。


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ