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5. 佐久間 新の試練②

「湊君、今帰りだよね?よかったら一緒に帰らない?」

乙葉はニコニコしながら言った。

「いいですけど、山下先輩とじゃなくていいんですか?」

久しぶりに会った仲間と一緒に帰りたいと思うのが普通なのではないかと思った湊はそう言った。

「湊君は私と帰るの嫌?ならいいんだけど。」

「いえ、そんな事はないです。」

湊は少し早口になってしまった。せっかくの機会を失いそうになったからだ。そして2人は歩き始めた。


下校中、乙葉は湊に気さくに話しかけ、湊も

会話のキャッチボールを続けていた。しかし、沈黙は生まれてしまう。乙葉と別れることになっている道まで100メートルぐらいになったとき、乙葉が沈黙の中、言葉を発した。

「湊君。今日の部活はどうだった?」

その言葉を聞いて少しビクっとしたが湊は答えた。

「楽しかったですよ。どうかしたんですか?」

「楽しかったならいいんだけどさ、今日の湊君落ち込んでるというか、ぼーっとしてるというか、そんな感じがするんだよね。」

確かに今日、湊は落ち込んでいた。新からの課題が全く出来なかったのである。しかし、湊は顔にはあまり出さなかった。それに気づいた乙葉はちゃんと人のことをしっかり見ているのだ。

「実は…」

湊は新に課された課題について、その課題が全然できないこと、だから落ち込んでいたことを乙葉に話した。

「そっか…。」

乙葉は少し難しそうな顔をしながらそう言った。ここで思いがけない言葉が飛んできた。

「じゃあさ、私の家来る?」

「えっ?」

湊は思わず声を出してしまった。

「心配しなくても親はいないから安心して。私、今一人暮らしだし。」

湊は嬉しい気持ちももちろんあるが、唐突な出来事だったのであまりこの状況を理解できていなかった。屋根の下に男女2人、何が起こるかわかったもんじゃない。

「はい。いきます…。」

おそらく、乙葉はただ湊を助けたい。その一心で、家に呼ぼうとしているのだろう。湊は乙葉について行くと、そこには立派な建物があった。一軒家と言われれば一軒家ではあるが、湊的には博物館のように見えた。

「水野先輩、一人暮らしですよね?デカすぎません、家。」

「そう?ていうか水野じゃなくて乙葉でいいよ。」

そしてそのままその建物の中に2人で入って行った。


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