02
魔族領内にあるニルシェ王国は、
お国柄、多種多様な種族が暮らしておりますので、
異種族大好き属性なんていうアレな性癖をこじらせてる人族連中にとっては、
まさに聖地。
必然的に、コレイカで活動している冒険者パーティーは多種族混成型が多め。
というわけで、俺のようなアレな輩には、
まさに天国。
まあ、それはともかく。
冒険者パーティーの組み方は、そのパーティーの在り方によって実に様々。
カリスマリーダー率いるハーレムパーティーとか、
幼なじみ同士がべったりの仲良しパーティーとか、
実力重視の攻略ガチ勢パーティーとか、
チャラ系エンジョイパーリィとか。
で、最近の流行は男女混成ではなく、
きっちり性別分けしたパーティーを組んで冒険のストレスを減らそう、だとか。
色恋なんかでパーティー内が揉めるくらいなら最初から別々の方が楽、
同性同士なら普段の生活のあれこれも変に気を遣わなくて済むし、
肝心の冒険者活動の方にがっつり集中出来るよね。
ということのようで、見渡せば同性パーティー華盛り。
まあ、それはそれで大変に結構なのですが、
何故か俺たちのパーティーは、
やり手の可愛い系獣人娘さんとイマイチ男の訳アリ旅、
として認識されちゃったようで、
周りの冒険者たちから変に注目されているのです。
「今日は進捗あったのかな、リルシェさんたちっ」
「テントもダンジョンもふたりきり、何も起きないはずがなく……」
「リア充爆発しろ! ただしリルシェたんを除く」
ってな感じで、少々身の回りが騒がしいのですよ。
それもテント村だけならともかく、
最近はダンジョン内での一挙一動までもが注目される始末。
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「……またこっそり見られてます」
「あーもうっ、直接ちょっかい掛けてくれば速攻で腱切り出来るのにっ」
リルシェさん、ステイっ。
とりあえず、こんな状況じゃ攻略に集中出来ませんし、
いったんダンジョンから出て、落ち着けるところで真剣に対策を考えましょ。
「むう、我が愛刀たちが欲求不満で哀悼の意を表しちゃいそうですよっ」
「いかに"仏の顔もサンダルフォン"とはいえ、私の堪忍袋は無限『収納』袋ではありませんからっ」
「もし今度変なことしてくるヤツがいたら、遠慮無くサクサク、容赦無くザクリと!」
サクサクもザクリも駄目ですってば。
あんな連中でも一応は罪の無い冒険者ですし、
実力行使の矛先を見誤っちゃ駄目ですよぅ。
それにしても、警戒すべきが魔物じゃなくてプチストーカーどもだなんて、
真っ当なダンジョンライフの在り方じゃ無いですよ、これ。
もうとっくにリルシェさんもご不満マックスハートしちゃって、
テンションおかしくなってるし。
本当、どうしよ、これ……