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 いつもよりほんのちょっとだけユルめな休憩していた俺たちの前に、


 ふわりと現れたのは、めっちゃ素敵な癒し系お姉さん。



 明らかに荒事とは無縁な感じの清楚ながら高貴さを纏う佇まいと、


 ふんわりゆるゆるってな雰囲気の……




 って、どっから来たのっ、このお姉さんっ、


 ここダンジョン最深部なんですけどっ。



 あの規格外乙女モノカさんならいざ知らず、


 ご近所でも評判の高嶺の華お姉さんがオシャレな午後のお茶会にお呼ばれ、


 みたいな装いでどうやってここまでっ。




「ご無沙汰してますっ、ミルルシュモさん」

「今日はダンジョンの見回りですかっ」



 ……もしもし、リルシェさん。


 お知り合いです?




 ---




 この癒し系ふんわりお姉さんは、ミルルシュモさん。


 ご職業は、ダンジョン管理人さん。


 種族は何と、精霊さん。



 いえ本来は、ミルルシュモさんの個人情報は絶対的秘匿案件なのだそうですが、


 何故かご本人の口からするすると。



「だって、ここにはモノカさんのお友達ばかりですし」

「それにいくら私だって、本当に大切な乙女の秘密はおっぴろげちゃったりしませんとも」

「そういうのは運命の殿方と……」



 ……本当にのんびりゆるゆるなのですよ、このお姉さん。


 で、ダンジョンの見回りとは?



「えーと、見回りじゃなくて、コレイカダンジョンについての重大な注意事項のお知らせ、かな」

「モノカさんから皆さんがコレイカ深層を攻略しているって聞いて、心配になって様子を見させていただいてました」

「えーと、ずっと覗き見してたわけじゃなくて、ちょっとだけ様子見していただけだから許してくださいね」



 ……お気遣い、感謝します。



「はい、こちらこそ黙ってこっそり見ちゃってごめんなさい」

「それで……皆さんが毎回へとへとになって戻ってきているのを見て、やっぱりこのままじゃいけないかなって、今日は直接お伝えに来た次第です」




 ……どうやら、今回の案件からも逃げられそうにないですよ、俺。




 ---




 古来よりリヴァイス大陸全土のダンジョンを管理してきたのが、


 ミルルシュモさんのような長命種族の管理人さんたち。


 ですが、管理運営開始は大陸が出来たてほやほや当初からでは無く、もっと後。



 ダンジョン内のみで起こる特有で特異な異常現象に、


 探索している冒険者たちが巻き込まれないようにするため、


 リヴァイスを代表する高位種族たちの合議により、


 極秘のダンジョン管理制度が運用開始され、


 永きに渡り運営され続けてきたのだそうです。



 もちろん、ダンジョン攻略を本気で楽しんでいる一般種族には絶対に内緒。




 何だか頭の下がる思いです。


 世のため人のため、人知れずダンジョンの平和を守るお仕事を続けて……



「そんな大層なものじゃないですよぅ」

「私たち精霊のような長命種族って、長い人生を楽しく過ごすためなら結構何だってやっちゃいますから」

「管理仕事みたいな事務系が好きっていう子もいますし、身元を隠して人族さんたちと一緒に冒険しちゃうやんちゃな子もいるのよ」



 ふむ、なるほど。


 つまり、個性や生き様の多様性は種族を問わず様々ってことなのですね。



 何だか、ミルルシュモさんののんびり口調で語られると、


 俺のアレな性癖ですら全肯定されちゃうような、穏やかな心持ちに……




「むう、ジゴロ召喚者警報発令案件でしょうか……」



 いえいえ、リルシェさん。


 何でもかんでもすぐにソッチ方面と結びつけちゃ駄目。


 さっきのミルルシュモさんのお話しのとおり、


 多様性、とっても大事。



 って、脱線してないで、


 ミルルシュモさんがわざわざここまで来てくれた理由、聞かなきゃ。


 コレイカダンジョンの注意事項について、ですよね。



「はい、その通り」

「実はコレイカダンジョンの地下31階以降」

「つまり第七層は、私たち迷宮管理人の管理が及ばないほどの危険な逸脱区域だったのです!」




 ……左様ですか。



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