海峡を渡る

（二）-13

　五月も下旬になった頃、畑仕事と田植えで忙しい時期だったが、昼食の休憩のときに、お父さんに郵便局へ連れて行ってもらった。

　郵便局の窓口で「高野国英から、私宛の手紙は届いてないですか」と尋ねてみた。

　受付の女性が奥の男性事務員さんに話をすると女性が戻ってきて、「少しお待ちを」と言われた。男性事務員さんは奥の部屋に入っていった。

　二〇分ぐらい経っただろうか。男性事務員さんが戻ってきて、窓口の所まで来た。

「来てないですね」

（続く）