友人の結婚式 【月夜譚No.171】
彼女のウエディングドレス姿は、とても眩しかった。純白の生地が太陽に照らされてキラキラと宝石のような輝きを放ち、何より彼女自身の笑顔が何にも代えがたい煌めきを帯びている。
離れた場所からそれを眺めて、青年は何ともぎこちない笑みを浮かべた。
彼女はとても幸せそうで、隣に立つ新郎も彼女に相応しい立派な人だ。彼女とそれほど親密ではない自分がこんなことを言っても良いのか判らないが、彼ならば安心して彼女を任せられる。
鼻の奥がつんと痛んで、青年はぐっと目頭に力を入れた。こんなところで泣いたりしてはいけない。
学生の頃の彼女はまだ幼い顔立ちで、しかし面倒見が良くて友人も多かった。青年も彼女に助けられた一人だ。
助けられて、そして――恋に落ちた。
自分なんかが彼女の隣に並べるわけがないと、最初から諦めていた。だから、告白もしなかった。
そんな自分が、ここで泣いてはいけない。彼女の結婚式がより良いものになるように、自分の心にも良い思い出として残るように。
だから、青年は口角を上げ続けた。彼女の眩しい笑顔を見ながら、どうか幸せであるようにと願いながら。