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61日目 赤くどろどろした溶岩

 産み出された。

 あたたかく快適な"内"から押し出され、裂け目を通って、寒風吹きすさぶ"外"に出る。


 ……うーん?

 どうやら今日は本体は別らしく、外に出てきた部分だけが俺の意識の届く範囲らしい。にしても、外、めっちゃ寒い。寒いって次元じゃない。凍える。南極でもこんなに寒くないんじゃないか? どんどんどんどん自分から熱が奪われていき、動かなくなり、凍り付いていくのがわかってしまう。

 さっむ。

 動かなくなってしまった部分については俺の意識からなくなり、その分は裂け目からまた新たな俺が補充されてくるから、全体として考えたら影響は小さい、けれど。自分が凍り続けるのは、あんまり気分のいいものではない。ま、こんな転生生活をずっとやっていると、だいたいの理不尽には慣れちゃうけれど。


 ……ところで、今日の俺、何なんだ? 全然わからん。

 産み出され続けて、凍り続ける……うーん……? アイス工場だったり?


 寒すぎて外を見ていなかった。見よう見よう。目を開く。

 そこにあったのは――きれいな青い空。どこまでも続く、黒くでこぼこした大地。向こうの方には緑が少し生えているのも見える。

 ……これは。


 長ズボンにスニーカー、リュックサックを背負った若者が俺に近付いてくる。腰を引き、俺の流れる向きに対して垂直に。数歩の距離まで近付いてきた彼が、叫んだ。


「うおー! あっつ!」


 だよね。外が寒いんじゃない。

 俺が熱すぎるわけだ。体温1000℃越えなわけだ。


「すげー! ほんとにドロドロしてるんだな! 溶岩!!」


 今日の俺は、大地を流れる溶岩になっていた。

 神様をぶん殴るのは無理だけれど、やけどさせるくらいなら……うーん。天界に行く手段がない。



 溶岩というのは、(俺からすると極寒の)空気に触れる側――つまり、外側から固まっていくらしい。外側がばりばりに固まって黒くなっても、中心部はまだ流動性を保っていることもある。あれだ。スパゲッティのアルデンテの逆だね。中がやわらかい。

 ……いや、だからって特に何もないんだけれど。


 今日の体は意識の範囲内なら視点をぐりぐり動かせる体のようだったから、普通に空の雲を眺めたり、外側が固まった部分に入って地底探検家気分を味わったり(俺自体が光を発しているからか、直前まで俺だった岩の様子までくっきり見えた)、生まれた直後の部分から裂け目の中を見ようとしてみたりして、この後は過ごした。

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