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60日目 サイドミラー

 風を切る感覚で目が覚めた。


 高速道路だ。夜の、都市部の、高速道路を、すごいスピードで走っている。

 ……後ろ向きで。


 俺から向かって右側には車の窓があって、その中ではタバコを咥えた男がハンドルを握っている。左側は、普通に道路だ。壁があったりなかったり、ビルが見えたり見えなかったりする。窓から漏れる明かりは少ない。深夜なのかな。


 男と、一瞬、目が合った気がした。

 カッチカッチという音がして、俺の側の黄色いライトが点滅して、車は滑るように車線を移動して追い越し車線に入った。エンジンのうなり声が大きくなり、スピードが上がる。


 ……おう。

 車線移動の直前に目が合ったってことは、そういうことなんだろう。

 今日の俺は、どうやらサイドミラーに転生してしまったようだ。うまいこと脱落してトラックに轢かれたら神様の元に行って一発殴れたりは……うーん、無理!



 鏡の視点は、鏡の面にあるらしい。

 夜とはいえ、ビルの立ち並び具合からするとだいぶ都市部。俺はずっと後ろ向きだから標識とかは読めないけれど、たぶんこれ首都圏なんじゃなかろうか?

 まあ、だから、暗いとはいえそこかしこに光源はあるわけで。俺はそのひとつひとつを、決められた角度でぴかんと跳ね返しているらしい。らしいというのは、俺に一切それをやっている感覚がないからだ。

 鏡面で光のほとんどを跳ね返してしまっているとしたら、俺から「見える」像はかなり暗くなってもおかしくないと思うのだけれど、どういうからくりか、しっかりと見えてしまっている。……まあ、不便じゃないのはいいことだ。


 ……にしても、後ろ向きで進むの、ちょっとこわいなあ。

 彼が高速を降り、車庫に車を収めるまで、俺は微妙な恐怖と闘っていた。

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