48日目 叩いて渡られる石橋
ごんごん。
叩かれて目が覚めた。
待って、けっこう痛い。ちょっと待っ――
ごんごん。
だから、痛いんだって!! なんで叩かれなきゃならないんだよ! しかも、相当固い物品で殴ってきやがってる。何が起こってるんだ。
……まあ、俺の命には関わらなそうなのが救いではあるんだけど。
「画角これでいい?」
「こっちなら順光だからこっちだね」
「OK、じゃあ一発撮ってみよう」
そして、なんか会話が聞こえる。
目を開く。
上には晴れ渡る空。下には涼しそうなせせらぎ。
俺は小川をまたぐように、がっちりと固定されている。早い話が――橋になっている。水面の反射から察するに、そんなに大きな橋ではない。車が通るようなやつではなく、人が歩いて通る程度のものだ。
そして――俺の上には、男がふたり立っていた。
ひとりはカメラを持って、石橋を渡ろうとするもうひとりの男を撮っている。
……いや、何してんのさ君。俺のことぶっ叩いてる奴のこと止めてくんない? 俺には神様をぶん殴るって目標があるの。
「ソースケさん、何してるんですか~?」
ごんごん。
だから痛いって!!
身を屈めて俺を叩く男――ソースケとやらを画角に収め、カメラを持った男は半笑いの声で白々しく問う。
「何って……」
ごんごん。
「橋を渡ってるだけだよ」
「普通に渡りゃいいじゃないですか~」
こいつ、顔出しはしないけど演者を煽りまくるタイプのカメラマンだな?
テメーの顔覚えたからな。いや覚えたところでなんもできないんだけど……
「ところがどっこい、こいつは――」
ソースケは足でげしげしと俺を蹴る。ハンマーより痛くないからいいや。
「――石橋なんだよ」
「石橋」
「知ってるか? 『石橋を叩いて渡る』って言葉」
「知ってるけど……」
「目の前に石橋がある。たまたまハンマーを持っている。これで普通に渡ったら、そりゃあYouTuberじゃねえ」
「なるほどねえ」
「というわけで、ソースケ、『石橋を叩いて渡り』ます!」
ごんごん。
痛いっての!!!
「今の、ガンダムのパイロットみたいだね」
「誰がアムロや」
ごんごん。
律儀に一歩ごとに叩いてくあたり、ちゃらんぽらんなのか真面目なのかわからん。




